風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

星組『赤と黒ーLe Rouge et le Noir』感想ーフレンチ・ロックオペラ

『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』配信視聴の感想です。

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舞台や衣装が赤と黒を基調に美しくて統一感のある世界観、最高のキャスティング、
劇場で観劇したかった作品です。

チケットが取れなかったので仕方ないですね。

 

礼真琴 / ジュリアン・ソレル

 

宝塚版『赤と黒』の歴代のジュリアン役はどちらかというと大人っぽいビジュアルのトップが演じることが多かった印象です。

その中で礼さんは甘くて可愛い系の顔立ち。ジュリアンは19才の青年なので2年前に17才のロミオを好演した礼さんにいい流れでこの役が巡ってきたと思いました。

右サイド刈り上げた髪型も衣装も似合っていて、フレンチロックを次々と熱唱する礼さんは今までの役で1番かっこいいと思いました。

歌・ダンスの上手さが際立っていることもあり、これまで特に演技に注目してませんでしたが、顔の表情や細かい動きまでオペグラなしで見えるのは配信の良いところ。

しっかり観察しました。笑

いや、正確には芝居に魅入ってしまいました。
ジュリアンの虚無感、激しさ、情熱など様々な感情の動きを巧みに表現されていて、かなりヤバかったです(=ハマり役)。

 

思えば礼さんのトップ就任時には、小柄で少年ぽい風貌なことから役幅が限られるのではという声もありました。
しかし、冒険やチャレンジもありつつ、どんな役でも結果を出しながら進化し続け、ジュリアンへと到達した感があります。これはすごい!
そして礼さんにはまだまだ先があります。

 

次回『1789』ではヒロインがオランプになり前公演とは少し異なりそうですね。どんなロナンが誕生するのか楽しみです。

 

有沙瞳/ルイーズ・ド・レナール

 

ルイーズは美しくなくてはならない。上品な色気がなければならない。その愛は呪いであり祈りでなければならない、とうのが私のレナール夫人のイメージです。

最後の一文は小説『汝、星のごとく』の中の「愛は呪いと祈りに似ている」というフレーズから。まさに夫人のジュリアンへの愛は呪いであり祈りではないでしょうか。
そのように感じました。

次回はいよいよ『1789』マリーアントワネットですね。ドキドキします。

 

暁千星 / ジェロニモ

 

フレンチ版『赤と黒』が従来の宝塚版と異なる1番の特色はジェロニモの存在。

パリの有名な歌手である彼は、ストーリーテラーとしてジュリアンの物語を劇中劇として上演するように進行させていきます。

シルクハットにステッキを持ち歌い踊る陽気な自由人ですが、友人のいなさそうなジュリアンが本音を語れる唯一の相手のようでもあります。

そのように色々な役割を果たすジェロニモ役は難しそう、、セリフの量も半端ない。

しかし暁さんは持ち前の華やかさで歌って踊って語って存在感抜群。
このユニークなジェロニモを楽しんでいるように思えました。
この役を通して得るものは大きいと思いますね。

 

詩ちづる / マチルド

 

マチルドもジュリアンに運命を狂わされる人。

気の毒なのは最後の最後、ジュリアンの心にはもはやレナール夫人しか存在せず、マチルドのことは無かったことになってしまっていること。

ジェントル・ライアーのメイベルとは対照的な役でしたが、どちらの役づくりもしっかりしていて舞台度胸もありそう。とっても良かったです。
キラキラとしたヒロイン力もあるので今後も注目していきたいと思います。

 

印象に残ったキャスト


ヴァルノ夫妻のひろ香祐さんと小桜ほのかさん。ストーリーを引っ掻き回す強欲な夫婦が素晴らしかった。

天寿さんも卒業されひろ香さんが担う役どころもより主要キャラが増えてきそうですね。
小桜さんはこの公演の歌上手な娘役さんの中でも際立つ歌唱力で圧倒されました。

瑠璃花夏さんは物語を動かすきっかけとなる重要な役。歌にも演技にも安定感ありました。

ルージュ希沙薫さんは美しく、ノワール碧海さりおさんは可愛く、まるでロミジュリの愛と死を思わせるような不思議な世界観を創りあげていて良かったです。

マチルドの父親の英真なおきさんは娘を思う心情を、ルイーズ夫の紫門ゆりやさんは妻への複雑な思いを、それぞれ歌で表現。
元気になられた英真さんもイケオジ紫門さんも余裕な感じでさすがでした。

 

ロックだ!


最初は古典的なこの作品とロック・ミュージカルが繋がりませんでした。

しかしブルジョア的な貴族社会への憎しみをベースに、野望や葛藤、挫折などが心の中に渦巻いていて常に何かと闘っているジュリアン・ソレルはなるほどロックだなと。

フレンチミュージカル版は観ていませんがもっと重苦しいとか。その辺りは谷貴矢先生が宝塚らしく上手く潤色・演出されたのでしょう。

 

次の大劇場公演はこの赤と黒カンパニーにバレンシアにStella Voiceのメンバーが合流するのですから、星組の層の厚さを感じずにはいられません。

うさぎ (@bluejasmine9121

月組公演『Deep Sea 』ー海神たちのカルナバルー感想

月組公演『応天の門』に続いて『Deep Sea 』の感想です。

 

プロローグ

 

お芝居が和物でかつ匂わせ的な終わり方だったので、煌びやかなチョンパの始まりは良かったですね。気持ちがパッと切り替わり目も脳も覚醒しました。

華やかダンサーの暁千星さんが星へ異動したことに心配もありましたが、トップコンビの特性(月城さんが歌い海乃さんが踊る)や組子の得意分野が上手く活かされていて、エネルギッシュで魅力的な世界観のショーに仕上がってました。

また月組とラテンショーが想像以上にマッチしていたことも良かったですね!
深海の海神たちが繰り広げる神秘的なカルナバルというシチュエーションが興味深くて、私も一気に舞台(ディープシー)へとDIVEしていました。

 

月城かなと/海乃美月/鳳月杏さん

 

いきなりデュエットダンスの話になりますが、シックな黒の衣装の火花散らす系のデュエダン、私は結構好きでした。この演出は海乃さんが相手役だから決まるような気がします。

月トップコンビは現5組の中ではクラシカルで宝塚王道的な大人コンビという位置付けでありながら、ある意味個性の強いコンビと思えなくもありません。

 

印象的だったのは月城さんと女役鳳月さんとの絡み。よくあるパターンです。
女役になった鳳月さんが魅力的なのは過去の作品でも実証済みですが、やはり妖艶で美しく魅せてくれましたね。

バックで気持ちよく歌う風間柚乃さんの歌唱力はまたアップしたような。
月城さんの眺めの金髪も似合っていて素敵でした。

このシーンを見ていると、月城さんの相手役が鳳月さんのような魔性の美女系だったり、逆にフワッとした癒し系の娘役さんだと、今までと全く違う月城さんの魅力が誕生するのではと想像してしまいました。
逆にマーメイド(海乃)と吟遊詩人(鳳月)の2人がこれまたお似合い(男役も女役も変幻自在の鳳月さんはほんと凄い!!)

なので、月城-海乃ペアはショーや別箱などで別の相手役と組むと新鮮で面白い化学反応がおきそうに思えました。

特に月城さんは月組異動後の主演作品の相手役は海乃さん一筋なので(笑)余計に感じるのかもしれません。
もしこのまま添い遂げとなるならなおのこと。

2人ならではの作品もあれば、別々だからこそできる作品があると思います。

 

礼華さん、彩海さん

 

礼華はるさん、彩海せらさんを筆頭に若手の活躍には目を見張るものがありました。

礼華さんは着実に力を積み重ねているので、今後ここぞというチャンスが訪れた時には力を発揮されそうです。バウ初主演の『月の燈影』はまさしく大きなチャンスですね。

彩海さんはギャツビー の新公主演、ELPIDIOでの2番手役を経たことも大きいのか自信とオーラでキラッキラ。まだまだ伸びしろもありそうなので、このまま目指す男役へ向かって進んでほしいです。

あと2番手娘役を分つ彩みちるさんと天紫珠李さん。持ち味も被らずお芝居でもショーでも大活躍。キュートな彩さん、かっこいい天紫さん、いつもオペグラで追ってしまいます。

 

月組のショーは

 

ショースター不足と言われることもある月組ですが、振り返ると、大人な『FULL SWING!』、ドラマチックな『Rain on Neptune』、そしてはエネルギッシュでパワフルな『Deep Sea 』と、どのショーも全てバラエティに富んでいてハズレがなく、満足度が高いものでした。

そして次回のショー東京詞華集(トウキョウアンソロジー)『万華鏡百景色』は期待の声が大きいですね。
江戸・明治・大正・昭和・平成・令和と万華鏡のように景色を変えてきた東京を舞台とする現代的でレトロなレヴューということで、これは楽しみ。

しかも好評だった『夢千鳥』『カルト・ワイン』の栗田優香先生の大劇場レヴューデビューというのも期待特大!
これからの宝塚レヴューに新しい風を吹かせてほしいです。

うさぎ (@bluejasmine9121

 

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月組公演『応天の門』感想ー平安朝の月城かなと

月組公演『応天の門  』の感想です(2月宝塚大劇場で観劇)

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約1年半ぶりのブログ更新になります!
超マイペースぶりに自分でもびっくりですが、取り敢えずブログの書き方は覚えてました^^;;

久々の感想文、お付き合いいただけると嬉しいです。

 

印象的な出会いのシーン

 

道真(月城かなと)と業平(鳳月杏)の出会いのシーンがとてもいいです。

時は平安。京の都ー美しい満月の夜。
逢瀬の帰り人目を忍んで屋敷へ向かう業平と、書物を片手に屋根の上の道真。

ドラマチックな2人の出会いにワクワクします。

 

ビジュアルと役作り

 

先に漫画を見ていると、どうしてもキャラクターの顔がチラついてしまいます。

演じる人が、ビジュアルだけでなく表情だとか雰囲気までも漫画に寄せるのは大変だなぁと思いますが、月組生の応天キャラクターの再現率の高さは凄かったですね。皆さんの研究心と努力には感心しました。

例えば千海華蘭さんの清和帝があまりに清和帝で、セリフを聞いても応天の清和帝はきっとあんな声だろうとイメージできるほど。若干13歳の帝を違和感なく演じ切ったのはさすがでした。

また漫画で藤原基経(風間柚乃) の顔のタッチが他の人と少し違っていて浮世離れしているように感じましたが、それについては風間さんも意識されていたようでした(ナウオン情報)。
結果、ビジュアルなども忠実に再現されていて、基経特有の凄みや雰囲気がありました。基経と良房(光月るう)の親子は舞台でも異彩を放っていて存在感抜群でした。

楽しかったのは、この方たち。
白梅ー彩みちる
藤原常行ー礼華はる
紀長谷雄ー彩海せら
藤原多美子ー花妃舞音
不思議ちゃんの白梅、お調子者の長谷雄、生真面目な常行、無邪気な多美子と、4者4様の濃い目のキャラクターの役作りは完璧でした。

ハッとするほど美しかったのが大師の結愛かれんさん。舞も流麗でしたね。

勝ち気で妖艶な高子の天紫珠李さんも原作どおりの役作り。若い日の業平と高子の英かおとさんと蘭世惠翔さん、吉祥丸の瑠皇りあさんなど見目麗しくて眼福でした。

観劇前に原作を予習しようかどうかいつも迷いますが、今回は漫画を読んでいたことで楽しめたように思います。(漫画のイメージどおりの人が多かったのでスッと入れたことが理由かも)

 

月城ー海乃ー鳳月

 

さて、私のように先に漫画を読んだ方は、道真と業平は逆の配役(月城ー業平、鳳月ー道真)の方がピタッとくると思われませんでしたか。
私と息子は読後そのように意見が一致しました。
しかし仮に業平を主役にすれば原作の話の主旨が変わってしまい『蒼穹の昴』のようにはいきません。

蓋を開けてみると、頭脳明晰で尖っているのにどこかユーモラスな文章生を終始淡々と演じる「月城ー道真」、一方検非違使の長とは別の顔を持つ色気だだ漏れのモテ男を余裕で演じる「鳳月ー業平」と、どちらも漫画に忠実でありながら各々の個性を活かして好演。
今更ですが2人の演技力の高さと相性の良さを感じました。

トップコンビの恋愛要素がないので、漫画のように道真と業平のバディ感多めの演出になるのかと予想(期待)してましたが、道真と昭姫(海乃美月)のやり取りが多く、そこに業平が絡むという宝塚バージョンになってました。

