真夜中のパリの地下都市で繰り広げられる「魅力」という名の華やかなショー『シャルム!』の感想です。
花組トップスター明日海りおさんのラストを飾るショーになります。
レヴューロマン『シャルム!』
作・演出 / 稲葉 太地
カタコンブ
パリの地下には華やかな地上とは真逆の、世界最大の「カタコンブ・ド・パリ」と呼ばれる地下都市が広がっています。
現在見学で一般公開されているのはその中の一部のようですが。
そんな地下都市へフルフル(華優希)に誘われてパリの街のマンホールへと、カタフィルと呼ばれる地下愛好家たちが入っていく…という、面白いオープニングです。
ワクワク感がありますね。
プロローグ
地下都市の中の宮殿に君臨するのはシャルム(明日海りお)
シャルムの意味はフランス語で「魅力」の他に「色香」「魔法」という意味があるらしく、ピンクの衣装に孔雀の羽をつけたみりおさんは、まさにシャルムの象徴。
黒と紫の衣装の花男、花娘たち。
眩しくて美しくて、一夜限りの夢を見ているかのようです。
地底の舞踏会
地下都市の観光名所になっているカタコンブ(埋葬墓地)。
ここで骸骨たちがダンス、カンカンを踊るユニークな場面。
その後の男役の軍服、娘役のドレスのシーンがとても素敵です。
フォーマルな雰囲気がクラシックの音楽と相まってうっとりします。
ここで最初に登場するのは、この公演で退団するしろきみちゃん(城妃美伶)。
最初にマイティ(水美舞斗)と一緒に歌いながらの銀橋、凄く素敵で存在感ある2人です。
つくしちゃんは可愛くて良かったようですが、大人のヒロインも観てみたかった。
そして赤いマントがよく似合うみりお王子様。
個人的にみりおさんはスーツより王子様のような衣装が好きなので、このシーンは本当に素敵です、貴重です。
皆さんこの衣装よく似合っていて、やはり王子様は宝塚の王道なのでしょうね。
みりおさんはその象徴と言いますか、宝塚スターの王道と呼べる人なのだと思いました。
地底の恋人
光ちゃん(柚香光)と華ちゃんの情熱的なシーンです。
光ちゃんはドラマ性のあるダンスは一段と光りますね。
得意のダンスの見せ場でかっこいい。
華ちゃんは青薔薇の演技が良かったし、花組次期トップコンビは特にお芝居に期待したいです。
2人は大人の雰囲気も持ち合わせていると思うので、明るい2.5次元ものも良いのですが、ドラマティックな題材の芝居も良いのではないでしょうか。
期待していたシーン
ショー自体は、奇をてらったものではなく上品で、みりおさんらしく美しく華やかに彩れたショーでした。
これからの花組を背負う若い世代が中心になって、去り行くみりおさんを見送る明るく華やかなショーとも言えるでしょう。
最初にこのショーの概要を聞いた時、期待したい場面がありました。
青い薔薇でみりおさんの麗しい姿を堪能できたので、ショーでは一場面、危険な香りのする黒みりおの登場を期待していたのです。
パリの地下に眠る妖しい悪魔のような男・・。
そんな場面を期待しましたが、そのようなシーンはありませんでした。
このショーのコンセプトにはなかったようです、残念!
王子様やかっこいいみりおさんは観られるので全体的には眼福でしたけど!
アドリブ
この日(9/24)はe+貸切公演、初のスマチケでの観劇でした。
初めてというのは緊張するものです。
いつもと違って手元に紙チケットがないのですから。
メリットデメリットがあると思いますが、転売対策としてはとてもいいですね。
この日のみりおさんのアドリブは、
「血液型何型ですか?私は今日はe+です‼︎」
去りゆくもの美しく
大階段、デュエットは濃厚なものではなく若いトップデビューの華優希さんに合わせているのでしょうか、ソフトで時間も短めです。
そのあと高橋先生音楽、ANJU先生(安寿ミラ)振付の黒燕尾
光ちゃん、あきらさん(瀬戸かずや)、マイティ、そしてグループごとに順番に動いていく振りがとても芸術的で美しいです。
そしてみりおさんを迎えるのですが、一人一人がみりおさんへの思いを胸に秘めているような、そんな気持ちを表現した振り付けがさすがで、とても素晴らしい‼︎
みりおさんがダンスで、マイティ、あきらさんへ絡んでいき、これからの花組を託すシーン。
最後はもちろん光ちゃんです。
そっと光ちゃんの背中を押して光ちゃんが歩むのを見守るみりおさん…光ちゃんの凛とした顔。
このシーンはいつまでも心に残るでしょう。
こうして受け継がれていくトップスターの歴史、花組の歴史。
この公演では青薔薇もショーも、光ちゃんはいいように肩の力が抜けていて頼もしく感じました。
明日はいよいよ宝塚大劇場の千秋楽です。
大千秋楽の幕が降りるまで宝塚の明日海りおとして美しく咲き誇ってください。
そのあとで、もしも明日海りお第2章があるならば、更に美しく羽ばたかれることを願ってやみません。
花・うさぎ