風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

月組『アンナ・カレーニナ』感想② 孤独な魂を演じる〜月城かなと

 孤高の人、カレーニン

 

アンナの夫カレーニンは主要人物の中では醸し出す雰囲気が皆と違っていて、独特の空気感をまとっている人です。

れいこちゃん(月城かなと)が忍耐の人カレーニンをどのように演じるのか、とても楽しみで興味深い舞台でした。

今回は月城かなとさんの感想を中心に書いてみます。
内容を知りたくない方はご注意ください。


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幸せな家族はいずれも似通っている。
だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形ある。

小説アンナ・カレーニナの印象的な書き出しです。

もしもアンナがヴィロンスキーに出会っていなかったら、カレーニンとどんな形の家庭を築いていたでしょう。

 

カレーニン役は誰?

 

美弥さん主演でアンナ・カレーニナ上演が発表された昨年、カレーニン役は当然美弥さんより上の学年の方だと決めつけてました。

とても重要な役である上に素敵なおじ様でなければならない。
映画ではジュード・ロウが演じてましたね。
宝塚も負けてはいられません。
いし(轟悠)様、ご出演していただけないかしら、と思ったり。

ですが、妹に宝塚カレーニンはヴィロンスキー(主役)より若手スターが演じるということを聞いて、ならばれいこちゃんが適役なのではと思ってました^ - ^
まさか現実になるとは思わなかったのですが。

 

月城かなと

 

アンナの夫カレーニンは、ペテルブルクに住む裕福な政府高官。

常に冷静で保守的、心の中に沸き起こる感情を外に出すことが出来ない人。


れいこちゃんのカレーニンは見た目の若さは感じるものの、お髭も似合うし、なかなかの貫禄で、洗練された素敵なカレーニンでした。
抑えた演技からは彼の孤独や寂しさが伝わってきて胸が熱くなりました。


れいこちゃんはどちらかと言うと静の人のイメージがあります。
なので、今回のカレーニンもどちらかと言うと得意分野かなと。

カレーニンの熟成された男の渋さを出すにはまだ若すぎる感がありましたが、それだけはどうしようもないことで、今の学年からすれば十分だったと思います。

それでもカレーニン役の点数をつけるなら、90点とさせてください。
れいこちゃんファンとしては、今100点だとつまらない。
10点はこの先まだまだ経験を積むことで満たされていく楽しみとして残しておきたいです。

点数とかつけてごめんなさい。
先生みたいですね。


結局アンナはカレーニンの本質を全くわかっていなかったと思います。
見ようとはしなかった。
これは夫婦でよくあることかもしれません^^;

カレーニンはヴィロンスキーに惹かれていくアンナを取り戻すこともできず、彼の魂はとても孤独なものだったでしょう。
れいこカレーニンの切なさは伝わってきましたよ。

自分の子ではないアンナの娘を引き取り、愛を持って育てるカレーニンも、最後に魂の自由を得たと信じたいです。


もし、アンナがヴィロンスキーに出会わなかったらカレーニン一家は平穏に暮らしていたかもしれません。
不幸でもなく、愛も知らず。


✽:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚


*夫婦の名前に注目!


アレクセイ・カレーニン
アンナ・カレーニナ


ロシア人の姓は性別によって語尾がかわります。
女性の場合は語尾にa がつくので、
夫の姓がカレーニンなら、妻はカレーニナになるのですね。

それでなくても長くて難しいロシア名、ますます、ややこしくしているような^^;

 

小説『アンナ・カレーニナ』

 

トルストイの小説『アンナ・カレーニナ 』について、同じく著名な小説家はこのように語っています。

 

ドストエフスキー
「芸術上の完璧であって、現代、ヨーロッパの文学中、なに一つこれに比肩することのできないような作品である」

 志賀直哉
「近代小説の教科書」

 トーマス・マン
「このような見事な小説、少しの無駄もなく一気に読ませる書物、全体の構造も細部の仕上げも一点非の打ちどころのない作品」

 

すごく高い評価ですね。

私は高校生の時に読みましたが、その時はこの小説の良さがわかりませんでした。
アンナの生き方に共感できなかったのかもしれません。

なのに、宝塚ではありませんが舞台があれば観に行き、映画も見に行きます。
もしかして好きなのかな?

実は4〜5年前に読みやすい訳書で『アンナ・カレーニナ 』を再読しました。
この訳は賛否両論ありますが、とても読みやすいので、もし訳者にこだわりがなくて読みたいけど躊躇している方には結構おススメです。
「アンナ・カレーニナ  読みやすい訳」で検索すると出てきます。

 

今回チケットを引き当ててくれた妹1が、直前で行けなくなってしまい、急遽妹2と観劇しました。
妹2は暫く宝塚から遠のいてましたが、この舞台で長い眠りから覚醒・復活!!
次の月組大劇場公演も一緒に行きます^ - ^
さすが美弥様、れいこ様

 

『アンナ・カレーニナ 』は他にも魅力的な登場人物がたくさん出てきて、様々な愛の形を見せてくれます。

感想①で書きましたか、ヴィロンスキーを主役にする舞台は宝塚ならではです。
正直に言うと、どの舞台や映画より美弥ヴィロンスキーと月城カレーニンは素敵でした

やはり私は宝塚の舞台が好きなんですねー

 

月うさぎ

 

感想①です↓
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 感想③です↓

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