風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

『カサノヴァ』 vs 『ドン・ジュアン』稀代のプレイボーイ

 

4年前の7月2日は、梅田ドラマシティで『ドン・ジュアン』の幕が上がった日です。

あの時舞台に咲いた妖しく美しい悪の華は何年たっても鮮烈に焼きついています。

 

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地上の愛を求めて彷徨うプレイボーイの双璧、ジャコモ・カサノヴァそしてドン・ジュアン
良くも悪くもそこら←のプレイボーイとはスケールが違います。

巷のプレイボーイとは一線を画している2人の豪快なプレイボーイっぷりも、ここまでくるとあっぱれ!

そこで「ドン・ジュアン梅田芸術劇場シアタードラマシティ公演初日4周年記念 』(←長い) の今日、「カサノヴァとドン・ジュアンのプレイボーイ対決!」をしてみます。

一昨年書いた記事のリメイク版になります。

 

 

2人の生い立ち

 

ご存知のようにカサノヴァは実在の、ドン・ジュアンは伝説の人物です。
比べにくいところもありますが、ざっくりと進めていきます。

 

華やかベネツィアに誕生カサノヴァ

ジャコモ・カサノヴァは18世紀ベェネツィア生まれ。両親共に俳優、上流家庭。

何だかおしゃれな経歴。

ですがね、実の父親はどうも別の人らしく弟や妹も婚外子だったりと、家族はバラバラ感。

彼の両親の貞操観念も最弱だったようで、子供らに関心を示さず、カサノヴァは親の愛を知らずに育った可能性もあります。

そのことが影響しているのか、彼も自分の婚外子たちに関心を持つことはありませんでした。

・・・というのが通説ですが実際にはどうなのでしょう。

彼が72歳の時に書いた自伝『カサノヴァ回想録』によると、それなりに両親にも愛され、全く親の愛を知らずに育ったわけでもないように読み取れました。
←この回想録、図書館で貸りていて読んでる途中。最後まで読めば新たに何かわかるかも。とても面白いけど長い、長ーい…

 

金銭的に恵まれていたのできちんと教育も受け、利発で知識欲のある優れた子供でした。

イタリアで2番目に古いパドヴァ大学へ進学。
大学で学んだのは、神学、法学、化学、数学、医学、哲学、歴史、文学、占星術、錬金術など。
凄いですね〜

そして、はい。例の自伝によると異性への関心はかなり早い時期からありまして、、
さすがカサノヴァだと感心しながら読んでいます。

 

情熱のスペインに誕生ドン・ジュアン

ドン・ジュアン(仏語)は、イタリア語でドン・ジョヴァンニ、英語でドン・ファン
どの名前も聞き覚えありますね、日本で馴染みのあるのはドンファンでしょうか。
(ドンは一般的に地位の高い人に使う尊称)

 

ドンジュアン伝説の有名な3作品と言えば、
・ミュージカル『ドン・ジュアン』
・モリエールの戯曲『ドン・ジュアン  もしくは石像の宴』
・モーツァルト作曲の歌劇『ドン・ジョバンニ』


この3作品はあらすじ、登場人物、またはその設定などが違います。

例えばモリエール戯曲では、ドン・カルロ(彩風咲奈)は エルヴィラ(有沙瞳)の兄としてドンジュアンと敵対している関係です。

(ここではミュージカル版の人物像を主軸にして書いています。)

 

生い立ちですが、ドン・ジュアンの父親はスペイン貴族で彼もまた裕福な家庭に生まれます。
跡取り息子として父親に厳しく育てられていたようですね。

そして優しかった母親。

少年時代のドン・ジュアンは母親と禁忌(タブー)を冒してしまいます。
母親の死は息子との関係を苦にしての自殺でした。

KATTではこのように描かれていた母親との関係と死が、ドラマシティでは病死に変更されてました。

ドン・ジュアンを生涯苦しめる母親の死という悪夢、死因が違うと彼の苦しみの意味合いが大きく変わってきますね。

彼の常軌を逸した放蕩ぶり享楽ぶりを見る限り、彼の人格形成に暗い影を落としていたのが母親の病死だったというのは、少し弱い設定のように感じます。
あくまで最初の設定と比べるとですけど。

いずれにしても彼もまた、両親とは良好な関係が持てないまま成長したような印象です。

 

プレイボーイ全盛期
 

 

裕福で複雑な家庭に生まれ育った2人が大人になりいよいよ世に放たれます。

 