道真×業平2人のかけ合いの歌などはもっとあってほしかったですが限られた時間ですからね。

姉御肌できっぷの良い昭姫は海乃さんハマり役。どちらかというと強めの声も役に合っていて所作もカッコよく決まってました。トップコンビに恋愛要素が全くないのもスパッと潔く感じました。

そういえば月組トップコンビのプレお披露目が『川霧の橋』と発表された時、和物なら『花の業平』の方が月城さんに合ってるのにと思った記憶があります。

初演の剣幸さんは江戸ものが非常に良く似合っていてハマり役でしたが、月城さんには平安ものの方がしっくりくるのでは、という単純な理由です。

しかし当初から月城-海乃3作目に『応天の門』が予定されていたなら、『花の業平』は候補にすら上がらなかったでしょうし、図らずも平安ものの月城かなとは堪能できたことになります。

 

全体的な感想

 

平安時代は何か怪異が起こると、鬼や物の怪のしわざと考えられることがありました。

もちろん恐ろしい出来事は全て人間の仕業。
舞台では多美子(花妃)入内に百鬼夜行を絡めながら、道真が業平や昭姫ら仲間と共に事件の真相を解き明かしていくストーリーで、わかりやすくまとめられているように思いました。

一つ注文をつけるなら、もう少し強めの盛り上がりが欲しかったことです。そうするとよりスリリングでインパクトある作品になったのではないかと思いました。個性的で可愛い宣来子(道真の婚約者)を登場させても面白かったかもしれませんね。

しかしながら月組の芝居力やキャストのハマり具合の完成度はかなり高く、それが作品のクオリティを上げていたことは確かです。

また、この公演での退団者が各々印象に残る役で卒業されることはとても良かったと思います。

最後に、原作となった灰原薬先生の漫画『応天の門』機会があればぜひ読んでみてください。
観劇前でも後でも大変楽しめる作品だと思います。

続いてショーの感想もアップ予定です。

うさぎ (@bluejasmine9121

 

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『SPERO』望海風斗ファーストコンサート感想

 

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10月5日、望海風斗さん宝塚退団後初のコンサート『SPERO』全日程完走されて本当に良かったです。
8月2日に大阪で初日を迎え福岡、愛知、そして横浜と約2ヶ月、本当にお疲れさまでした。

大人でかっこよくてスタイリッシュで、そしてとても可愛い、歌とともにたくさんの望海さんの魅力が詰まったコンサートでした。

春から信じられないくらい仕事が忙しくなり(おそらく来年3月まで続く)ブログ更新もままなりません。
日々ストレスでいっぱいですが、その合間を縫ってコンサートへ行ったり大劇場公演を観劇したり配信を観るのが唯一の楽しみになっています。

 

贔屓を見送ると気持ちを切り替える時間が必要で、通常はしばらく感慨にふけりながらまったりするのですが、望海さんの場合は退団が延びたことで卒業前からエリザベートガラコン出演が発表され、その後すぐに『SPERO』、またインスタ、オフィシャルサイト開設、スタッフのツイッター開設、その間にうたコン出演…と凄いスピーディな展開で、感慨にふけるも何も気づいたらnozomistになってました。

遅ればせながら『SPERO』の感想を思い出しながら少し残しておきます。(梅田芸術劇場で2回、配信で2回観ました。)

 

 

4つのサロン

 

シネマ 望海さんは過ぎ去った恋を思う大人の女の切なさを歌と短いセリフで表現し、まるでお洒落なシネマを見ているような感覚。
「シャレード」良かったなぁ。
望海さんが、見た映画の結末が思い出せないことがあると言われてましたが、私も同じで嬉しくなりました。途中はしっかり覚えているんです。でも結末が出てこない。何ででしょうね。

 

Jazzy 望海さんはストライプのスーツにハットで宝塚の男役っぽく素敵でした。
「Lover Come Back to Me」など、望海さんの声とジャズは凄く合うと思うのですがどうでしょう。望海さんのジャズナンバーもっと聴きたい!という欲望がむくむくと出てきました。

 

ミュージカル 望海さん、高音も非常に美しいので、パンチの効いたダイナミックな歌を歌いまくるミュージカルなども期待したいですね。「ドリームガールズ」などはキュートで可愛くて。一方で「星から降る金」にも聴き惚れました。
男役時代にはよく色気ダダ漏れなどと言われてましたが、女性としても凛とした色気があってとても魅力的です。

 

J-POP 懐かしい曲を望海さんが歌うと魔法がかかったように新しく感じました。
もちろんおしゃれに編曲されているのですが。
「始まりのバラード」望海さんはこのような抒情的な歌が好きなのかしらと思ったり。
様々なジャンルの歌にチャレンジしていただきたいですね。

 

アンコール 「SUPER VOYAGER!」懐かしいような、ついこの間のような。
お披露目公演でしたからファンにとっては特別な曲です。
「SPERO」はコンサートのために作られた曲で、未来に向かう望海さんにふさわしい記念すべき曲になりますね。

 

素敵なゲスト

 

[スペシャルゲスト]のラミン・カリムルーさんは舞台で、井上芳雄さんは配信で観ました。
それぞれのデュエットは心躍る素晴らしいものでした。

海宝直人さんは残念ながら配信も観れませんでしたが、Blue-rayの特典映像でそれぞれのゲストコーナーがあるのは嬉しい限りです。

 

まずミュージカル界の大スターのラミンさん、凄い存在感でしたね。
トークで憧れのラミンさんを目の前に、恥じらい気味の望海さんを微笑ましく思っていたところ、闇が広がるのイントロでスイッチが入った瞬間、豹変して会場の空気を変えた2人には鳥肌が立ちました。
姿月あさとさん(トート)とマテ・カマラスさん(ルドルフ)のデュエットを思い出しましたが、今回望海さんはルドルフのパート。
トートのラミンさんは日本語もとてもお上手で2人の歌声に深く感動しました。

 

『SPERO』初見で「シネマ」な望海さんを観た時(井上芳雄さんまだ出演されていない)、「望海さんの1人ミュージカル」、いや「井上さんと2人ミュージカル」なんて素敵だろうな〜と妄想してました。
実際に配信で井上さんとのデュエットやトークを観て、あまりに息がぴったりでますます妄想が膨らんでしまいました。
井上さんは2人ミュージカルも経験豊富で素晴らしいと聞いているので、いつか実現してほしいという夢もありますが、このコンサートで井上さん(トート)と望海さん(シシィ)の「私が踊る時」を聴き、ラミンさんの時とは別の感動に震えました。

もし井上ー望海コンビで「エリザベート」が実現するとしたら、今までにない新しい「エリザベート」を創造できるのではないかと思います。

 

[スペシャルダンサー]は色気ある佐藤洋介さんにダイナミックな柳本雅寛さん。
すっごい素敵でハマりました〜こちらも映像楽しみです!

 

「G-Rockets」の半澤友美さんと小林由佳さんの美しい空中パフォーマンス、歌にダンスに大活躍のゴスペローズ(大月さゆさん、工藤彩さん、村井成仁さん、山崎感音さん)、演奏のスペロンチーノ。
そんなスペシャルなゲストや素的な仲間、スタッフの皆さんに囲まれて、最大限の魅力を披露してくれた望海さん。
これからの夢と可能性が広がる、そんな素敵なコンサートでした。

 

舞台のバックの大きな映像の時計はリアルタイムに「時」を刻んでいて、歌やダンス、セリフ、お喋りにも「今」を感じました。
望海さんはこの先どんな「時」を刻んでいかれるのか、私も楽しみにしたいと思います。

 

OG・うさぎ

 

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月組『桜嵐記』感想ー珠城りょうー美しい集大成

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『 桜嵐記』の感想です。
宝塚大劇場で2回観劇、今日大千秋楽の配信を視聴しました。

珠城りょうさん、美園さくらさんのサヨナラ公演です。

荒ぶる武将(男)たちの根底にある温かい心、愛する者たちへの思いが描かれていて台詞や歌に心揺さぶられ、宝塚歌劇史に名作と言える作品がまた一つ誕生したと思います。

 

珠城りょう / 楠木正行

 

滅びゆく運命のもと自問自答しながら自分の信じた道を行く。

珠城さんの凛々しいもののふの姿はまさに宝塚ならではの美しい武将、
高潔な若武者ぶりは神々しいばかりの輝きがあり、
強くて優しい一本気な正行の演技は多くの人を感動させる力がありました。

 

弁内侍とは出逢いそのものがロマンスで、2人の距離が近づいていくのは自然な成り行き。
2人の最後を見守る満開の桜が美しく、おそらく2人の心にずっと咲きつづける景色でしょう。

珠城さんとさくらちゃんの演技が素晴らしくて、素晴らし過ぎて、何度観ても感動しました。

 

ラストシーンの出陣式では、戻ることのない地を後にする正行の姿と、この舞台(宝塚)から去っていく珠城さんの姿が重なり胸が熱くなりました。

四條畷の合戦の時、正行はまだ推定23歳ほどの若さであったらしく(諸説あり)
その若さに驚きですが、軍事的才能は敵対する北朝からも人の範疇を超えるほどの驚異の念を抱かせたそう。

そのような圧倒的な強さに加え、包容力、統率力、温かさや切なさなど、珠城さんの持ち味が十二分に発揮され集大成にふさわしい役柄でした。

出陣する正行は最高にかっこよかったです。 

 

ハートフルな好青年役がはまり役とされていた珠城さん。
確かに温かくて優しい雰囲気と男気溢れる包容力は珠城さんの大きな魅力でした。

一方私が好きだった役は月雲の皇子の木梨軽皇子やこの桜嵐記の正行など熱くて強くて哀愁を秘めた切ない役で、いずれも上田久美子先生の作品でした。
総じて珠城さんは作品に恵まれた宝塚人生だったと思います。 

 

余談になりますが、現在河内長野市では正成・正行親子をテーマにしたNHK大河ドラマ「楠公さん」実現に向けて署名活動をされています。ご興味のある方は河内長野市HPをご覧ください。「楠公さん」を大河ドラマに! - 河内長野市ホームページ

 

そしてこの作品では2人の頼もしい弟 たちとの絆も大きなテーマとなっています。
愛しい人を残し戦う正行、遠く離れた人を思い戦う正時、兄たちの志を胸に戦う正儀。
三人三様、生き生きと描かれていたこともこの作品の大きな魅力でした。
 
 

鳳月杏 / 楠木正時


まずは優しくて温かい次男の正時。

戦より大好きな料理作り。
料理は父、正成から伝授されたものだとか。

ダイナミックな猪の丸焼きの焼き具合や出汁にもこだわる本格派。

今の世に生まれていたらマイホームパパとなり穏やかな一生を終えただろうと思わせる。
嫁の百合を大切に思っています。
兄を慕い弟を可愛がり嫁を想う、愛の人。
彼の周りはいつも春のように暖かくてそれだけに結末は悲しい。

ちなつさんのお芝居がいいですね。ちなつさんはいつもいい。
兄とは別の包容力で周りの人を温かく包み込む正時の人となりが十分に伝わってきました。

IAFAでは珠城さんの父親役、ピガールでは恋敵、そして桜嵐記では弟役と、別箱公演も含めると珠城さんと絡む役が多かったですね。

 

先日来年のカレンダーの発表があり、ちなつさんは月組の次期2番手と思われ大変嬉しいです。

月組、花組、月組とどの組にいてもどの役でも必ず期待に応えてくれるので、れいこさんにとっても心強いことでしょう。
ちなつさんへの信頼が厚かった珠城さんも、ちなつさんの活躍を期待されていると思っています。
 

月城かなと/ 楠木正儀
 

 

そしてやんちゃな三男の正儀役の月城かなとさん。
春にはクールで色気ダダもれ大人の男ラッチマンだった方が、いきなり「戦場は遊び場や」と登場する面白さ。

最後の2番手役はやっぱりややコミカル寄りなお役なのねと思うものの、れいこさんのこのような(お茶目な)役はいよいよ見納めになりそうで…そう思うと寂しいものです。(十分堪能しました)

しかし正儀は男らしい武将でもあります。
血気盛んではっきりもの言う。しかも勢いのある河内弁。それを誇りに思っているところも良い!←言い切る

歴史に伝わるところでは正儀は四條畷の合戦の後、父、兄に恥じない立派な人生を送ります。
 
さて、正儀役のれいこさん、
荒ぶる武将、コテコテの関西弁、コミカル、がらっぱち、やんちゃと、およそ月城かなとの任とは真逆の役を2番手最後の公演で演じたことは大きな意味があったと思います。
最大の当たり役を得た珠城さん、鳳月さんの弟としての体当たり演技は必ず今後に生きるはず。

