『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』配信視聴の感想です。
舞台や衣装が赤と黒を基調に美しくて統一感のある世界観、最高のキャスティング、
劇場で観劇したかった作品です。
チケットが取れなかったので仕方ないですね。
礼真琴 / ジュリアン・ソレル
宝塚版『赤と黒』の歴代のジュリアン役はどちらかというと大人っぽいビジュアルのトップが演じることが多かった印象です。
その中で礼さんは甘くて可愛い系の顔立ち。ジュリアンは19才の青年なので2年前に17才のロミオを好演した礼さんにいい流れでこの役が巡ってきたと思いました。
右サイド刈り上げた髪型も衣装も似合っていて、フレンチロックを次々と熱唱する礼さんは今までの役で1番かっこいいと思いました。
歌・ダンスの上手さが際立っていることもあり、これまで特に演技に注目してませんでしたが、顔の表情や細かい動きまでオペグラなしで見えるのは配信の良いところ。
しっかり観察しました。笑
いや、正確には芝居に魅入ってしまいました。
ジュリアンの虚無感、激しさ、情熱など様々な感情の動きを巧みに表現されていて、かなりヤバかったです(=ハマり役)。
思えば礼さんのトップ就任時には、小柄で少年ぽい風貌なことから役幅が限られるのではという声もありました。
しかし、冒険やチャレンジもありつつ、どんな役でも結果を出しながら進化し続け、ジュリアンへと到達した感があります。これはすごい!
そして礼さんにはまだまだ先があります。
次回『1789』ではヒロインがオランプになり前公演とは少し異なりそうですね。どんなロナンが誕生するのか楽しみです。
有沙瞳/ルイーズ・ド・レナール
ルイーズは美しくなくてはならない。上品な色気がなければならない。その愛は呪いであり祈りでなければならない、とうのが私のレナール夫人のイメージです。
最後の一文は小説『汝、星のごとく』の中の「愛は呪いと祈りに似ている」というフレーズから。まさに夫人のジュリアンへの愛は呪いであり祈りではないでしょうか。
そのように感じました。
次回はいよいよ『1789』マリーアントワネットですね。ドキドキします。
暁千星 / ジェロニモ
フレンチ版『赤と黒』が従来の宝塚版と異なる1番の特色はジェロニモの存在。
パリの有名な歌手である彼は、ストーリーテラーとしてジュリアンの物語を劇中劇として上演するように進行させていきます。
シルクハットにステッキを持ち歌い踊る陽気な自由人ですが、友人のいなさそうなジュリアンが本音を語れる唯一の相手のようでもあります。
そのように色々な役割を果たすジェロニモ役は難しそう、、セリフの量も半端ない。
しかし暁さんは持ち前の華やかさで歌って踊って語って存在感抜群。
このユニークなジェロニモを楽しんでいるように思えました。
この役を通して得るものは大きいと思いますね。
詩ちづる / マチルド
マチルドもジュリアンに運命を狂わされる人。
気の毒なのは最後の最後、ジュリアンの心にはもはやレナール夫人しか存在せず、マチルドのことは無かったことになってしまっていること。
ジェントル・ライアーのメイベルとは対照的な役でしたが、どちらの役づくりもしっかりしていて舞台度胸もありそう。とっても良かったです。
キラキラとしたヒロイン力もあるので今後も注目していきたいと思います。
印象に残ったキャスト
ヴァルノ夫妻のひろ香祐さんと小桜ほのかさん。ストーリーを引っ掻き回す強欲な夫婦が素晴らしかった。
天寿さんも卒業されひろ香さんが担う役どころもより主要キャラが増えてきそうですね。
小桜さんはこの公演の歌上手な娘役さんの中でも際立つ歌唱力で圧倒されました。
瑠璃花夏さんは物語を動かすきっかけとなる重要な役。歌にも演技にも安定感ありました。
ルージュ希沙薫さんは美しく、ノワール碧海さりおさんは可愛く、まるでロミジュリの愛と死を思わせるような不思議な世界観を創りあげていて良かったです。
マチルドの父親の英真なおきさんは娘を思う心情を、ルイーズ夫の紫門ゆりやさんは妻への複雑な思いを、それぞれ歌で表現。
元気になられた英真さんもイケオジ紫門さんも余裕な感じでさすがでした。
ロックだ!
最初は古典的なこの作品とロック・ミュージカルが繋がりませんでした。
しかしブルジョア的な貴族社会への憎しみをベースに、野望や葛藤、挫折などが心の中に渦巻いていて常に何かと闘っているジュリアン・ソレルはなるほどロックだなと。
フレンチミュージカル版は観ていませんがもっと重苦しいとか。その辺りは谷貴矢先生が宝塚らしく上手く潤色・演出されたのでしょう。
次の大劇場公演はこの赤と黒カンパニーにバレンシアにStella Voiceのメンバーが合流するのですから、星組の層の厚さを感じずにはいられません。
うさぎ (@bluejasmine9121)