世界の恋人カサノヴァ 

詩人・作家・聖職者・政治家・詐欺師・錬金術師・スパイと、多くの顔を持ち、名門パドヴァ大学の法学博士号も持つ程の頭脳明晰な人物。

知力、経済力、行動力、体力、想像力、全てを持ち合わせている男。
190㎝の高身長、かなりイケメンらしい。
モテる要素しかないような…。


カサノヴァの生きた時代のヨーロッパは、恋愛に関して大らかで奔放だったこともあり、彼は貴婦人から女奴隷、尼僧まで数々の女性と浮名を流します。

カサノヴァの信条は、『享楽の5分の4は女性を幸福にすること』
相手の幸福を1番大切にした上で、生涯自由人であった彼は、やはり魅力溢れる男だったのでしょう。

 

晩年はヴァルトシュタイン伯爵の司書となりましたがあまり優遇されず、若い頃の華やかな日々とは真逆に孤独で寂しい人生をおくったようです。

そんな中で自伝『我が生涯の物語』(回想録) を執筆して、73歳で亡くなりました。
 

愛に呪われたドン・ジュアン

ドン・ジュアンは悪の香りがぷんぷんと漂ってきますが、そこが彼の最大の魅力でもあります。

1人の女性とずっと一緒にいることは彼にとって束縛でしかなく、酒と女に溺れ悪徳の限りを尽くす。性格も悪そう、、泣

もって生まれた美貌とダダ漏れる色気、
どれほど悪名を馳せていても女性が夢中になるのですから罪な男です。
 

次々に女たちと情事に耽る彼が初めて愛した女性はマリア。

「お前はいずれ愛によって死ぬ。愛が呪いになる」彼が決闘で殺した騎士団長の言葉が重くのしかかります。

悲劇的な最期をむかえますが、その代償に真実の愛を見つけることができたので彼にとっては幸せな幕切れかもしれません。

 

ちなみにモリエール戯曲のドン・ジュアンの最期。

悔悛することのないドン・ジュアンの手を騎士の像が握った瞬間、彼の体に雷が落ちて大きな炎が吹き出して死んでしまう、というとんでもない終わり方です。

全体的には古典的な悲喜劇になっていて従僕スガナレルとのやり取りなど可笑しみがあります。
短編なのですぐに読めました。 

 

宝塚の舞台

 

 どちらも演出は生田大和先生。

 

カサノヴァと明日海りお

 『CASANOVA』とは全く別作品ですが、宝塚では1994年にカサノヴァを主役にした『カサノヴァ・愛のかたみ』が上演されてます。
当時の星組トップ紫苑ゆうさんのサヨナラ公演でした。
シメさんとみりおさんは持ち味はまるで違いますが、どちらもカサノヴァの雰囲気はあります。

華やかで美しく大人の色気もあってプレイボーイがよく似合う。

個人的にみりおさんのトップ時の作品で1番好きなのは『金色の砂漠』ですが、代表作は『ポーの一族』、男役として1番輝いていたのは『CASANOVA』だと思っています。

劇中でモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』が出てきますが、実際にカサノヴァはそのオペラを観劇したという説があります。

主題歌も良く衣装も豪華、宝塚らしい華やかな作品でした。

 

ドン・ジュアンと望海風斗

さて。
今私は何度目かのドン・ジュアンブーム真っ只中。
情熱的なフラメンコダンス、物悲しい音楽、リズムを刻む足音、夜の酒場で夜な夜な酒と女に溺れる魔性の男…

何もかもに酔いしれています。

フランス上演版の『Don Juan』ご覧になられましたか?

日本語字幕もなくフランス語は全く分かりませんが、宝塚版を知っていれば楽曲もストーリーの流れもほぼ同じなので、宝塚版と比べながら観るのも楽しいです。

数々の難曲を情感たっぷりに歌いこなす。
➕濃厚な色気と妖艶美
望海さんの持ち味が存分に発揮されて、ご自身も「いつ宝塚を辞めても悔いはないと思えた作品」と言われるほど思い入れの深い作品です。

伝説の男のミュージカル 『ドン・ジュアン 』は宝塚の伝説になるのではないでしょうか。

  

永遠のプレイボーイ

 

似て非なる2人のプレイボーイ対決いかがでしたか

日本なら源氏物語の光源氏、平安時代の歌人・在原業平などでしょうか。←えらい昔

どの時代どの国にもいらっしゃると思いますが、世界的なプレイボーイ、プレミアムプレイボーイとなるとやはりあのお2人なのかなと。

いずれのプレイボーイも宝塚の舞台、映像で出会えるところが凄いですね。
そしてこの先誕生するであろう新たなプレイボーイにも期待しています。


これで「ドン・ジュアン梅田芸術劇場シアタードラマシティ公演初日4周年記念』からの カサノヴァ vs ドン・ジュアンを終わります。←長い

ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。

 

Don Juan Forever!  うさぎ