このストーリーの登場人物の中で興味を惹かれたのがマックスでした。
危険な香りがしませんでしたか?
今日は気になるマックスと彼を演じた彩風咲奈さんについての感想です。←追記あり。
細かいところには触れていませんが、ストーリーの流れなどネタバレしてますのでご注意ください。
マックス 彩風咲奈
ヌードルス 望海風斗
デボラ 真彩希帆
ジミー 彩凪翔
キャロル 朝美絢
ヌードルスたちとの出会い
ローワー・イーストサイドの街角でのマックスの登場場面、ここは印象的でした。
一見飄々とした彩風マックスの登場シーンはとてもいい。
マックスはヌードルスのグループを警官から助ける形で出会います。
この一件は少年マックスのしたたかさや、ヌードルスが言うように鋭さや度胸を感じさせます。
それまでマックスが過ごしてきた過酷な月日や、生まれながらに備わっている彼の資質もあるのでしょう。
その後ヌードルスと二分する行動力とリーダーシップを持ちながら、どこか掴みどころがない少年というイメージは、彼が最後に銃を取る瞬間まで拭えませんでした。
望海さんと咲ちゃんの色の違いが、そのままヌードルスとマックスの違いと上手く重なりベストなコンビネーションです。
あの日のプレゼントは
少年少女時代、コーラスのオーデションに合格したデボラに、マックスがお祝いのプレゼントを渡そうとします。
渡そうとした瞬間、ヌードルスがやってきて先にデボラに薔薇の花束を渡す、瞬時にマックスは自分のプレゼントを引っ込めて、笑顔の2人を背にその場を去る、
というシーンです。
ほろ苦さもあるけれど、たわいもない風景の一つなのかもしれません。
が、ヌードルスとマックスの性格や、(デボラを挟んでの)微妙な関係性を表すシーンとして印象に残っています。
大人になったヌードルスとデボラはこの出来事を覚えていましたけど、あの場にマックスもいたことが記憶の片隅にでも残っているかどうか。
マックスは忘れてないでしょう、多分。
このシーンがあるから、彼も少年時代からずっとデボラが好きだったとわかります。
表面的にはクールで内面に複雑な感情を抱えているマックス。
咲ちゃんこのような役は初めてではないですか。
少年時代からどこか影のあるマックスの個性を上手く出せていました。
ジミーとの繋がり
マックスとジミーとはお互い持ちつ持たれつ、同じ匂いがするのでしょうね。
襲撃事件以降、スキャンダルにまみれて破滅していくまで、繋がりを深めていたようです。
マックスは栄光と引き換えに何かが少しずつ壊れていきますが、最後のジミーとのシーンの悲壮感や焦燥感は哀れでもあります。
青年時代の颯爽とした自信に溢れたマックスは見る影もなく。
この咲ちゃんの変貌ぶりは凄いです。
マックスが最後の瞬間に見た景色は、ベイリー長官として生きてきた富と権力の日々なのか、それともニードルスや仲間たちと貧しくても寄り添い楽しかったあの少年時代なのか。
マックスの恋愛観
マックスの心の奥底にはずっとデボラがいたというのは間違いないと思うのですが、ヌードルスのようなストレートな熱さが感じられず、マックスの恋愛の価値観やプライオリティが今一つわかりません。
青年期にはキャロル(朝美絢)という魅力的な女と付き合っていた。
気に入らないとぶったりする。
それでも一途に慕ってくる可愛い女。
だけど壮年期の彼のそばにいるのはデボラ。
救いは記憶を失ったキャロルのことを見捨てたわけではなかったこと。
彼の優しさに触れたような。
キャロルのことも彼なりに愛していたと思いたい。
それでも彼にとっての「愛」は何なのかはよく分かりませんでした。
わからないのであれこれ考えてしまいます。
マックスとヌードルス
マックスはヌードルスを友として愛していたのか憎んでいたのか。
憎むというよりも、彼の野望を理解してくれないヌードルスに絶望感を抱いたかもしれません。
男同士の友情はサラッとしているようで結構濃密なこともあるようです。
特に少年時代から特殊な環境下で、ともに必死に生きてきた仲間ですから。
少年の頃に抱いていた夢は一緒でも、ある時から違う方向を見つめることもあるでしょう。
言葉や行動、キャロルの言葉から、マックスの深い闇をヌードルスも感じていたのでは。
そしてデボラ。
彼女との出会いは彼らの人生の中で大きな出来事でした。
少年時代のあの日、花束を渡したヌードルス、プレゼントを引っ込めたマックス。
あの日から2人の道なき道を歩む旅が始まっていたのかと。
望海さんと咲ちゃんは今まで同志、親子、友達と様々演じてきたことで、歌も演技もリズム良く呼吸が合っています、素晴らしい。
マックスと彩風咲奈
プログラムの咲ちゃんは、何処を見ているのか何を掴もうとしているのかわからないような表情です。
マックスは明確な目的を持つ上昇志向の強い男だけど、心の中は虚だったのではないかと思えてなりません。
ギャングとして成り上がって暗黒街の顔役となり、商務長官にまで上り詰めるという、今までになかったメラメラとした役を咲ちゃんは気負うところもなく淡々と演じていてとても良かったと思います。
ところで咲ちゃんはとにかくスタイルが良くてスーツ姿もかっこいいです。
大人の色気もあり素敵です。
雪組男役はそれぞれにスーツ姿のかっこよさが違っているので、プロローグは目が釘づけになりますが、そこも大きな楽しみですね。
青年時代のマックスが劇中で仲間たちと歌うアポカリプスの四騎士の歌はマックスが最高潮の時でほんといいです〜
そしてフィナーレ、大階段に座る咲ちゃん、踊る咲ちゃん、とくとご覧あれ。
マックスについて印象に残ったところをいくつか書きましたが、彩風マックスは、彼の得体の知れない闇の部分をじわっと感じさせてくれました。
このじわっとは結構後から効いてきて、おかげで私はこうして彼についてあれこれ妄想して楽しい時間を過ごしています。
私は咲ちゃんのこんな役が観たかった!
舞台のマックスが素敵だと映画のマックスにも興味がわいてきます。
つづきます!
雪・うさぎ
↓望海風斗さんについて
↓真彩希帆さんと朝美絢さんについて
↓ 彩凪翔さんとその他のキャストについて
↓全体的なざっくり感想