れいこさんは実力に穴がなくノーブルな風貌から大人でクラシカルでクールなイメージがありますが、プリンス系やイケオジ系はもちろん、ダークな役もいけると思ってます。(かっこいいダーク役限定)

珠城さんから受け取ったトップのバトンは重いと思いますが、2番手時代に経験した数々の役柄を生かして月組に新たな花を咲かせることを期待しています。

 

暁千星 / 後村上天皇

 

ありちゃんの天皇役は意外でしたが、佇まいが美しく気品があり物腰は柔らかくても、南朝を回復するべく父・後醍醐天皇の遺志を継ぐ者として強さもある後村上天皇を好演。

また彼自身は平和主義者であり、父親の呪縛から逃れることができず多くの思いを抱えているところがあり憂いを含んだありちゃんの表情や演技が光りました。

年ふれば思ひぞ出づる吉野山
また故郷の名や残るらん
故郷の名や残る…

後村上天皇が出陣式でうたった和歌と、その後に続く「戻れよ」のセリフには優しさと切なさと力強さが入り混じっていて胸を打たれました。

 

印象に残った方たち
 

 

光月るう / 楠木正儀(老年)
始まりに私たちを南北朝の世界へと誘う難しい役どころですが、明瞭な台詞回しでわかりやすくスマートに導いてくれて、自然な形でその世界観へ入り込んでいました。老年期の正儀という設定も違和感なしで良かったです。

同じく夏月都さん、老年期の弁内侍を演じられましたが、彼女がその後もしっかりと人生を歩んできたと思えるような役作りでした。

 
紫門ゆりや / 高師直
ギラギラとした悪の華が見事にハマり、演技の振り幅の強さを感じました。
その爽やかで優しげなマスクから、ロイヤル感あふれるゆりさんとは真逆の色濃い師直役があまりに素晴らしく、専科での活躍が俄然楽しみになっています。


千海華蘭  / ジンベエ
実直でお人好しで情の熱いジンベエはこの物語の清涼剤的な役割もあり、そんな愛すべき男を舞台に息づかせたからんちゃんは素晴らしい!
いつも印象に残る役作りにわくわくします。

 

輝月ゆうま / 楠木正成
この役はまゆぽん以外考えられないと思えるほどのはまり役。
堂々とした風貌、武将としても息子たちの父親としても最高でした。

四條畷の合戦で戦う息子たちの思い出の中で、正成が歌う「エンヤコラ エンヤコラ どっこいせ」には涙しました。
ゆりさんと共に専科での活躍を期待しています。

 

海乃美月 / 百合
正時(鳳月)の可愛いお嫁さん。
ちなつさんとは2度目の夫婦役ですね。
出島でも相手役だったので息もぴったり。
悲しい運命を辿りますが最後の瞬間まで優しい正時の愛に包まれていたのではないかと。
そのような正時と百合の絆をちなうみから感じました。

 

風間柚乃 / 足利尊氏 
大劇場公演ではコミカルな役が続いてましたが、今回は歴史上の人物。
歌劇誌の座談会で日本物の型芝居は難しいと語ってましたがいつもながらビシッと決まってましたね。
ショーの銀橋ソロのシーンではふとなつめさんを感じましたが、やはり大物になる予感がします。

 

一樹千尋 / 後醍醐天皇
凄い迫力でしたね。
物語の中で象徴的に登場しますが物語の大きな要となる役です。
一樹さんの強さ、執念の演技はさすがで、存在感が半端なかったです。

 

美園さくら / 弁内侍

 

最後にヒロイン弁内侍役の美園さくらさん。

弁内侍は心に傷を負っていますがその傷を癒やしていくのが正行です。

先述したように正行との出逢いがロマンスで、男らしく眉目秀麗な正行の側にいて惚れないわけがなく、次第に彼女にとって大切な人になります。

 

同じ和物のお披露目公演の時はまだ硬さがありましたが、グッと女性らしくなり情感あふれる演技と歌で、短期間でのさくらちゃんの成長を感じました。

大劇場公演での主演は4作でしたが凛とした芯の強いヒロインが多く、どの役も脳裏に焼き付いています。

 

事情は違いますが自ら命を絶った儚げな百合に比べて、弁内侍は運命に翻弄されながらも強さを感じる女性で情熱的な人です。

桜の下の2人の舞は美しかったですね。
「今は生きたい」と言う台詞が悲しくて泣けました。

短い人生を真っ直ぐ生きて散っていった正行の人生に彩りをもたらし、彼女もその後の人生で彼を忘れることはなかったでしょう。

サヨナラの作品でこのように美しく静かで深い愛を演じることができてコンビの集大成としても素晴らしいことだと思いました。

 

幸せな夢の時

 

『Dream Chaser』やサヨナラショーのこともたくさん語りたいですが、思いのほか文字数が多くなったのでここは『桜嵐記』のみの感想にします。

 

最後に一言だけ、

サヨナラショーの珠城さんも華やかでかっこよくて素敵でしたね!
さくらちゃんもゴージャスで美しくて良いコンビだったと思います。

歌やダンスを観ていると月組公演の観劇後はいつも心が温かく幸せな気持ちになっていたことを思い出しました。

2人の心の中にも美しい桜の花が咲き続けることを願いつつ、

珠城りょうさん、美園さくらさん、数々の素敵な夢をありがとうございました。

 

月・うさぎ

 

 

エリザベート25 ガラ・コンサート 感想 ② 望海風斗トート爆誕 & 豪華89期生 / アニヴァーサリーSP ver.

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凄い迫力でしたね〜! 望海風斗さんのトート閣下。
遅ればせながら感想②はアニヴァーサリースペシャルver.のレポと、皆さんの今後の予定をわかる範囲で触れています。(2021.05.20現在)

感想①はこちらから(追記あり)↓

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予定していたライビュ会場が中止になり、3日と4日の2公演をライブ配信で観ました。

 

望海風斗トート

 

初日はもしかしたら望海さんにも緊張感があったかもしれません。
2日目にはトート役をさらにグっと引き寄せられていたように感じました。
卒業後間もない日程でルキーニ  、トートをここまで仕上げられたことはやはり凄いです。

いろいろな意見がありますが、私は望海トートには過去のどなたのトートも感じませんでした。
あえて言うなら、総合的に一路真輝さんでしょうか。
しかしそれも何かが全く違うような気もします。

 

『エリザベート』のキャラクターは個性が強いので役にのまれないよう、特にトートやルキーニ 役などは思いっきり個性を炸裂させることで観客を惹きつけなければ印象が弱くなってしまいそうです。
歴代トートの皆さんは、歌で、ダンスで、ビジュアルで、動きや表情、雰囲気で、どのようにしてオリジナルのトートを魅せられるか様々な工夫をされてきました。


望海さんは圧倒的な歌唱力に加えて化粧やフェイスペインティングなどの趣向を凝らしてビジュアルや雰囲気もかなりトートでした。
ペイント文字の遊びもファンの間で盛り上がりましたね。

いや、そもそも1人ばっちりフルコスチュームで現れたときはびっくり!(そういやアニヴァーサリーだったと気づく…)

意気込みが熱くて凄すぎて最高でしたよ!
最後のダンス、闇が広がる、全て完璧でした。

 
今までブログにも隙あらば書いてきました、望海トート待望論。
願いが叶って本望です、

東宝のトートも望海さんでという声も見かけました。
それほど良かったということなので嬉しい気持ちです。
ですが東宝と宝塚は別物だと思っています。

実はかつて私も姿月あさとさんのトートを東宝でやってほしいーー!と思いました。
トート役は宝塚男役が演じる方が好きなので。

ですが、東宝版を何度か観ているうちに宝塚と東宝は世界観が微妙に違うように思えてきました。脚本も少し違いますしね。
とは言え、最近の風潮からいつか宝塚男役OGのトートが誕生する可能性もゼロではないかもしれません。
ただ、
どなたが演じるにせよ、男性の中で女性が死の帝王であるトート役を演じることは、宝塚ファン以外の観客を前にかなり無理を強いられることになるのではと思っています。

宝塚は唯一無二の世界。
エリザベートガラコンはOG公演ですので宝塚歌劇の延長上にあるものと考えて、
今後も宝塚歌劇、ガラコン、東宝と分けてエリザベートを楽しみたいと思います。

 
そして望海さん、8月から10月にかけてコンサート開催!おめでとうごさいます。
4都市での開催は凄いですね!楽しみです。
詳細はこちらから↓

natalie.mu

豪華89期メンバー

 

さて、アニヴァーサリースペシャルver.は89期祭りでした。

まずシシィ役の2人、

1幕の夢咲ねねさん。
スタイル抜群、ビジュアルが完璧で美しい。
歌も演技も良かったと思います。
本来シシィはパパの気質に似て自由で冒険家で活発な人。
なのでお人形のようなシシィより少女時代は茶目っ気があり、良くも悪くも自我の強いシシィが魅力的です。
1幕だけでしたが夢咲エリザベートはそんな私の理想のシシィに近いような気がしました。

ねねちゃんは、7月『SCORE!! ~Musical High School~』に出演されます。
明治座オリジナル演出によるスペシャルなコンサートのようです。 

yumesakinene.com

 
2幕の明日海りおさん。
こちらはとても可愛くて儚げなシシィでした。
2幕の大人のシシィの孤独や闇に堕ちていく哀しさが伝わってきました。
卒業後に舞台で初の女性(ヒロイン)役ですね。
相手役が望海さんというのも良きです、
フルコスチューム版トートとシシィの演じ分けは大変だったでしょう。
ファルセット(裏声)はやや厳しかったですが、克服されることを期待して今後は舞台でも活躍してほしいです。
と思っていたら『マドモアゼル・モーツァルト』主演が決まりましたね、
おめでとうございます!
いよいよって感じですね。こちらは10月公演です。

rio-fc.com


ゾフィー役の純矢ちとせさん。
前からゾフィーは演じがいがありそうな役だな…と。
オーストリア皇帝の息子を思うがままに操り宮廷内のただ一人の男と言われ、嫁に意地悪して孫も奪い教育する、やりたい放題。
かなりエネルギーを要する役です。
せーこさんは宝塚時代より凄みが増してきましたが歴代のOGゾフィーの中ではまだまだ若手さんです。
長いスパンで演れる役なので今後ますます磨きをかけて最強ゾフィ目指してほしいですね。


マダム・ヴォルフ役の大月さゆさん。
妖艶で美しく印象的な役作りでした。
また公演中、ブログ「さゆ好み」では楽屋日記をたくさん配信していただきました。
楽しかった〜ありがとうございます!
6月には彩吹真央さんら4名の舞台『楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき』に出演されます。

www.grand-arts.com

 

ケンペン役、他、美翔かずきさんはやっぱりかっこいい。
ほんとにお綺麗ですよね。
6月にはタンゴショー、7月には姿月あさとさんのランチショーに出演されます。 

passion.ciao.jp

 
そしてルドルフ役の七海ひろきさん。
こんなにルドルフ役にハマるとは!
素敵でしたね〜
ビジュアルに関しては作り込んだというよりそのままでルドルフ。
闇広もとても美しい世界観を作ってくれて、今も変わらず夢を見せてくれる永遠の王子様です。
カイちゃんも6月、舞台で主演されます。『ROSSO』皆さん凄いですね!

color-of-theater.com

 

ルキーニ  とフランツ


ルキーニ役の宇月颯さんは感想①にも書きましたがこのガラ・コンサートでは大活躍でした。
ルキーニは演技が真面目すぎたり硬くなったら魅力が半減します。
初日から周りの錚々たるメンバーが次々と入れ替わるなかで、物語を軽快なテンポで小気味よく進めていき魅力的なルキーニを見事完走 !
お疲れ様でした、素晴らしかったです。

ヒューブナー役、他、如月蓮さん。この舞台に出演しているのが不思議なくらい現役感。活躍嬉しいです。

としさん、れんれんは7月に舞台『流・シッド』に出演予定。

↓ 出演される宝塚OGさん(五十音順)

亜聖樹/宇月颯/旺なつき/如月蓮/十碧れいや/舞羽美海/麻央侑希

artistjapan.co.jp


鳳真由さんのフランツ。

優しさと包容力に溢れてましたね。
ゾフィーとシシィの板挟み、皇帝の苦悩、息子との関係、シシィへの愛、
シーンごとに様々な顔を見せてくれました。

ツェップス役(他)の天真みちるさんも、上手かったですね〜

もう1人、芽吹幸奈さんの凛とした美しさと佇まいはリヒテンシュタインにぴったりでした。

そんなたそさんが、6月にディナーショーを!
ゲストはくみさんとPちゃんです。
ガラ・コンの出演秘話など爆笑ライブということで楽しそうですね。

www.hankyu-hotel.com

 

宝塚エリザベート25年

 

こうして望海さんのトートを観たいという私の願いは叶い、2021年のエリザベート ガラ・コンサートの幕が閉じました。

みりおさんが初日のカテコで「(望海さんの)トート、爆誕!」と言われましたが、まさにそんな感じ。みりおさんの言葉のセンス最高でした。

 

無観客での舞台は残念でなりませんが、画面越しの多くのファンが出演者の皆さんに熱い拍手を送っていたと思います。

 

 

初演の雪組『エリザベート』から始まり、そこから25年、変わらずファンを魅了し続けるのはミュージカルの素晴らしさだけではなく、初演雪組公演の成功があってこそ。

エーアン、エリザベート!

