風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

月組公演『応天の門』感想ー平安朝の月城かなと

月組公演『応天の門  』の感想です(2月宝塚大劇場で観劇)

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約1年半ぶりのブログ更新になります!
超マイペースぶりに自分でもびっくりですが、取り敢えずブログの書き方は覚えてました^^;;

久々の感想文、お付き合いいただけると嬉しいです。

 

印象的な出会いのシーン

 

道真(月城かなと)と業平(鳳月杏)の出会いのシーンがとてもいいです。

時は平安。京の都ー美しい満月の夜。
逢瀬の帰り人目を忍んで屋敷へ向かう業平と、書物を片手に屋根の上の道真。

ドラマチックな2人の出会いにワクワクします。

 

ビジュアルと役作り

 

先に漫画を見ていると、どうしてもキャラクターの顔がチラついてしまいます。

演じる人が、ビジュアルだけでなく表情だとか雰囲気までも漫画に寄せるのは大変だなぁと思いますが、月組生の応天キャラクターの再現率の高さは凄かったですね。皆さんの研究心と努力には感心しました。

例えば千海華蘭さんの清和帝があまりに清和帝で、セリフを聞いても応天の清和帝はきっとあんな声だろうとイメージできるほど。若干13歳の帝を違和感なく演じ切ったのはさすがでした。

また漫画で藤原基経(風間柚乃) の顔のタッチが他の人と少し違っていて浮世離れしているように感じましたが、それについては風間さんも意識されていたようでした(ナウオン情報)。
結果、ビジュアルなども忠実に再現されていて、基経特有の凄みや雰囲気がありました。基経と良房(光月るう)の親子は舞台でも異彩を放っていて存在感抜群でした。

楽しかったのは、この方たち。
白梅ー彩みちる
藤原常行ー礼華はる
紀長谷雄ー彩海せら
藤原多美子ー花妃舞音
不思議ちゃんの白梅、お調子者の長谷雄、生真面目な常行、無邪気な多美子と、4者4様の濃い目のキャラクターの役作りは完璧でした。

ハッとするほど美しかったのが大師の結愛かれんさん。舞も流麗でしたね。

勝ち気で妖艶な高子の天紫珠李さんも原作どおりの役作り。若い日の業平と高子の英かおとさんと蘭世惠翔さん、吉祥丸の瑠皇りあさんなど見目麗しくて眼福でした。

観劇前に原作を予習しようかどうかいつも迷いますが、今回は漫画を読んでいたことで楽しめたように思います。(漫画のイメージどおりの人が多かったのでスッと入れたことが理由かも)

 

月城ー海乃ー鳳月

 

さて、私のように先に漫画を読んだ方は、道真と業平は逆の配役(月城ー業平、鳳月ー道真)の方がピタッとくると思われませんでしたか。
私と息子は読後そのように意見が一致しました。
しかし仮に業平を主役にすれば原作の話の主旨が変わってしまい『蒼穹の昴』のようにはいきません。

蓋を開けてみると、頭脳明晰で尖っているのにどこかユーモラスな文章生を終始淡々と演じる「月城ー道真」、一方検非違使の長とは別の顔を持つ色気だだ漏れのモテ男を余裕で演じる「鳳月ー業平」と、どちらも漫画に忠実でありながら各々の個性を活かして好演。
今更ですが2人の演技力の高さと相性の良さを感じました。

トップコンビの恋愛要素がないので、漫画のように道真と業平のバディ感多めの演出になるのかと予想(期待)してましたが、道真と昭姫(海乃美月)のやり取りが多く、そこに業平が絡むという宝塚バージョンになってました。

道真×業平2人のかけ合いの歌などはもっとあってほしかったですが限られた時間ですからね。

姉御肌できっぷの良い昭姫は海乃さんハマり役。どちらかというと強めの声も役に合っていて所作もカッコよく決まってました。トップコンビに恋愛要素が全くないのもスパッと潔く感じました。

そういえば月組トップコンビのプレお披露目が『川霧の橋』と発表された時、和物なら『花の業平』の方が月城さんに合ってるのにと思った記憶があります。

初演の剣幸さんは江戸ものが非常に良く似合っていてハマり役でしたが、月城さんには平安ものの方がしっくりくるのでは、という単純な理由です。

しかし当初から月城-海乃3作目に『応天の門』が予定されていたなら、『花の業平』は候補にすら上がらなかったでしょうし、図らずも平安ものの月城かなとは堪能できたことになります。

 

全体的な感想

 

平安時代は何か怪異が起こると、鬼や物の怪のしわざと考えられることがありました。

もちろん恐ろしい出来事は全て人間の仕業。
舞台では多美子(花妃)入内に百鬼夜行を絡めながら、道真が業平や昭姫ら仲間と共に事件の真相を解き明かしていくストーリーで、わかりやすくまとめられているように思いました。

一つ注文をつけるなら、もう少し強めの盛り上がりが欲しかったことです。そうするとよりスリリングでインパクトある作品になったのではないかと思いました。個性的で可愛い宣来子(道真の婚約者)を登場させても面白かったかもしれませんね。

しかしながら月組の芝居力やキャストのハマり具合の完成度はかなり高く、それが作品のクオリティを上げていたことは確かです。

また、この公演での退団者が各々印象に残る役で卒業されることはとても良かったと思います。

最後に、原作となった灰原薬先生の漫画『応天の門』機会があればぜひ読んでみてください。
観劇前でも後でも大変楽しめる作品だと思います。

続いてショーの感想もアップ予定です。

うさぎ (@bluejasmine9121

 

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