ANOTHER WORLD は 紅ワールド
噂どおり楽しいお芝居でした。
あの世で繰り広げられる摩訶不思議な世界。
落語に詳しいわけではないのですが、十分に楽しめました。
お人好しでカラッと明るい男前の康次郎と紅さんが見事にマッチしていて、とても良かったと思います。
実は「トップ紅ゆずる」の舞台を観るのは今回初めて。
紅ワールド、何だか楽しそう ♪
面白い、楽しい、笑えるといっても、決してドタバタ劇ではありません。
日本の伝統芸能である落語がベースになっているというのはこういうことなのですね。
登場人物一人一人が生き生きとしていて、ストーリーも無理なく分かりやすく展開していきました。
チョンパで幕が開くと、美しい衣装を纏った若衆と美女の華やかなオープニング。
これぞ宝塚☆
お芝居は全体を通してセリフが多く感じました。
特に上方2枚目の紅さんと江戸の2枚目礼真琴さん。
早口なのに滑舌良く、テンポの良い2人のやり取りがお芝居を盛り上げます。
さて、ストーリーの骨子となっている落語がどのように絡んでいるのかですが、
あまり難しく考えるのは体質に合わないので (=この言い回しは違う^^;;)、以前の私の記事の中に書いた落語についての一部をコピペします。
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『ANOTHER WORLD』ベースになっている落語噺(らくごばなし)3つ
・「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」
上方落語の中でも1時間くらいの屈指の大ネタで、内容は地獄を巡るというもの。主演二人はあの世で旅をするんですね。
・「朝友(あさとも」
一目惚れした男女が、恋の病で死んで死後再会。けど、女を閻魔大王が横恋慕するという・・これが今回のストーリーに1番近いような気がします。
・「死ぬなら今」
「閻魔大王や疑獄の役人たちが牢屋に入れられた。死ぬなら今だ」、という話の終着点の意外性が面白い落語ですが、今回はどの辺が取り入れられるのでしょう。
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この3つの落語噺がうまくミックスされて、宝塚の作品『ANOTHER WORLD 』が誕生したのですね 。
2つ目の「朝友」のとおり、紅さん演じる康次郎とお澄(綺咲愛里)は恋煩いが原因であの世に行ってしまうのです。
主演の紅さんは、ちょっと気弱そうな康次郎を好演。
ほぼ出ずっぱりの感じです。
主題歌を楽しそうに歌う紅さんは完全に康次郎さん ♪
気弱そうな康次郎も人の為なら自分をスッパリ犠牲にできるなかなかの男前!
そんな明るくて愉快な康次郎の周りに次々と仲間が集まってきます。
まず、七海ひろきさん演じる喜六
個人的に今回1番のツボ
ご本人曰く、喜六は「愛すべきアホ」
5日前にさばいたサバに当たってあの世行き。
顔つきやら物言いやらぴょんぴょこ跳ねる(イメージだけ?)行動やら、可愛すぎます。
そしてやっぱりイケメン
イケメンなのにぴょんぴょこ
カイちゃんの新たな面を発見しました。
やっぱり89期生の皆さん好きだなぁ♡
粋な江戸っ子、若主人の徳三郎役は礼真琴さん。
フグの毒を食べてあの世へ。
男っぽいい役でかっこいいんです♡
ことちゃんはどのような役も安定感があって素晴らしいですね。
歌もたくさん聞くことができましたが、今回特に初音役の有沙瞳さんと語り手の太夫に挑戦されていて、これも聞き応えがあって良かったです^ - ^ さすが~♪ ♪
綺咲愛里さんは可愛いお澄役。
紅さんとの並びもぴったり、コミカルな役良かったです。
華形ひかるさんの貧乏神も可愛かったです〜
みつるさんのお芝居が好きなので今回も楽しみにしていましたが、やっぱり味のある貧ちゃんの演技でした☆
赤鬼の瀬央ゆりあさんは存在感あったし、桃太郎の極美慎さんもキラリと光ってました。
他にも見どころは盛りだくさん!
冥途にも歓楽街があり、「冥途かふぇ」やら「冥途歌劇団」やら。
冥途歌劇団スターは美稀千種さん♡歌は「冥途、我が心の故郷」
次の演目は「ベルサイユの蓮」のよう。
閻魔庁なるところもあり、怖い閻魔様は汝鳥伶さん。
さすが貫禄です。
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
『死』は人間にとって切り離すことのできないもの。
宝塚で『死』をテーマにした作品と言えば、例えば『エリザベート』
あるいは『メサイア』も大きな意味ではそうかもしれません。
そもそも死後の世界については 国によって、宗教によって、あるいは個人の考え方一つで千差万別。
色々考えるとちょっと怖い気もする(๑˃̵ᴗ˂̵)
だけど。
落語の世界の「あの世」は地獄でさえ笑い飛ばす。
そんな世界があったとは!まさに『ANOTHER WORLD 』
「この世」で生きている私たちが、「あの世」をどんな風に思い描こうとバチは当たらない。
落語の発想はやはりすごいですね。
落語作家の小佐田定雄さんの言葉を借りると、「美」の世界の宝塚と「笑」の世界の落語の縁が深くなることは素晴らしいことではないか。
落語という、私にとってあまり馴染みのなかった世界を宝塚を通して垣間見ることができたことはとても良かったです。
星・うさぎ
『Killer Rouge』の感想です ↓ ↓
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