この先どんな素敵なトートや、エリザベートとの出会いがあるのか楽しみです。


OG・宝塚

エリザベート25 ガラ・コンサート 感想 ① 初日アニヴァーサリーver. / 宙組ver. / 花組ver.

 

2021年のエリザベートガラ・コンサート、少し感想を残しておきます。(追記あり)

ワクワク、ジーン、ほぅ、おおっ!・・

舞台観劇、ライブ中継と合計5公演見ましたが、懐かしさやら驚きやら様々な気持ちが湧いてきたガラコンの日々でした。

感想は2回にわけます。 

感想①は大阪梅田で観劇した2公演と、ライブ配信で観た花組ver.の3公演についてです。

日にちがたってしまい記憶があやしいところもあるので、リアルタイムでTwitterで呟いたことも交えながら書いていきます。

 

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初日アニヴァーサリーver.

 

初日アニヴァーサリーは一路真輝さんと花總まりさんの映像メッセージからスタート!
これはグッときました。
この初演コンビはエリザベートとは大変縁が深いです。

一路さんは宝塚初演でトートを演じ、卒業後は2000年に東宝版の初演『エリザベート』でシシィ役。
そこから6年間で5度の公演を全て一人で演じきり、まさにエリザベートの第一人者。
 
花總さんは宝塚時代に初演雪組と新生宙組で2度シシィを演じ、卒業後は宝塚の娘役OGでは初のシシィ役を2015年から3度演じ、伝説のエリザベートが誕生しました。

花總シシィは宝塚時代も東宝版も観てますがシシィを演じているというより、花總さんのシシィを観てシシィはこんな人だったのだろうと思わせるほど「花總まりのシシィ像」を確立されたように思えます。
 
さて、エリザベートガラコンは過去にも何度か行っていますが、今回は世代交代を強く感じました。 

麻路さきさんから朝夏まなとさんまで、7人の歴代トートがズラリと並ぶと懐かしさとワクワクにオペグラは右に左に忙しく。
当時舞台で観た人もいるし映像でしか観られなかった人もいます。
 
春野寿美礼さんは歌うまトート健在、東宝ではシシィ役も観ましたがやはりトートがしっくりくるなぁ。 

朝夏まなとさんも、もうすっかり女優さんですがこの日は素敵な男役の顔。

そして私にとって宝塚最愛のトート姿月あさとさん。
高身長で美しいビジュアル、歌うまでダンスも上手い。
当時のずんこさんの人気は凄かったですね。
卒業後すぐのガラコンのトートはさらに素晴らしかった。
卒業から20年以上たち、すっかり女性シンガーとして活躍されていて、当時の男役歌唱ならではの深みや声量ではないもののやはり私の永遠のトート様です。

そして水夏希トートには唐突に心奪われました(気が多い) 。
もともと私は水さんは好きです。顔も演技も声も歌声も。
現役さながらの水トートの作り込みと本気が素晴らしかった。

 

瀬奈じゅんさんはトートも素敵ですが私は断然ルキーニ が好きです。
ほんとカッコよくてルキーニ 役者だと思いました。
一幕のトートからの転身には拍手が凄かったですね。

そのルキーニ役、前半は宇月颯さん。
錚々たるメンバーの中で緊張感は半端なかったでしょうが、堂々としたもの。
軽妙なテンポでセリフ回しも聞きやすくて良かったです。

 

フランツの皆さんの個性も凄かった。
ノーブルでスマートな稔幸フランツ、
ロン毛をサラサラとなびかせて颯爽と登場する和央ようかフランツ。
ホントに自由な人だなぁと…

彩吹真央さんは卒業後の舞台を何度か観ていますがどの役も上手いです。
久しぶりのフランツもさすがですね。

フランツ北翔海莉さんについては宙組ver.で。
ゾフィー純矢ちとせさんについては感想②で語ります。

 

相変わらず憂いある表情が魅力的な大空ゆうひルドルフ。
彩輝なおトート閣下との闇広何年ぶりでしょう。
哀愁を帯びたゆうひさん本当に素敵でした。2人の闇広、迫力ありましたね。

 

麻路さきトート、白城あやかシシィ、稔幸フランツ、えまおゆうルドルフ、月影瞳少年ルドルフ、そして出雲綾ゾフィーの元星組メンバーは今回が最後なんでしょうか。
皆さんの意気込み感じました。

そして素晴らしかった安蘭けい少年ルドルフ。

 一瞬で寂しく不安なルドルフの世界観を作り上げたのはさすが、歌のシーン鮮烈に残ってます。

 

最後になりましたがシシィ役も華やかに豪華6名。
白城シシィの変わらぬ気品ある美に感動しました。
大人の憂い大鳥れいさん、大好きな白羽ゆりさんから、蘭乃はなさん、実咲凜音さん、愛希れいかさんまで少しずつの出番ながらしっかり見せ場作ってくれました。

 

フルコスチューム宙組ver.

 

もう1公演舞台で観劇したのが朝夏まなとトート、実咲凜音シシィの宙組ver.です。
 
2016年宙組でエリザベートをすると発表があった時、太陽のように華やかで明るいまぁ様は死の帝王とは真逆に感じてイメージがわきませんでした。
想像がつかないまま観劇しましたが、かなりハマりました。
歴代トートにはなかったストレートのロングヘアーが長身のまぁ様によく似合っていて斬新で素敵で、リピートしたくてもチケットがなく、ライビュを見に行った思い出があります。
 
なのでガラコンで宙組ver.は是非行きたいと思いました。
久しぶりのまぁ様トートは初日のアニヴァーサリーのトートの殻を破って?ロックなトート全開でした。
コスチュームを着用するとスイッチが入るのかな。

 

歌うまのみりおんシシィ、すっかりルキーニに馴染んできたとしさん、そしてこの日は澄輝さやとさんのノーブルで気品あるルドルフでした。(マダム・ヴォルフ大月さゆさんも感想②で。)

そして北翔海莉フランツ!

 トートやルキーニと違って歳を取っていく役なのでフランツならではの難しさがあると思いますが、特に老年期の演技は秀逸でした。

 

フルコスチューム花組ver.

 

花組ver.はLIVE配信で観ました。
こちらも2014年宝塚で観劇しています。
当時私は宝塚から遠ざかっていて、もう完全に離れようかと迷っていた時期でした。
エリザベートが好きだったので妹がチケット取ってくれましたが、その時に望海風斗ルキーニを見つけてしまってね、
いやいやこれは宝塚ファンやめられないと。
こんな人が宝塚にいたんだーと、ちょっと衝撃でした。
そこから宝塚ファン完全復活したわけです。

ガラコンでは望海さんのルキーニさらに良くなっていて素晴らしいルキーニ でした。

 

話の流れでルキーニが先になりましたが、明日海りおトート。
当時、歌も上手いし美しくて素敵なのだけど怖さはなかった、笑。
人ではない役でなら、みりおさんは死の帝王より青い薔薇の精や哀しきパンパネラネラの方が私は好きです。
しかしガラコンのトートは宝塚時代より深化していて凄みがありました。

 

安定の北翔フランツに、この日のルドルフは蒼羽りくさん。美しく素敵な王子様。

そして↑呟きどおり、素晴らしかったシシィ役の花乃まりあさんの演技。
映像なので細かい仕草や表情がよくわかりました。
宝塚時代より歌の表現力もありとても良かったです。
 
懐かしさでいっぱいのガラ・コンサート、最後はいよいよ未知なるトート閣下の登場です。
 
OG・うさぎ

 

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雪組千秋楽、望海さん本物の夢をありがとう!

 

「嘘が苦手です」と、嘘を本当にして本物の夢をずっと見せ続けてくれたトップスター

相手役に恵まれて最強の歌唱力コンビ「だいきほ」の名を宝塚史に刻んだトップスター

カーテンコール挨拶ではいつもファンや組子たちまでも楽しませてくれるトップスター

そんな愛に溢れた雪組トップスター望海風斗さんが2021年4月11日宝塚歌劇団を卒業されました。

連日の大熱演、大熱唱、よくぞ元気に駆け抜けてくださいました。
また全員揃って無事に千秋楽を迎えられたことも大きな喜びでした。


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昨日は珍しくカーテンから漏れる光で目が覚め、窓を開けると爽やかな風を感じるいい朝でした。 
2021年4月11日の清々しい朝はずっと忘れることはないと思います。
 
ラストディ劇場観劇は叶いませんでしたが、自分の街の映画館でお見送りというのも意外といいものでした。

宝塚大劇場、また東京遠征の際にも舞台に近い席で観劇できたことは一生の思い出でになり、
チケットをお譲りいただいた方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
 
 
カテコで「人生は幸せだった」と、
宝塚人生の最後の日に叫ばれたことはファンにとっても何より嬉しい言葉です。
 
そんな幸せに満ちたパワフルな望海さんなら次の人生でどのような道に進まれても力強く歩まれるでしょう。

しかし、それでも、やはり、
望海さんがいなくなってしまった宝塚は寂しく、
望海さんの隣にいる真彩ちゃんを見られないのは寂しく、
雪組の舞台に翔ちゃん(彩凪翔)がいないのは寂しいです。
 

『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』を演じるにあたって、小池修一郎先生がヌードルスにはダイヤモンドのような眩しい光ではなく、いぶし銀のような深い輝きを求めると言われてました。

雪に輝くダイヤモンドの輝きを封印・・

しかし望海さんの輝きはダイヤモンドの輝きだけが魅力ではなかったですね。

お芝居でも変幻自在の輝きに出会いました。

いぶし銀の如く深い輝きや、色気ダダ漏れの情熱的なルビーの輝き。
闇に落ちる漆黒の輝きもあれば透き通る月のような輝きもありました。 

振り返ると一つ一つの輝きの中に望海さんの真実の輝きがあったような気がします。

嘘を本当にして本物の夢を見せてくれる人、
私は宝塚にずっとそんな人を求めていたような気がします。

宝塚ファンとして完全復活してから7年半、濃密で幸せな夢の時間を過ごすことができました。
 
そして真彩希帆さん。
お披露目からサヨナラまで大人気コンビとして舞台に咲き続けました。

特に添い遂げ推奨派ではありませんが、大好きなコンビが添い遂げするのは結果として嬉しいひとつの形ではあります。

真彩ちゃんは可愛くも強い娘役だと思っていました。

従来の宝塚娘役とは少し違う。
宝塚では役によっては男役を食ってしまいそうな勢い…と、最後の役(謎の女)を観てそのように感じました。

しかしそうならないのが望海さんの技量であり大きさであるし、真彩ちゃんも相手が望海さんだからぶつかっていけたのでしょう。

望海さんが真彩ちゃんにサナギが蝶になるように大きく羽ばたいてくれた、またお互い切磋琢磨しあえたと、最高の言葉をプレゼントしました。

刺激し合い高め合い彼女を大きく羽ばたかせたのは望海さんだと思うし、
望海さん自身も、ワンスは男役の集大成だったと言われていたことから目指す男役像をしっかり確立されていた。

やはり素晴らしいコンビだったと思います。
 
次期トップコンビ、彩風咲奈さんと朝月希和さんへのメッセージも優しく温かくてよかったですね…2人の名前を呼ぶ声には圧がありましたが、「ひらめ!」笑。

本日4月12日、雪組新トップコンビ誕生です、咲ちゃん、ひらめちゃんおめでとうございます。
 
 
さて、1番身近に迫った今の私の心の拠り所はやはりエリザベートガラコンサートです。
望海さんにとって多くの同期生と共演というのは心強いことでしょう。
卒業後休む間もなく2役もされる望海さんにしっかりついていかねばなりません。

エリザベート TAKARAZUKA25周年 スペシャル・ガラ・コンサート│梅田芸術劇場

 

