宝塚歌劇は3月12日から3月19日まで再び公演を中止することになりました。
不安、憤り、落胆、懐疑、様々な感情が渦巻いていますが、世間と宝塚ファンとの温度差を冷静に受け止めねばと思いつつ、あまりに批判的で違和感さえ覚える記事を目にすると口惜しく心が痛みます。
叩くべきところは他にあるのでは?
そんな中、3月9日、元雪組トップスターの真帆しぶきさんがお亡くなりになりました。
私は真帆さんの現役時代の舞台は存じ上げませんが、宝塚100周年公演の舞台で1度だけ拝見しました。
その時のことと叔母から聞いたエピソードなど少しですがお伝えしたいと思います。
舞台に現れた真帆さんはやはりオーラがあり、歌い始めると素敵な男役スター⭐︎
本当に舞台が、宝塚がお好きなんだろうと思いました。
「アマール アマール」
初演『ノバボサノバ』でソールを演じられたのが真帆しぶきさん。
演出の鬼才と呼ばれた鴨川清作先生が、 歌・ダンスとその才能を高く評価していたショーストッパー真帆さんの為に書いた作品で幾たびか再演されてますが、先生によると真帆さんはソールの解釈も完璧だったそうです。
この歌は熱いエネルギーと迫力、歌唱力が大きくものを言う歌だと思ってましたが、それだけではないんですね。
当時の舞台をご覧になった方が羨ましいです。
年齢的に大きな舞台で歌われるのは大変なことだったと思います。
それでも舞台に立たれるとさすがの存在感で「男役・真帆しぶき」を魅せてくださいました。
「愛!」
1972年の花組のショー『ポップ・ニュース』で歌われたもので、この曲もファンやジェンヌさんたちも大好きな一曲ですね。
真帆さんの歌を聞いた時は震えました。
🎵 愛は愛すること、愛されるより愛することを
ここの歌詞はフランシスコの平和の祈りを思い出します。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが。→愛されることよりも愛することを私が求めますように。
それでずっとこの歌は無償の愛を求める祈りの歌なのかな…と思ってました。
実際に生で聴くとやはりそのように感じられて感動しました。(完全に自己完結です)
更に、
🎵 愛はきっと霧を晴らしてくれる
ドラマティックに歌われるのですが、愛という言葉がズシっと響いてきて、愛の重みが半端なく。
この歌を生で聞けたことは幸せやったなぁと思ってます。
さて私の叔母がかつて宝塚の生徒だった時のエピソードです。
叔母が入団した時に私はまだ生まれてませんでしたが、雪組に配属され2人目のトップが真帆しぶきさんだったそうです。
以下は以前聞いた叔母の話を纏めたものです。
ある日本物のショーで一場面、スータン(真帆しぶき)さんの代役がついた。→叔母は日舞の名取
日舞をタンゴ (だったかワルツだったか) の曲に合わせて踊る。
一緒に舞うのは天津乙女さんと春日野八千代さん・・!
思わず「スータンさん、絶対休まないでください、お願いします!」と懇願した。
スータンさんは「そうやなぁ。休まれへんなぁ。」と。
結局代役はなかったけど、練習の時には振り付けだけでなく動き一つ一つの意味も教えていただき、踊ることの喜びも教えていただいた。ユーモアがあって気さくで優しく尊敬できるトップさん。そして天才だった。
「宝塚歌劇の殿堂」に選ばれた偉大なトップさんは、ウィットに富んだ「愛」のある方だったようです。
Wikiによると真帆さんは雪組6代目トップスター、雪組トップ初代からお名前あげてみますね。
高峰妙子
雪野富士子
初音麗子
春日野八千代
明石照子
真帆志ぶき
郷ちぐさ&汀夏子
汀夏子
麻実れい
平みち
杜けあき
一路真輝
高嶺ふぶき
轟悠
絵麻緒ゆう
朝海ひかる
水夏希
音月桂
壮一帆
早霧せいな
望海風斗
(他の組と主演を兼任されてたりwトップがあったりと○代目というのは捉え方によって若干違いが出るようです)
何と華やかな顔ぶれでしょう!
一口に雪組トップと言っても千差万別、色とりどり美しいですねー。
受け継がれるべきものは次の世代へと伝えられ、その時のトップが組の色を作っていく。
真帆さんはスケールの大きさから伝説のスターと呼ばれてますが、今も舞台に生き続けている方だと思っています。
真帆さんだけではなく、トップスターだけでもなく、舞台を熱く駆け抜けた方は全てそうなのでは。
それこそが宝塚が105年も続いている所以ではないかと。
宝塚の歴史は、スターの歴史、そしてファンの歴史でもあります。
戦争、火災、震災、事故、様々な苦難もあり乗り越えてきた宝塚の側にはいつも寄り添うファンの姿があり、今回も勿論そうありたいという思いです。
真帆しぶきさん、今後は空の上から宝塚の舞台を大きく見守ってくださることでしょう。
ファンに愛され、宝塚とファンを愛した「愛」の人スータンさん、安らかにお眠りください。
雪・うさぎ