出島のポスターから等身大のカゲヤスが舞台に飛び出してきたかのような登場シーン。
牢獄でどんな暮らしをしていたらこんなキラキラになれるでしょうか・・
と問いかけたくなるような素敵なビジュアルはカゲヤス役の鳳月杏さん。
『出島小宇宙戦争』2/16 シアター・ドラマシティ公演、観劇レポです。
ストーリーのネタバレはありません。
ハートフルコメディ
デジタル・マジカル コメディタッチ、パラレルワールドに宇宙人、
歴史上の人物と史実をファンタジックに描いて奇想天外なストーリーが展開しますが、ベースになっているのは「愛」
主演のカゲヤスが天文学者なので、星や月やロマンチックな要素がたくさん散りばめられている夢あり冒険ありのハートフルコメディです。
カゲヤス役をちなつさんが魅力たっぷりに余裕を持って演じていて、周りの演者も生き生きと楽しそう。
どちらかと言えば 私はSF関係の映画や小説、ドラマをよく見る方です。
高校の時タイムトラベルものの壮大な物語を書きかけた(笑)くらい好きです。←3ページで撃沈
ただSFものはズッコケると残念なことになりますね。↑
特に舞台の演出は難しいように思います。
『出島小宇宙戦争』はストーリーの組み立てや登場人物のキャラ設定がわかりやすく、主題歌も素敵で耳に心地よく残ります。
奇想天外なストーリーに目を奪われがちですが、この作品はちなつさん演じるカゲヤスとそれぞれのキャラクターとの関係が丁寧に描かれていて、そこを感じ取ると作品の持つ味わいが出てきます。
頭は固いが妄想好きな私はこの世界観を楽しむことができました♪
主演のちなつさんが作品力を上げていることも素晴らしいことですね。
カゲヤス(鳳月杏)と仲間たち
内容に触れないようにして一言ずつ感想を書いていきます。
鳳月杏 /カゲヤス(高橋景保)
ある時はキラキラと、ある時はいぶし銀の如く、
お芝居によって変幻自在のオーラを放つ、鳳月杏。
カゲヤスは洋装風味もある、いなせな着流しに天体望遠鏡を担いで颯爽と登場。
ちなつさんの大らかさと明るさとかっこよさと色気が上手くミックスされたビジュアル。
ミステリアスな銀髪はシルバーだけではなくブルーも入っているそう。
谷貴矢先生がちなつさんの持ち味を生かしたキャラクターを考えて作品を作り、ちなつさんがそれに応える。
カゲヤスに命を吹き込み魅力的なヒーローが誕生した。
縦横無尽に動き歌い踊る、舞台でカゲヤスが力強く生きてました。
安定感のある演技、深く心地良く響く歌、
ちなつさんはどなたとも自然に呼吸が合わせられる稀有なスターです。
なので主役でも主役でなくても女役でもパパ役でもイケメン役でも悪役でも何でもできちゃう、月組の宝ですね。
これからも大活躍してほしいちなつさん、カゲヤス役とても素敵でした。
海乃美月 / タキ
お転婆で可愛い月の住人にうみちゃん。
膝下の着物にブーツを履いてとても可愛い宇宙人。
IAFAでちなうみの夫婦役があまりにしっくりしていたので楽しみにしていました。
カゲヤスとタキ(カグヤ)はちょっと不思議な関係で、がっつり恋愛という感じではありません。
それでもキュンとするようなデュエットもあり、並びも美しくて何の不安もない2人。
素敵なコンビに釘づけになりました。
うみちゃんは最近大人っぽい役が多いので、久しぶりのキュートなヒロインは新鮮で嬉しいですね。
暁千星 / リンゾウ
リンゾウ役のありちゃんとちなつさんの2人の並びは眩し過ぎて、美の破壊力が凄かったです。
お互いのオーラを輝かせることができるベストコンビでは!
リンゾウは隠密ですが、隠密とは忍びの者。
目立たぬよう影のように身を潜めて生きている印象ですが、ありちゃんのリンゾウは見た目が華やかでお洒落で髪型もきまっていて、人一倍目立ってました。笑
それがこの作品の面白いところです。
カゲヤスとはちょっと複雑な関係。
ありちゃんは可愛いイメージから徐々に男っぽさが増してきて、ちなつさんとの対峙の場面なども見応え十分。
演技力もぐんぐんアップしてきて、公演毎に新しいありちゃんを発見できるのは楽しみです。
風間柚乃 / シーボルト
おだちんも吸収力強いですね。
天性の才能もありますが。
毎回個性の強い役を次々こなしていくので驚きます。
今回も変わり種のシーボルト役をしっかり妖しく演じてます。
ちなつさん相手に長台詞、歌も堂々たるもので。
この役をこの学年でここまで演じることは凄いことなのに、おだちん的に普通に受け止めてるところが怖いです。
ほんと素晴らしい。
でもこの役、言葉では表現できません。ごめんなさい笑
バウホールで主演する日もいよいよ近づいてきたのではないでしようか。
光月るう / タダタカ(伊能忠敬)
カゲヤス(鳳月)とリンゾウ(暁)の学問の師であり人生の師であるタダタカ役。
→なかなかのイケおじ♡
カゲヤスの夢の中の2人のお芝居はじーんとしました。
2人の間には別次元の時間が流れているよう。
ちなつさん、ここではしっかり受け身の演技で、攻めの演技と受け身の演技の使い分けが見事です。
るうさんの味わい深いタダタカ役も素敵ですよ、お酒のシーンにはホロリとしました。
別箱のオリジナル作品の良いところは一人一人の出番やセリフが多くて、通しの役をじっくり観ることができるところです。
梨花ますみさんは月の女王さまもキラキラと存在感あり、さすがです。
紫門ゆりあさん、白雪さち花さん、英かおとさん、それぞれに大活躍でお芝居上手な方が多いように感じました。
フィナーレ
う〜さぎうさぎ♪の音楽でうみちゃんセンターの娘役郡舞はとても幻想的で綺麗でした。
ちなうみデュエットダンスは、黒燕尾のちなつさんと白いドレスのうみちゃんがとても綺麗、かつダイナミック!
スタイル抜群の2人、リフトも見事です。
その後流れるようにちなつさんセンター男役の激しめの郡舞。
ゆりさんとうーちゃんはお芝居の赤と青の隈取りメイクそのままで。
そして、ちなつさん、ありちゃん、おだちん3人が残りダンス→三者三様で見応えあります。
最後はちなつさん1人のダンス、かっこいい…!!
別日に3列目で観劇した妹1はちなつさんのダンスに体が震えたと言ってました。
(ブランクもなく長ーい宝塚ファン歴を持つ妹、ダンスを見て震えたのは3人目やそうです)
自由に羽ばたく、心ときめく
舞台衣装やセットも楽しく、パラレルワールド、うさぎちゃんやメイドさんや月の住人など、非現実的な世界が繰り広げられます。
頭のスイッチを切り替えて、この世界観に浸ることができるなら眼福、耳福、心福の3福の舞台です。
多彩な宝塚作品の中で面白い光を放つ作品だと思いました。
そして、ちなつさんの役の振り幅の広さをまたしても感じる舞台になりました。
いつかカサノヴァも驚くほどのプレイボーイ役など観たいものです。
大きくなって月組へ戻ってきたちなつさん、堂々たる東上公演主演でした。
面白い視点から歴史を自由に大きく羽ばたかせた『出島小宇宙戦争』
頭も心も羽ばたくことができてとっても幸せでしたー♡
月・うさぎ