そして真彩ちゃんもディナーショーのお知らせ。良かったですね!
今度はたくさんのファンの方の前で美声を聞かせられるよう祈ります。

真彩 希帆 ディナーショー【宝塚ホテル】阪急阪神第一ホテルグループ

 

望海さんにとって「今日(4月11日)が最高に幸せな日」になって良かったです。
充実した宝塚の日々があってこその言葉と受け取りました。

そして「生まれ変わってもまた宝塚で出会いましょう」と私たちの未来に夢を繋げてくれた。
本当に素敵な方です。

望海さん、ご卒業おめでとうございます。
本物の夢をずっと届けてくださって有難うございました。
 
雪・うさぎ

 

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星組『ロミオとジュリエット』感想 〜5日間の物語〜 礼 / 舞空 / 愛月 / 瀬央 / 有沙 / 綺城 / 天華‥

『ロミオとジュリエット』感想です。

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『ロミオとジュリエット』
原作 / ウィリアム・シェイクスピア

作 / ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出 / 小池 修一郎  
演出 / 稲葉 太地

先にBパターンを息子K(星ファン) と、
次にAパターンを息子T(星 初観劇) と一緒に観劇しました。
Kは別日にAパターンも観劇しています。

「愛と死に彩られた5日間の短い恋の物語」を日頃は親と込み入った会話もしない20代の彼らがどんな感想を持つのか楽しみでした。

 

5日間を生きる

 

ロミオとジュリエットの2人だけに焦点を当てると、

1日目 
キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込んだロミオがジュリエットと出会う。
バルコニーでプロポーズ
 
2日目
教会で結婚式をあげる。
マキューシオが殺され逆上したロミオがティボルトを殺してしまう。
 
3日目
大公はロミオをヴェローナから永久追放に処す。
2人はジュリエットの部屋で最初で最後の朝を迎える。
ジュリエットは父親にパリス伯爵との結婚を強要される。
 
4日目
ジュリエットはパリス伯爵との結婚を逃れるために神父に相談して偽装自殺を計る。
 
5日目
真実が伝わらずジュリエットが本当に死んだと思い込んだロミオが自殺、目覚めたジュリエットも後を追う。
 
この5日間に永遠の愛を封じ込めて2人は悲劇的な結末を迎えます。
彼らと同世代の10代の頃に原作を読みましたが、どのように感じたのか昔過ぎて覚えていません。書き留めておくものですね。

『誰がために鐘はなる』の3日間の恋にも衝撃を受けましたが、儚さや刹那(さ)はより鮮烈に心に刺さることがあるようです。

 

ロミオ / 礼真琴

 

キラキラ輝く目、甘い顔だち、登場シーンからロミオを感じてハマり役でした。

仲間と騒ぐ若者らしい陽気な面不安に怯える影の部分も歌での表現が素晴らしかった。
数々の難曲を歌い上げてさすが歌の人、特に「僕は怖い」は圧巻でした。

 

衣装はポスターや制作発表で見た時には従来の方が美しく感じていたので心配でしたが、実際舞台で見るとストーリーに引き込まれ違和感を感じず、むしろ似合っていたように思います。
 
トップと役柄の相性が良いと気持ち良いです。
1つ例を挙げると望海さんとファントム役がピタッと合った時に感じたような爽快感がありました。
 
特別に歌唱力至上主義ではないのですが、表現力の豊かな歌は作品に浸れるという点で大きな魅力の一つではあります。

素晴らしいロミオだったね、これは3人共通の感想。
星組ファンKの自慢のトップです。
 
 

ジュリエット / 舞空瞳

 

エル・アルコンの女海賊ギルダは今までと少し毛色の違う役でチャレンジだったと思います。

愛らしくて自分の気持ちに素直なジュリエットはひっとんの持ち味を生かせる役ですが、プラス芯の強さ情熱的な面も感じられ、ギルダ役の経験が生きているように思いました。

歌声も綺麗で表情豊かなジュリエットはとっても魅力的。
もっと伸びしろがありそうで楽しみです。

まだまだ瑞々しいことなこも一作ごとにコンビの形が作られていくと思います。
この大作をやり切った後は舞浜アンフィシアターですね。
最後のデュエットダンスも素晴らしかったので、歌って踊れるショースターコンビのさらなる飛躍になりそうです。
 
 

愛月ひかる

 

まずビジュアル。ティボルトも死も出来上がってました。
それは男役愛月ひかるの顔と言えると思います。

一躍有名になった「愛ちゃんの死」は群衆の中でもどこにいても圧倒的な存在感で死の香りを放ち、ティボルトでは危険な香りを放っていました。

 

Bパターンを先に観劇した私とK、2人して終演後に愛ちゃんの死に衝撃を受けたことを確認。

どこまでもせおっち贔屓の息子K「セリフのない愛ちゃんの死の存在が凄すぎてティボルトも絶対凄いと思う。せおっちのティボルトもこんなに凄いのにもっと凄かったら…(どうしよ)←「凄い」連発

大丈夫。役替わりを楽しもう。それぞれに「凄い」ティボルトがある。

 
トップとは真逆の個性を持っている愛ちゃんがいることで今後の星組作品の幅も広がりそうですね。

次回別箱は2度目の東上公演となる『マノン』
3年前の東上主演『不滅の棘』からますます大人の色気が増した愛ちゃんの主演作に注目です。

 

瀬央ゆりあ 

 

役替わりのティボルトとベンヴォーリオは敵同士の役。
切り替えが難しいと思いますが、せおっちの演技は真っ直ぐ心に響いてきます。
特にベンヴォーリオ最後のソロはロミオへの愛が溢れていて泣けました。


2役とも大きな役で『眩耀の谷』からせおっちが担う役割は大きくなってきています。
琴ちゃんの明るいパワーと愛ちゃんの艶やかな男っぽさを兼ね備え、赤にも青にもなれるところが強みかと。
 
息子Kはこの公演でいろいろ考えることが多かったようです。

「せおっちティボルトは最高やったけど愛ちゃんはやっぱり存在感が強かった。
上級生からいい刺激を受けることは有難いし、せおティボは東京ではもっと深化しそうな気がする。
ベンヴォーリオは最高を超えた。歌に心がある。声も良い。歌も良い。顔も良い。全て良い。せおっちのトートが見たい!」
 
大絶賛ですが(笑)、
せおっちに関しては舞台映えするビジュアル、公演ごとに進化する技術、心のこもった演技に私も大きな期待を寄せています。
 

 

乳母 / 有沙瞳

 

そのKはくらっちファンでもあります。
乳母役に感動してますます好きになったそう。

そしてもう一人の息子
こちらは珠城さんのファンで月組公演の時だけ現れます。
の希望(圧)もあり今回は星組初観劇。

舞台に感動したも美人の乳母役の人が好きだと。
なんと!兄弟揃ってくらっち大絶賛!

年齢的には叔母さん役になりますが、見せ場は多くて重要な役どころ。
ジュリエットを愛する乳母役の心情豊かな演技は涙を誘いました。
 
(真面目な)も(ちょい軽めの)も虜にしたくらっち最強です。
『マノン』では2人まとめて止めを刺されるでしょう。簡単に。
 
 

綺城ひか理

 

長身で立ち姿が美しく歌も上手い。
パリス伯爵とベンヴォーリオと色の違う役をしっかり演じ分けて既に星組になくてはならない存在ですね。

パリス伯爵は大金持ちでいい人かもしれないけれど、若い娘がときめくタイプの男ではないかと言って渋さもなく軽そう(パリスごめん)…
なイメージの男を上手く作り上げていたのはさすがです。

対するベンヴォーリオは生き生きとした若者の姿が投影されていて、あかさんの描くベンヴォーリオ像がしっかり出ていました。
瀬央さんとの役作りの違いがはっきりしていて役替わりの面白さを感じました。

 

天華えま

 

私はマキューシオという人物にかなり興味があります。
ヴェローナ大公の甥であり身分は高いものの口が悪くて俗っぽい。
王子様ロミオとは友達でも真逆のタイプ。

マキューシオが死からマスクを受け取り、ロミオはそのマスクをつけてジュリエットに出会う。
死の影が3人につきまとうのですが、そのマキューシオと死を演じるぴーすけ。
マキューシオの持ち歌「マブの女王」は彼らしさが出ていて良かったです。

「ロミオにキレるところも死に際の演技もぴーキューシオ最高やな!」by K

ぴーすけの「死」もダンスの表現力が上手く、あと表情、特に目が印象的。
あの目に射止められたらもう終わりだなと思わせるような目です。
かなり研究されたのではないかな。

 

極美慎

 

パリス伯爵とマキューシオの役替わり、爽やかなイケメンぶりが話題でした。
ビジュアルだけでなく慎くんの伸びやかな演技が好きだと言いつつ、長身で華のある美しさには目を惹かれます。

パリス伯爵は全くイメージできなかったけど陽気で脳天気な雰囲気がよく出ていて意外とツボでした。
マキューシオも思ったより骨太な役作りで、ふと新公があればロミオ役だったかもと残念に思いました。

 

キャスト一言づつ 

 

天寿光希 / 娘への思いが溢れる歌が感動的でした。
夢妃杏瑠 / 美人のママさん、ティボルトとパパへ向ける視線が違ってましたね。

美稀千種 / 穏やかで優しそうなのにキャピュレットには攻撃的なところが素敵。
白妙なつ / 安定した歌声でした。

小桜ほのか / エトワールの歌声が素晴らしい。役が小さくて残念。
輝咲玲央 / 厳格で威厳のある大公。
遥斗勇帆 / 歌も演技も貫禄ありました。

英真なおき / 物語の肝心要となるロレンス神父。じゅんこさんは4度目、安定の神父様。慈愛に満ちた眼差しと愛溢れる歌声に感動しました。

 

宝塚ver.オリジナルナルで小池修一郎先生が創られた「愛」
「愛と死の相剋」をテーマに追っていく形を撮られたそうですが、この発想は本当に素晴らしかったですね。

「愛」を演じた2人(碧海さりお / 希沙薫) は男役ならではの長身を生かして死と向き合う柔らかくて美しいダンスで「愛」を表現してくれました。

 

「愛」があるから


どうすれば2人は死なずにすんだのかとTKに投げかけてみました。
ロミオとジュリエットに「愛」がある限りはどうやっても「死」を避けることはできないのではないかと。
なるほどなぁ。

役替わりはどちらもバランス良く考えられているので楽しい観劇になりました。
エネルギッシュで美しい世界観を楽しめることは幸せですね。

ありがとうございました。

 

星・うさぎ

月組『 ダル・レークの恋 』感想「月城かなと」素敵でした!

『ダル・レークの恋』感想です。

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2/27配信、3/18梅田ドラマシティで観劇しました。
月城かなとさん、海乃美月さんの感想です。
 

      グランド・ミュージカル
     『ダル・レークの恋』
        作/ 菊田一夫
        監修/ 酒井澄夫
        潤色・演出/ 谷貴矢

 

ダル・レークの恋

 

愛し合う男女がボタンの掛け違いで上手くいかず、女が真実の愛に気づいた刹那に男が去っていく…
というラストで思い出すのはあの名作。

壊れたものを繋ぎ合わせるより新しかった時のことを追憶していたいと、
夕映えの中レット・バトラーは去って行きました。

男が去っていく姿はやたらかっこよくて、その切ない幕切れは憎らしいほどいつまでも胸に残るものですが、
ダル・レークのラッチマンもまことの愛を貫ぬこうと去って行きました。


突然別れを告げられる女はどのように気持ちを断ち切れば良いのでしょう。
しかも。
舞台はカシミールの「水の都」スリナガル
「スリナガルの宝石」「花の湖」と言われるロマンチックな湖ダル・レークでの恋。
相手は貴公子ラッチマン。

完ぺきなシチュエーションのもとに芽生えたひと夏の恋は、いつまでも女を過去の記憶に封じ込めてしまいそう。

こわい…!
 
