『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』観劇レポ②です。
細かいことはあまり書かないようにしていますが、ネタバレもあるかと思いますのでご注意ください。
リチャード/ 月城かなと
お芝居で主役が主役たるために悪役は欠かせない存在ですが、コメディに登場する悪役はだいたいどこかズッコケていて憎めません。
ましてそれがイケメンだったり美女だったら・・
ということで今回の悪役はれいこさん(月城かなと)です。
まずは、れいこさんお帰りなさい!
復帰第1作目のリチャード役は女優エマ(美園さくら)のマネージャー。
確かに打算的で野心家の嫌ーな男ですが(笑)、どこまでのワルなのかはわからない。
まぁ、色々やってますけどね。
マネージャーとして女優の行動をアレコレ規制することは仕方ないとしても、そこに愛は何もないわけです。
悪役というのは主人公のダークサイドだそうですが、確かに腑に落ちます。
主人公ジョージ(珠城りょう)は愛に溢れていて、エマへの愛も思いやりに満ちています。
一方リチャードからはエマへは思いやりのひとかけらも感じられず、ただ利用しているだけ。
もしかしたら愛を知らない孤独な男なのかも(T . T)
愛ある主人公と愛を知らない男
2人は光と影、表と裏
この物語に良い人が多い中、悪としての働きをするリチャードはとても貴重な存在です。
そんな寂しい男リチャードですが、口が悪い。笑
常にジョージに喧嘩売ってます。
そんな感情の起伏の激しい男を“静なる麗人”月城かなとがどのように演じるのか。
コメディならではの難しさもありそうですが。
まず、歌が良かった。
音域が更に広がったのか、高音も無理なく綺麗に。
れいこさんまだまだ伸び代ありますね。
嫌な濃い男を美形のれいこさんが演じると引き込まれてしまいますが、
れいこさんの演じるリチャードはパンチがあるタイプの悪役ではなく、ゾクゾクするような悪いヤツ。
外側は野心に燃えて激しく、中身は愛のない男という2面性を演じたれいこさんのリチャード像は、私的にはピタリとハマりました。
ところで、れいこさんが珠城さんと、あるいはちなつさんと、これからどのような関係を築いていくのか気になってました。
(番手がどうこうとかではないです)
正直まだよく分かりません。
ただ3人のタイプがあまりに違うので面白いなぁと。
ここにありちゃん、おだちんと入ってきても見事に被らず、色とりどり。
これは月組の強みではないかと思います。
れいこさんの本来の持ち味はノーブルで憂いがあり、それでいて男っぽいところがある…いわゆる正統派2枚目とイメージしているのですが、ここ数年見事に真逆の役が続きます。(別箱除く)
番手の関係もあるでしょうが、貴公子然としたロイヤル月城かなとというイメージを固定させない為なのかどうか。
この数年は美弥るりかさん(美と色気のカリスマ)から受けた影響も大きいと思います。
リチャードは今までの役(ベルナルド・ポッキー・ルキーニ ・又八など)の集大成になるのかもしれません。
れいこさんの持つ雰囲気を大切にしつつ更に多くを吸収してそれを生かして、いつか大輪の花を咲かせることを楽しみにしています。
フィナーレの様子はまた次回に。
気になった人、一言感想
夏月都 ヘルタ
エネルギッシュなるうさんのエルフィーとは真逆のしっとりとした女性。
エマ(美園さくら)のママ、お顔の感じとか本当の母娘みたいでした。
ヘルタはエマの故郷の象徴でもあります。
紫門ゆりや デニス
優しそうで素敵な警官です。
この警官グループはストーリーの中でユニークな働きをしています。
白雪さち花 ミス・ツヴィックル
パパとの浮気を怪しまれる面白キャラを好演。
OTTの時から個性的な声がツボです。
千海華蘭 ホルガー
お洒落なホームレスさん。
作品の中では異彩を放つ集団のリーダーとして大活躍、良かった!
輝月ゆうま ライナー
ゴシップ記者で、リチャード(月城)と組んで色々やらかしますが、存在感があって迫力あってかっこいい。
夢奈瑠音、蓮つかさ、天紫珠李
フロント係として活動的な役どころ、それぞれ個性豊かで可愛いです。
愛国心より郷土愛?
大劇場では記念に公演ドリンクを飲んだりしましたが、翌日は疲れが出て朝から栄養ドリンク剤をグイッと!(こういうところに年が出ます^^;)。
それでも舞台からはたくさん心に栄養をもらえましたし、また生きていける。笑
前回の感想で、この舞台を観て自分の家族や故郷に思いを巡らせた、と書きましたが、もう一歩進んで考えると、私は祖国に対する意識が少し弱いように感じました。
一般的に日本人は愛国心より郷土愛が強い傾向にあるらしいです。
それは戦後の教育が関係しています。
実際には決して日本人に愛国心がないわけではなく、私も日本が大好きなのですが。
そんなことも考えながら、気付けば随分と涼しくなって過ごしやすくなったなぁと。
こうして四季折々を楽しめるのも日本に住んでいる特権かもしれません。
さて、次回は鳳月杏さんと海乃美月さんを中心に感想を書きたいと思います!
この夫婦、半端なく素敵なんです!!
月・うさぎ