雪組『壬生義士伝』観劇感想⑤です。
宝塚大劇場公演の千秋楽、おめでとうございます。
千秋楽の様子は観劇された方の感想やタカニュなどを楽しみにしたいと思います。
今回は真彩希帆さん演じるしづとみよを中心に、吉村家と八木家についての感想です。
やっと真彩ちゃんまでたどり着きました。
ネタバレご注意ください!
吉村家
吉村家の父、貫一郎 (望海風斗) については感想④に書いています。
しづ 真彩希帆
しづは百姓の娘で南部小町と呼ばれる美人さん。
大野次郎右衛門(彩風咲奈)の側室の話も断り、足軽の吉村貫一郎に嫁ぎます。
いつも元気いっぱいの真彩ちゃんが演じるしづは、過酷な運命に抗わず懸命に生きている3人の母親。
『20世紀号に乗って』で真彩ちやんは、自由でちょっと気の強いチャーミングなヒロインを水を得た魚の様に生き生きと演じました。
難しいナンバーの数々を自在に歌いこなしてとってもかっこよかった。
しづは真逆の耐える役です。
ギラギラのリリー・ガーランド役があまりにハマり役で印象的だったので、壬生義士伝の原作を読んだ時には、しづは真彩ちゃんの魅力を出せる役なのかな?と思いました。
でも、引き算の演技は、控えめなしづがよく表現されていて良かったと思います。
真彩ちゃんはもう、どんな役でも高い水準で演じられるようになったのだと今回は改めて感じました。
沖田と斎藤が貫一郎のことを、弱そうに見えて実は凄腕、と言います。
(沖田は色々と鋭いことを言う…)
しづもそうではないでしょうか。
剣術の話ではないけれど、しづは体が弱そうで性格も控えめな感じですが、貫一郎の脱藩後は母として強くなり留守を守り、弱そう見えて強い人に思えます。
真彩ちゃんが嘉一郎の頬を打つところの母親の顔にハッとさせられました。
大野千秋が貫一郎の遺品を届けにくるシーンがありますが、取り乱さず静かに切腹の話を聞くしづの姿に地味に驚きます。
私なら泣き叫ぶかもしれません。
必ず帰ると、死なないと言ったのに…と。
新撰組に入った時から、
あるいは脱藩を決めた時からもう覚悟ができていたのか。
武士の妻とはそういうものなのでしょうか。
この時代に生きる女性たちの強さは私の想像の範囲を超えています。
今回は望海さんと夫婦役ですが、ほぼ離れ離れでしづの出番はそう多くはありません。
いつもとは違った形のヒロイン像ですね。
それでも見終わった後、しづの存在感はしっかり残っています。
舞台の上で真彩ちゃんがしづをしっかりと生きていたからだと思っています。
嘉一朗 彩海せら
あみちゃんの演技がとても好きです。
滑舌も良く歌も上手で、望海さんのDNAを受け継ぐ貴重な人だと思っています。
フェアリー的な容姿や子役が多いことから、新人公演で吉村貫一郎を演じることに、イメージがわきませんでしたが、タカニュで流れてきた新公の様子を見たところ全くの杞憂でした。
実際に観劇された方で数名、望海さんに似ていたという感想を見かけましたが、顔が似ているわけではないけど、わかる気がしました。
本役の嘉一郎には毎回泣かされました。
母親が身を投げた時の兄としての物言い、
脱藩者の家族として虐げられた時の怒りに震えた声、
父親の死後に戦いに参戦する覚悟の顔。
一場面一場面、気持ちがしっかりと伝わってきました。
今が伸び盛り、大きな期待を背負っている人です。
みつ 彩みちる
可愛くて可愛くて、泣いていると抱きしめたくなります。
みちるちゃんとあみちゃんはPRでカップルでしたが、新公では夫婦ですね。
あの時の可愛い2人が、180度違う役をしっかり演じるなんて!
みちるちゃんは星逢の時の新公でも、とても味わいのある演技だったのでしづのイメージはつきやすかったです。
本役の子供時代のはみちるちゃんのみつは、貧しさの中いつも泣いていて、母や兄に寄り添って懸命に生きる姿が印象的でした。
吉村家の親族
オトラ 沙月 愛奈
オカネ 杏野このみ
当時、脱藩者の家族を引き取るのは大変だったと思います。
辛辣な言葉を年端もいかない子供に投げかけますが、色々とあったのでしょう。
お2人の演技にその様子がよく表れていますね。
残された吉村の家族の暮らしぶりを知る上で大切な役、重要な場面だと思います。
八木家
みよは八木家の娘というわけではありませんが、八木家で行儀見習いをしているので、ここに入れています。
みよ 真彩希帆
真彩ちゃんのもう一つの役です。
綺麗な着物を着てお金持ちで我儘娘、性格もしづとは違ったタイプになってます。
叔父さんにぷぅとふくれて物を言うところが可愛く、着物も良く似合う。
貫一郎には縁談を断られてしまいますが、さばさばした性格のみよ。
そんな気丈に見えるみよですが、その後の蛍のシーンで貫一郎のしづへの深い愛を知り、そっと涙するシーンは、ホロリとします。
しづとみよの演じ分けはきっちり、真彩ちゃんの2役は大成功です。
八木源乃丞 桜路 薫
おーじくん、落ち着いた物腰と深みのある声が、京の富裕郷士としてとても合っていて良かったです。
実在の源之丞については色々な逸話が残ってますが、いずれも人柄良く、なかなか粋な人でもあったようです。
このお芝居の良いところは若手からベテランまでそれぞれに印象に残る見せ場があるところですね。
おーじくんはまだまだ95期生と若いですが、落ち着いた佇まいで役作りが上手なので、貴重な男役さんだと思います。
特別な席とは
この公演で観劇した席種は、B席もあればSS席もあったのですが…。
SS席の観劇日に事情で手放さなければならないという事態になり、妹共々半泣きでした…涙。
観劇日の前々日のことです。
結局は妹の尽力で1日違いのSS席と交換することが出来て2人とも観ることができました。
粘り強い妹と思ってましたがここまでとは…!
SS席は滅多に当たることもない特別な席ですし、望海さんがトップになられて初めてだったので感動はひとしおでした。
ただB席にも望海さんや真彩ちゃんの歌声は同じように耳に届きますし、至福の時を過ごせます。
実は忘れもしない、私が望海さんの素晴らしさに目覚めた公演が、2階の最後列での観劇だったので、私にとってB席も特別な席になっているのです。
劇場の片隅でもご贔屓スターとの出会いはあるってことですね^ ^
まだまだ書けてませんが、ショーはかっこよくて楽しくて大好き!
お芝居を観た後、スカッとして帰れます。
この後、遠征は出来ないので大千秋楽のライビュにはエントリーしたいと思っています。
ブログは新撰組についてなど、面白そうなエピソードがあれば番外編として更新するかもしれません。
雪・うさぎ