カマラがラッチマンを忘れられずにパリの街を彷徨う姿は憐れで哀しくて、
その後の彼女にどんな救いがあるのか。
想像を掻き立てられるところにこの物語の奥行きの深さ、面白さがあります。

2人の別れからラストへ向けての流れが秀逸ですね。永久保存版。

唐突ですがトート(エリザベート)は登場シーンで、ラッチマンはラストシーンでどれほど惹きつけられるか私の注目ポイントになっています。
ダル・レークでは演者がラッチマンの人生をどれほど生きてきたのか全ての答えがラストシーンに表れるように思います。
 

ラッチマン 月城かなと

 

ラストシーンのれいこさんの歌は期待以上に彼の心情を語っていました。
余韻に浸ると言いますが今もなおダルレーコ(湖)にゆらゆら揺れている感覚です。
 
ラストパーティの時よりさらに魅せる力が大きくなり骨太な演技にぐいぐい引き込まれました。
歌の表現力が豊かになり、艶のある声、無理のない発声、高低音域の幅も広くて心地よく響き上手いと思いました。
 
特に印象に残る2シーン。
 
◆第1幕、ダル・レークの祭りのシーン。
街の人たちの言葉に戸惑う2人には未来は見えず…
2人の複雑な心境が伝わってくるシーンです。
この時が2人の別れを決定づけたのではないかと。

前夜はあの例の幻想的な湖畔での谷先生曰く大変大人のラブシーン。はい。
ラッチマンはこの夜に全てをかけたのでしょう。

しかし自分の身分を捨てきれなかったカマラ。
自分自身を愛してほしいラッチマンが、カマラを見送る姿が盛大に哀愁を帯びていて切なくなる場面です。

ここへきても自分の身分をあかさないラッチマン。
意思の強さは彼の男の美学でもあるのでしょうね…。
 
◆第2幕、7年前のパリ。
 
小雨のパリ、ナイトクラブ、黒いタキシード、グラス片手、シャンソン、イケメン

このキーワードのパズルを完成させると「月城かなと」になります。
魅力的でしたね、かっこいい。
ここのオペグラ⤴︎率はかなり高かった。
れいこラッチマンがグラス片手に歌うシャンソンは令和ver.のオリジナル曲、何度もリピートしたくなります。ここも永久保存版。

放蕩息子ラッチマンは決して純朴な王子様ではなくちょいワルな面もあります。
ここでは彼の父親との関係や詐欺師との勝負など、騎兵大尉とは別の顔で魅了してくれます。
このシーンは身分や家柄だけでなくラッチマンの本質を知る上で大切な場面です。
 
ラッチマンは難しい役ですね。
静かで重く、華やかで優雅で逞しく、強くて切ない。
数々の仰々しいセリフもサラッと言える技量がなければ心に響かないでしょう。
 
れいこさんは、ここ数年の大劇場ズッコケ役シリーズ(←まとめ方が雑^^;)から、ピガールでは本来の月城かなと路線へ、そしてダル・レークで魅力全開。
 
ラッチマンは今の宝塚でやはりれいこさんが1番しっくりくるように思います。
白いラッチマンも黒っぽいラッチマンも魅せられるれいこさんは決してラッチマンという役に負けてませんでした。

恵まれたビジュアルも大きく、ダル・レークの世界を理想どおりに作ってくれて素晴らしいです。

東京初日から連日のように「美」という言葉が飛び交っていましたが、れいこさん登場の度にオペグラがいっせいに上がるのは圧巻でした。

ピガールからダルレークにかけてもの凄い勢いと強さを感じます。
 

カマラ 海乃美月

 

ヒロインのカマラ役の海ちゃん(海乃美月)とは息もぴったり。
ラストパーティでもコンビを組み、アンナカレーニナでも夫婦役でしたね。
2人の安定感は確かに抜群です。
インドのお姫様の綺麗な衣装が良く似合っていました。

ラッチマンを求めて彷徨う姿は悲しさそのものです。
心にぽっかり空いた穴は誰にも埋められず、
眠りにつくまでラッチマンを思い、目覚めた瞬間からラッチマンを思うのでしょう。
友達と話していても食事をしていても誰かと踊っていてもラッチマンを思うのでしょう。
 
では彼と出逢わなかった人生が幸せだったのか、
傷つきボロボロになっても彼女の人生を彩る恋は必要だったのか、
カマラにさえわからないかもしれませんね。

インドのお姫様という私たちには想像の域を超えた世界の女性であっても人を愛する気持ちは同じ、どこからやり直せば上手くいったのだろうか…などとあれこれ考えたりしました。
大きく揺れるカマラの気持ちや悲哀には泣けました。海ちゃん良かった。

 

あと新しく登場した水の青年(彩音星凪)、水の少女(菜々野あり)のダンスはとても美しくて、作品を幻想的なものにしていて素敵でした。

 

巡り会う

 

頭で思うことと心と行動が上手く処理できないことはよくあります。
ラッチマンとカマラもそうなのかなと。
愛と憎しみは時代を超えて普遍的なテーマですね。

2人は高貴な身分の役がお似合いで、宝塚の伝統的な王道作品に大人の正統派コンビは見事に合ってました。
観劇後は宝塚らしい良い舞台を観たなぁと多幸感に包まれましたよ。

私のお隣は初演をご覧になったお二人連れで舞台を懐かしんでおられました。
懐かしい舞台に再び巡り会えることは宝塚の良いところです。

最後に。
れいこさんが頼もしかった!
作品の世界観を大切にしつつ「月城かなと」の世界観で描くラッチマンは大変魅力的でした。
れいこさんのこれからがますます楽しみです。

 

月・うさぎ

雪組『シルクロード』感想ー砂漠を彷徨う狼ー望海風斗

 

雪組『 f f f / シルクロード 』東宝公演の幕が上がり、大きな砂時計が反転して再び時間が動き始めました。

舞台はシルクロードのロマンを掻き立てられるシンプルで統一感のある色づかい。

多色づかいを抑えることで望海風斗真彩希帆、雪組生一人一人が放つ色彩が鮮やかになり、
素敵なシルクロードの旅を体感することができました。

雪組の皆さん本当にありがとうございます。
どうか無事に千秋楽まで完走されますように。

 

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宝塚大劇場で観劇した時の感想になります。 

     かんぽ生命 ドリームシアター
レビュー・アラベスク『シルクロード~盗賊と宝石~』
          作・演出/生田 大和

 

砂漠を彷徨う狼


生田先生が『シルクロード』創作ノートに「盗賊は砂漠を彷徨う狼」のイメージと書かれていたことから、
ブルーに輝く宝石(真彩) を追いかける荒ぶった黒いターバンの盗賊(望海) を素敵な狼と思って観ていました。私だけかな?

ともかくターバンを巻いた望海さんは最高にかっこよかったですね。
 
そして気になる舞台中央の巨大な砂時計

これについて生田先生がこのように語られてました。
「砂は時間そのもので、この砂時計にこれから続く場面のすべてが詰まっているようなイメージ。」

砂のひと粒ひと粒が望海さんの今を刻んでいき、雪組の今を刻んでいるのだなと。

砂については翔ちゃん(彩凪翔)が座談会で言われていたことも印象的でした。
「菅野先生は、砂に対してのイメージや歌い方についてもすごくアドバイスをくださって、本当に勉強になった。砂の香りなど情景がお客さんに伝わるよう頑張りたい。」

難しそう。翔ちゃんは歌もダンスも活躍の場が多く物語の案内役でもあるので求められるものも大きいような気がします。

娘役の砂役というのも面白く、よく見るとそれぞれダンスや表情で砂を表現されているようで皆さん工夫されてるなぁと。そしてとても美しいと思いました。

 

ダイヤモンド真彩

 

宝石(ホープ・ダイヤモンド)になって歌い踊る真彩希帆
どんなジャンルの曲も見事に歌いこなす、まさに歌姫。

ミステリアスでゴージャスでとても綺麗でした。

ホープ・ダイヤモンドは持ち主が転々としていくところから「呪われた青いダイヤモンド」と呼ばれるようになったとか。
もっともこの伝説はかなり脚色されているようですね。

産地はシルクロード生まれ、一時期窃盗団に盗まれていた時期もあるようで、
生田先生はよくこの伝説を持つ宝石から発想を飛ばされたなぁと感心しております。


その宝石の真彩ちゃん、最後の舞台でお芝居、ショー共に魅力を爆発させたのではないかと思っています。

トップ就任以来どの役も卒なく演じられてましたが、サヨナラ2作品とも役柄の性質上望海さんと対等に向き合う強さが必要で、それができる真彩ちゃん(むしろ持ち味全開)に私は深く感動しているのです。

今回はダンスも素晴らしくて卒業後もまだまだ可能性が広がりそうで、わくわくさせてくれる人です。

 

キャラバン隊リーダー

 

キャラバン隊のメンバーにはカリさん(煌羽レオ) まちくん(真地佑果) けんじくん(ゆめ真音) ひーこさん(笙乃茅桜)たち卒業メンバーが。
一緒に旅をするというのはいいですね。

リーダーは彩凪翔
赤い髪と衣装がよく似合っていて素敵。

翔ちゃんに誘われるままシルクロードから広がる様々な幻想の世界へと時空を越えて旅をしますが、キャラバン隊の旅にも時間の砂は流れています。
 
フィナーレで翔ちゃんが銀橋で客席を見渡すところでいつも私の砂時計は一瞬止まります。

去り際の「じゃあね! 」があまりにかっこよくて翔ちゃんらしくてこの瞬間を大切にしたいと。

その後翔ちゃんから宝石を奪い取るイケメン盗賊が卒業する朝澄希くんというのもいい演出。
 
黒燕尾の彩凪翔、煌羽レオの洗練されたダンス、磨かれた男役の美。
引き継がれていく宝物ですね。

 

亡国の夢幻

 

彩風咲奈 朝月希和

お芝居の絡みはなかったですが、ショーは2人のシーンが多くて、そのどれもが明るい未来を感じさせます。

だいきほが原色ならさききわはパステルカラーの輝き、
だいきほが真夏ならさききわには春の訪れを感じます。
(私のイメージです)
 
「幻視」のシーン

穏やかで温かみのある夢のような世界観を次期トップコンビが創りだします。

それはシルクロードの砂の下に眠るかつて愛し合った恋人たちの幻。

身体はいつか土に帰っても美しい時は永遠に生き続けているのだと、2人の笑顔に生きる意味を感じてほろりとなる。

咲ちゃんの横で伸びやかに寄り添い踊るひらめちゃん。
2人のワルツが幸せに溢れていて温かい気持ちになります。
 
フィナーレでは望海さんから笑顔で薔薇を受け取った。

渡された薔薇の重みは咲ちゃんしかわからないけれど、きっと新たな旅で多くの人に夢やときめきを届けてくれるでしょう。
春からはひらめちゃんと一緒に素敵な花を咲かせてください。

 

千夜一夜物語異聞


シャフリヤール  朝美絢
シェヘラザード(宝石)  真彩希帆
黄金の奴隷(盗賊)  望海風斗
 
シャフリヤール王 は『千夜一夜物語』の中の架空の王様。
妻のシェヘラザードから毎夜物語を聞いている。

そこへ「ワルだぜ! 」の奴隷くんが連れてこられてシェヘラザードと惹かれ合う…
というちょっと切なく危険なストーリー。

何しろ王様は激しい。
奴隷を足蹴りにし嫁をビンタしたりする!
それが素敵なんだけど(お芝居だから)(あーさだから!)

今後はショーの危ない男系はあーさが担当してくれるのかな。←希望
このシーン、あーさは歌も良くてオーラがあり見応え十分でした。
真彩ちゃんとの並びも新鮮で良かったですね。

 

大世界ーダスカー

 

皆の大好きな上海のクラブの名はダスカ

花組時代の朝夏まなとさん主演作品「BUND / NEON  上海」(2010年の生田大和のバウホール公演デビュー作)で、
望海さんが演じたキャラクターと同名の「劉衛強」として登場。

それだけでもワクワクするのに
惹きつけられる要因が満載。

2つの勢力のマフィアによるダンスバトル…という世界観。

両脇に羽織夕夏有栖妃華を従えた
真彩希帆の見事なラップ。
原曲はCaravan Palaceの"Lone Digger"

♪ねぇどこ見てるの私はここよ
リズムを感じて

リズムを感じながら踊る望海風斗
色気ダダ漏れチャイナ

(青幇)彩風咲奈 vs (紅幇)彩凪翔
華やかなダンスバトルに萌え転がる
 
とにかくカッコイイ。
男も女も音楽もダンスも。

劉衛強がダスカに生きていると思う瞬間

このシーン望海さんほど似合う方はいるだろうか。

1番心が揺さぶられる大好きなシーンです。
それなのに
どうしたことかいつも急激に寂しくなります。

 

だいきほ!


最後の黒燕尾で一輪の薔薇を持って佇む望海さん。
真彩ちゃんのホープ・ダイヤモンドを思わせる青い薔薇

薔薇は次期トップ咲ちゃんへと渡され、

白い衣装で最後のだいきほ甘いデュエットダンス。

流れるように進んでいくシーンはどれも素敵で、
幕が降りる度に砂時計は静かに流れているのだと我に返ります。
 
中盤まではストーリー性を持たせ自由な発想ながらテーマ性を持って展開していき、
後半はサヨナラ公演の王道へと繋がっていくという流れはとても良かったし、羽山先生の黒燕尾の振付けも素敵でした。
 
楽曲も期待どおりの素晴らしさで歌詞も覚えやすくて記憶に残るメロディライン。
最強ボイスが菅野よう子先生に出会えて良かった。

今さら発言ですが望海さんの喉は一体どうなっているのだろう。

自然で無理のない深く豊かな声。
歌えば言葉の持つエネルギーがよく響く滑らかな旋律となり人の心を動かしてくる。

そこに極上の真彩希帆の歌が加わり、2人の歌声が溶け合う。
私がコンビでこれほど歌で魅了されるのは初めてです。

何度でも言う。ありがとう。

 

砂時計

 

『シルクロード』作・演出の生田大和先生は望海さんの宝塚人生に縁が深い先生でした。
 
前述した『BUND NEON』は先生のデビュー作、望海さん花組新公主演『太王四神記』、雪組東上公演『ドン・ジュアン』、お披露目公演『ひかりふる路』、サヨナラ公演『シルクロード』と、望海さんの節目の時にはいつも先生がいらっしゃるように思います。
 
もしも、今回お芝居の演出が生田先生でショーが上田先生だったら全く違うサヨナラ公演になっていたでしょう。
ちょっと興味ありますね。
 
『シルクロード』は主役を引き立てながら全員が場を得て活躍していたことも良かったところです。

砂時計の上で待機している砂は未来、
流れる砂が今ならば、下の砂は今まで積み重ねてきたもの。
と、砂時計はよく人生に例えられます。 

ならば下の砂は望海さんの宝塚の輝かしい歴史でもある。

男役・望海風斗のシルクロードの旅は終わっても仲間たちの旅はまだまだ続きます。

旅の終わりに望海さんはどんな景色を見るのでしょう。

最後の日まで宝塚の男役を完全燃焼されることを祈っています。

 

雪・うさぎ  

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雪組『f f f』感想③ 望海風斗「勝利のシンフォニー」

雪組公演『f f f -フォルティッシッシモ-』『シルクロード~盗賊と宝石~』
宝塚大劇場公演が2021年2月8日(月)幕を閉じました。

寂しさより何よりも無事に千秋楽の幕が降りて本当に良かったです。
 

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昨日はライビュにて望海さんたちをお見送りしました。
この1ヶ月余り、観劇の日々を過ごせたことに感謝しています。
まだ余韻が冷めない状況ですが『fff』について観劇後に書き留めていたものをまとめてみました。

 

予想できない!

 

望海さんがベートーヴェンを演じると発表された時、頭の中でストーリーを思い描きました。
音楽家として栄光の日々に隠された苦悩と挫折。
不滅の恋人との情熱的な愛、別れ…。
音楽と恋に生きたベートーヴェンの人生をドラマティックに描いた超大作!

こんな感じかな…と。

もちろん上田久美子先生がこんな安易な発想↑をされるはずもなく、初観劇の日にはかなり衝撃を受けました。心の中で雄叫びあげるくらい。

何度か観るうちに難しいことを考えず望海さんに身を任せよう←と思い至りましたが。
贔屓のサヨナラ公演ということも相まって忘れられない作品になりそうです。

 

ここからは望海さんを中心に ストーリーやキャストについて盛大にネタバレしながら私見、感想を一気に書いていきます。最後の方はのぞ様への愛が高まってきてグタグタ〜

(ベートーヴェンをルートヴィヒ、或いはルイと表記)

 

運命が扉を叩く

 

交響曲第5番「運命」はルートヴィヒの人生を象徴していると言われてますが、fffもこの曲をモチーフにしてストーリーが描かれています。

 

女が少年ルートヴィヒの家の扉をノックする。
ドンドンドンドン
運命の扉が開かれた時から少年は女と一緒に生きてきた。
女が誰なのかは知らない。

交響曲第5番「運命」の始まりは運命の扉を叩く(と言われている)衝撃的な音ジャジャジャジャーンから始まります。

 

やがて青年となり音楽家として成功するが失聴や失恋、体調不良、次々と苦難が押し寄せてきて生きる希望を失いそうになる。
女の存在を強く意識するようになる。お前は誰だ⁈

人生の終焉を前にして女の正体がわかり受け入れることで彼は最後のシンフォニーを完成させることができた。

交響曲第5番の第1楽章は重く暗い感じで始まりますが、最後の第4楽章になると明るくエネルギーに満ちたメロディになります。
 

自分に与えられた運命を愛するまでに至るルートヴィヒの人生を壮大なシンフォニーの中に息づかせることで完成した素晴らしい作品です。
見事に応えた望海さん真彩ちゃん雪組の皆さんには観劇度に感動が深まりました。
この作品でお見送りできて良かった。

 

ベートーヴェンと○△□

 

今まで望海さんが演じた役は仲間や同志の繋がりの中で生きる男が多かったですが、ルートヴィヒは登場人物それぞれと異なる形で関わっていきます。

ナポレオンとは実際に話したわけではなく。
ゲーテとは出会いと訣別を。
ゲルハルトは親友。
不思議な関係の謎の女。(いいのか悪いのか相性は良さそう)

実生活で関わっている人よりナポレオンやゲーテらとの精神的な繋がりに重きを置くという斬新な演出には驚きと同時に面白さを感じました。

作品の中にはドンジュアンやロベスピエール、オスカーや吉村貫一郎、そして最後は『SV』と望海コレクションの要素が随所に散りばめられていて、そんなサプライズは嬉しくなります。

そしてユニークな天上界の天使や音楽家たちの存在。
これについては以前感想を書きました。

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ボンの人たち

 

父親(奏乃はると)はアルコール依存で暴力的で残念な父。
奏乃さんは個性の強い役ほど威力を発揮されると思ってますがやはり期待以上でした。

「幸福な家庭は似たようなものだが、不幸な家庭はみんな事情が異なっている。」

アンナカレーニナの書き出しを思い出します。
確かに不幸の形は千差万別で悲しみや苦しみは他人にはわからない。
わからないので人は自分が誰よりも不幸だと思いがちです。

小さなルイが自分の不幸に気づいた時、彼の心の中の扉を女がノックしました。
僕なんて死んじまえ。
 
そんなルイに希望の光を灯したのがゲルハルト(朝美絢)ロールヘン(朝月希和)
前作で妖艶な美女を演じたあーさが爽やかで心優しい青年を好演しています。

この作品で圧倒的に前に出てくるのはベートーヴェン、ナポレオン、ゲーテの天才の3人組。
好青年役を印象づけるのは意外と難しいですが、あーさは出過ぎず引き過ぎず程よいバランスで聡明なゲルハルトの存在感を出していてとても良かったと思います。

彼の妻となりルイがずっと慕っていたロールヘンひらめちゃん。
風と共に去りぬのメラニーを思わせる柔和な女性。

キャロルと吉次さんからの転身がお見事な2人でした。
 
お芝居上手なひまりちゃん(野々花ひまり)には一気に少年時代のルイに引き戻され、青年になったあみちゃん(彩海せら)の男っぷりが上がっていて驚きました。歌も上手くて素敵な男役に成長されましたね。りさちゃん(星南のぞみ)の演技力も上がってきてこれからの雪組も楽しみです。
そしてルイに語りかけるケンジくん(ゆめ真音)の言葉は優しくてとても印象に残りました。ありがとう。
 
ルイの母親役ひーこさん(笙乃茅桜)
母親の他に「小さな炎」となり美しいダンスを披露されます。

ルイが希望を見つけたら炎となって静かに現れる。
彼が元気なら力強く舞う。
彼に希望が無くなれば消えてしまう。
まるでルイの母親のように彼の気持ちに寄り添う優しい炎は大変印象的でした。
東宝公演でも美しい炎を灯してください。

 

ルートヴィヒとゲーテ

 

『わが文学は人間の光』静かな佇まいでルートヴィヒとナポレオンを眺めているゲーテ(彩凪翔)
幅広い知識と教養を持ち何ごとも高い基準でこなす彼もまた天才。蛇足ですが恋愛には自由奔放で非常にモテた。

実年齢はルイよりかなり上、彩凪ゲーテの落ち着いた大人のエレガントな雰囲気と知的な物腰男役 彩凪翔の集大成に相応しい役作りでした。


彩凪ゲーテを観て彼のことをもっと知りたい、彼の詩を読む贅沢な時間を過ごしてみたい。そんな風に思いました。

ルートヴィヒとゲーテが出会うエピソードは2人の感性や性格の違いがよくわかるシーンでしたね。

ルイやナポレオンを見つめる冷静なゲーテの視線が、望海さんと咲ちゃんへ向ける翔ちゃんの優しい視線に感じてじわっときました。

翔ちゃん、望海さんと一緒に駆け抜けていくのですね。
今の彩凪翔主演の舞台が観たかったという叶わぬ夢。
Sho-Wでいい夢を見せてくれたことは救いになっています。

翔ちゃんの最後の役がゲーテで良かった。
まだまだ素敵に輝いてください。

 

ウィーンの人たち

 

気難しいルートヴィヒを大きく包み込んで支援していたルドルフ(綾凰華)
あやなちゃんが演じる役は高い確率でいい人ですね。セリフに優しさが溢れています。

美しい恋人ジュリエッタ(夢白あや) ルイとは結婚観が違い過ぎました。華があり大人な雰囲気が楽しみな人。

彼女の婚約者(真地佑果)まちくんはいつも役を凄く研究していると思う。エネルギッシュでその元気な笑顔が好きでした。ありがとう。

そして配役発表でいつも気になっていたのがカリさん(煌羽レオ)メッテルニヒはカリさんの持ち味を生かせる役でとても素敵でした。(どんなお料理作られるのだろう)
寂しくなります。

 

ルートヴィヒとナポレオン


「我が戦闘は人間の願い」と颯爽と現れるのはルートヴィヒが多大な憧れを抱いたナポレオン(彩風咲奈)。

彼を讃えて交響曲第3番を献呈しようと思うほどでしたが、共和主義者であるルートヴィヒは帝位に付いたナポレオンに失望。

「裏切られたわね」彼はまた一つ希望を失い内なる女の声に打ちのめされるシーンがあります。彼の安らぎはどこにあるのでしょう。

彩風ナポレオンは雄々しくて精悍ながら美しくてまさに宝塚のナポレオン。
メイクや髪型にもこだわりが感じられ戴冠式は貫禄もあり立派でした。

 

ルートヴィヒがボンに戻りロールヘンの死を知った後彼の側の小さな炎が消えてしまいます。

力尽きたルートヴィヒが夢の中でナポレオンに助けられ、やがて2人は音楽と戦術の法則を見つけたかのように兵隊たちを動かしていきます。
音楽は交響曲第5番4楽章
タタタタン  タタタタン

静寂の雪原でシンフォニーに合わせて戦列をつくる兵士たち。
静から動へと見応えあるシーンでルートヴィヒが再生するきっかけになる上田先生のこだわりのシーンだと思います。
今まで結びつきの強い役が多かったのぞさきが絡むのはこのシーンだけ。
しかも現実ではない夢の中。

夢の終わり、消えていくナポレオン。
女は彼から形見にライフルを貰ったと。
ナポレオンも人生の終わりの時、もう1人の自分を受け入れたのか。
人は死を前にすると誰しもそうなるのでしょうか。


ベートーヴェン、ナポレオン、ゲーテ。
作品は3人の天才の個性や繋がりが効果的に描かれていて望海ー彩風ー彩凪のチームワークが最高でした。

 

ハイリゲンシュタットの遺書

 

劇中でナポレオンに失望し聴覚の不安に襲われたルートヴィヒが歌うのがハイリゲンシュタットの遺書。

ルートヴィヒが書いた有名な遺書について簡単に触れておきます。

ルイがウィーン郊外ハイリゲンシュタットで部屋を借りて滞在していたのが31歳の時。 
難聴の温泉治療のため。
そこでの穏やかな生活は孤独との闘いでもあり心が閉ざされていく。
先の不安が恐怖を生む。
1802年10月6日ついに耐えきれなくなり2人の弟に手紙を書いた。

内容は、難聴の苦しみから命を絶つことを考えたこと。それを引き止めたのは芸術であったこと。自分に課せられた創造をやり遂げずこの世をさることは出来ないと思ったことなど。

この手紙は投函されることはなく24年間眠り、彼の死後発見され後に「遺書」と名付けられました。

しかし彼は死ぬほどの苦しみから凄まじいエネルギーで自己再生に至ってい気ます。最後は力強いくらいに。
手紙に思いを書きとめることで頭が整理され物事の本質を悟ったのかもしれません。

病気にたち向かうのてはなく、自分の運命としてその不幸を受け入れることを悟っているかのように。
 
fffで望海さんが歌うハイリゲンシュタットの遺書、見事でしたね!
ルイの苦しみも悲しみも音楽への情熱もとても良く表現されていました。

これほど歌に素晴らしい表現力を持つトップに出会えて私の人生も豊かになりました。

 

ルートヴィヒと謎の女

 

娘役トップ真彩希帆の宝塚最後の役が謎の女。
可愛いプリンセスでも美貌の女優でも陽気で皆に愛されてる町娘でもなく。
それどころか人類の嘆く声から産まれた女、誰もが憎む女。
よって人にあらず。ルートヴィヒや皆の人生に寄り添うよう存在する女。

このような関係性の2人をサヨナラ公演で観るとは想像もしませんでした。

それでも私は真彩希帆の演じた役の中で1番魅力を感じます。

娘役という枠組みを外して演じた謎の女には真彩ちゃんの役者としての無限の広がりを感じました。

Twitterでも呟きましたが、以前望海さんが真彩ちゃんのことをこれからが恐ろしい子と言われていたことがよくわかりました。どこまで行くのでしょう。

そしてそれは望海さんも同じ。
ヌードルスが集大成の望海さん、集大成をも飛び越えてしまい男役娘役を超えた演者として役者として、2人だから完成した舞台ではないかと。
「望海風斗」さんの相手役が「真彩希帆」さんで本当に良かったです。

 

人生は幸せだった!

 

「運命」と名付けた不幸を愛することは自分自身を愛すること。

その時、彼が書きたかったシンフォニーが完成します。
誰もが歌わずにいられない喜びの歌。

もし彼が不幸の中に溺れていたらこのような曲を書くことは不可能でした。
ですが不幸を知っているからこそ完成した曲でもあります。

なのでルートヴィヒが叫ぶ「人生は幸せだった!」は彼の最後にとてもふさわしい言葉だと思います。

彼ではなく望海さんが叫ぶ「人生は幸せだった!」はそのまま望海さんの彩り豊かな宝塚人生を表していて、
何度も言いますがサヨナラ公演がこの作品であったことを心から嬉しく思います。
幸せです。上田先生に感謝します。
 
望海さんはルートヴィヒ役を凄まじいエネルギーで演じ完全燃焼され大劇場最後の舞台を全うされました。

まだまだ東宝公演があります。

シルクロードのこと、サヨナラショーのこと書きたいことはたくさんありますが長文になリました。

ダーーと書いたので誤字脱字も多そうです。
後ほど妹に添削してもらいましょう。

ここまでお読みいただき本当に有難うございます。

続きはまた別日に書きたいと思います。

 

雪・うさぎ

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『ポーの一族』ライブ配信感想〜2人のフェアリー夢の共演 / 明日海りおー涼風真世

『ポーの一族』の配信を視聴しました。
少し感想を書きとめておきます。

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宝塚『ポーの一族』上演から3年になるんですね。
原作ファンで以前から宝塚での上演を希望していたので当時は実現して嬉しかったことを覚えています。
繊細な世界観なので何か一つ歯車が狂うと壊れそうな舞台です。
花組キャストが見事にハマり原作の世界を壊すことなく舞台に現れたポーの世界へと導かれていきました。
 
宝塚でしか上演できない作品だと思っていました。
エドガーを男性が演じることはあり得ない。

ですがエドガーを再び明日海りおさんが演じるという発表に、そうか、それなら外部でポーもできるよねと納得しました。
 
そのみりおさん、エドガーはやはりハマり役ですね。
人間の子供から少年、バンパネラ(吸血鬼)になってからの少年、
自然な演じ分けが絶妙で、原作の持つ耽美な世界が醸し出されて素晴らしいと思いました。
 
みりおさんの宝塚トップ時代の人外の役では、トート、エドガー、エリュの中でエドガー役が1番好きです。
一つはエドガー役がハマる方は圧倒的に少なくて、
見た目のフェアリー感はもちろん、儚さと強さ切なさ妖しさを表現できる方。
過去を振り返っても思いつくのは朝海ひかるさん、涼風真世さん、もっと昔なら安奈淳さんとか。
 
その涼風真世さん。
かなめさんの舞台は5年前のゾフィー役以来ですが、伸びのある歌声は宝塚時代から変わらず。
先日Twitterフォロワーさんから「いーちゃん(寿ひづる)以来の七色の歌声でしたね」とリプをいただき、そうだった!と思い出しました。

老ハンナの優しさと威厳に満ちた声の使い分け、力強い歌声、
ブラヴァツキー(霊能者)の怪演、どちらも見事で七色の歌声と美貌は健在でした。

当時のベルばらオスカルの眩い煌めきが時を経てさらに素晴らしい彩となり輝きを魅せてくれました。
 
涼風真世、明日海りお、宝塚の2人の異なるフェアリーの共演は夢の舞台になりました。
 
お2人だけの感想になりましたが、一言ずつ書かせていただくと、

ミュージカル初心者のアランの千葉くんは初々しいのが役に合っていてみりおさんとの並びも良かったですし、ねねさんのシーラの妖艶美は原作どおり。

観劇に出向いた我が息子はメリーベルのあーちゃんを絶賛、レイチェルせーこさんは綺麗で弱々しいだけでない母親を好演。
クリフォードの橋之助さんはイメージは違ったものの存在感はありましたね。

あとポーツネル、大老、カスター先生役など男性ならではの迫力によってより壮大で見応えのあるミュージカルになりました。
 
宝塚作品の男役を卒業後の舞台でそのまま演じるというのは早霧せいなさんの『るろうに剣心』に続きましたが、今後もそのようなスタイルがあるかもしれませんね。
(ドンジュアンとか?)

 

『ポーの一族』は萩尾望都先生のところに宝塚以外の舞台からもいくつかお話があったそう。
その全てをお断りになられ、宝塚、そしてこの公演で幻想的な舞台の上演に至ったことは宝塚ファンとしては有り難く嬉しいことです。
素敵な舞台でした!

 

OG・うさぎ

 

雪組『f f f』感想② ユーモラスな天上界の面々を考察 / 縣千/ 一樹千尋 / …

感想②は天上界にいる天使たちとユニークな作曲家トリオについての感想です。

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ネタバレしてますのでお気をつけください。 

ケルブ(智天使)    一樹千尋

ケルビム(天使)    希良々うみ
   〃                羽織夕夏
   〃                有栖妃華    

ヘンデル     真那春人
モーツァルト   彩みちる
テレマン     縣千

マリー=アントワネット 妃華ゆきの

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 望海風斗
 (ここではベートーヴェンと表示)
 

天国か地獄


簡単に天上界の様子をお伝えします。

地上での人生を終えて天に昇ってきた者たちが天国の門をくぐろうとしています。

「お疲れ様〜人生🎵」と可愛い天使たちが美しい歌声で迎えてくれる。
その瞬間、懸命に生きてきた日々が癒されていくようです。

そこに、天国行きか地獄行きか何年も審査待ち状態の人たちがいます。
ヘンデルモーツァルトテレマン、偉大な音楽家3人組‼︎

「バッハは早々に天国へ行ったのに! 」

3人の訴えに
「バッハは神のために音楽を作ってきた。君たちは貴族のため自分のために音楽を作ってきたのではないのか」と智天使ケルブが一喝!

結局3人の運命は、彼らの後継者ベートーヴェンに委ねられることに。
連帯責任…のような?
 
以上が物語の始まりです。
 

ケルブというのは旧約聖書に出てくる智天使でfffでは天上界を司る者として登場。
 
ケルブ役の一樹千尋さんは威厳と落ち着きがあり私の想像する智天使にぴったり。
 
私がヒロさんの名前とお顔をしっかり認識したのは初演時の『炎のボレロ』(雪組でりーしゃが演じた酒場の主人役)でした。
 
当時から安定した演技と歌はどんな役も確かな存在感でお芝居を引き締める力があり、望海さんのサヨナラ公演にヒロさんが出演されるのはとても嬉しく思っていました。
 
そして彼の周りの可愛い天使に希良々うみ、羽織夕夏、有栖妃華さんたち。
可愛い歌うま3人組に耳福、眼福で癒されます。まさに天使。
 

デコボコ3人組

 

さて天国と地獄、どちらに運命が微笑むのか。ヘンデルーモーツァルトーテレマンは、縣くん曰くデコボコ3人組。

天使たちと共に地上に降り立ってベートーヴェンの周辺あちこちに出没します。
 
ある時は肖像画の中、
ある時は街のベンチに。
ある時は民衆と一緒にダンスを。
 
最後のシンフォニーに至るまでのベートーヴェンの人生を地上の人間とは別の視点で見つめ、
物語の案内役としても大活躍。

ベートーヴェンの一挙一動にハラハラドキドキのユーモラスな可愛い3人です。
これから観劇される方はぜひ注目してくださいね。

↓ 彼らの肖像画です。wikiより
 f:id:wind-waltz912:20210119001045j:image

左 ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
中 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
右 ゲオルク・フィリップ・テレマン

 
 
まずヘンデル(真那春人)、バロック音楽の著名な作曲家です。

まなはるくんの髪型、かなり実物と似せていますね。
3人の中では1番年長者のよう。
落ち着いているようでそうでもないところが面白い。

ヘンデルはオラトリオ・管弦楽曲・オペラ作品などその美しい旋律から音楽の母と呼ばれています。(音楽の父はバッハ)

ベートーヴェンはこれまでの作曲家で誰が1番偉大かという問いに「ヘンデル」と答えたそうです。

 

fffモーツァルト(彩みちる)は神童と呼ばれた頃の年齢設定でしょうか。
天上界の姿は自分で年齢を決められるなら有難いのですが。

彩モーツァルトは茶目っ気たっぷりキュートで話し方も動きも少年として違和感もなくとても自然な演技です。
子供役から大人の女性まで役の振り幅が広いですが今回も演技力が光りました。

35年の生涯で626曲の楽曲を作曲、彼の残した楽譜はほとんど書き直しもなく美しく。まさに天才ですね。

ちなみにモーツァルトの母親は楽天的で優しく冗談好きであったといいます。
彼の天性の明るさは母親譲りなのかもしれません。
 
そのモーツァルトと出会ったことがあるというマリーアントワネット役の妃華ゆきのさん。
綺麗で気品があってそこだけベルばらの世界感。素敵でした。
 
 
最後はイケメン青年のテレマン(縣千)

テレマンについて調べてみると、音楽的な才能に加えて頭の回転が早くて商才にも恵まれいたようです。

また彼はヘンデルとは大学時代からの友人でした。
彼は86年の生涯で膨大な数の曲を作り、ギネス世界記録のクラシック音楽の分野で最も多くの曲を作った作曲家として正式に認定されています。

人間的には、変わり者のベートーヴェンや破天荒なモーツァルトとは違って、バランスの取れた人物だったのかなーという印象です。

縣テレマンは衣装も髪型も似合っていて素敵。

この役は動きや表情で演じることのウェイトが大きいですが、真那ヘンデルと彩モーツァルトの繊細な動きに呼応していて良かったと思います。
 
さて、地上の音がうるさいと言うケルブの声にモーツァルトとテレマンがベートーヴェンの耳に雲を詰め込むシーンがありますが、これがベートーヴェンの失聴と繋がることはないと思っています。

ベートーヴェンの失聴が運命ならばそれが彼らによってそれが引き起こされるとは思えないからです。
真実はどうなのでしょう。

 

天上界では

 

この天上界はベートーヴェンの苦難の人生を観察しながら彼の人生の終着点へと観客を導びいていきました。

 

計らずとも彼らの運命の鍵となったベートーヴェンでしたが、天上界でのその後を少し妄想してみます。

彼が自らの運命を受け入れ最後のシンフォニーを完成させたことで無事審査をクリアして天国の切符を手にした3人組。
絆もできて仲も良さそう。
ベートーヴェンは彼らの仲間に入れるのか。
陽キャラのモーツァルトと友だちになれるかな?

自己主張の強いベートーヴェンは天上界でも相変わらず…となりそうです。
ですが決して人間嫌いというわけではなく恋をする情熱もあるので、良き友、愛する女性に巡り会うかもしれません。
 
私の希望(彼へのメッセージ)は、
音楽家としての任は地上で全てやりきった。
諸々から解き放たれて天国で穏やかでいてほしいと思う一方で
天上でも熱く夢を追い続けてほしいと願う気持ちもあります。

 
第九のメッセージを一言で言うと、全世界の平和、地上の平和の願いであり、天上の平和の祈りです。

そんな平和の象徴とも言える天使たちとユニークな3人組についての感想でした。
 
続きます。
 
雪・うさぎ 

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