風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

『パッション・ダムール -愛の夢-』凪七瑠海 ロマンチック・ステージ 感想

 

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幕が開くと真っ赤な衣装のパッション・ダムールの歌手、凪七瑠海
ロマンチック・レビューの世界の中で華やかに歌い踊る。

18年の月日と共に完成された宝塚男役の美学が今咲き誇り、素晴らしいレビューが生まれました。

往年のファンだけではなく、宝塚を愛する全ての人が夢を見られるコンサート。
クラシカルでありながら、かちゃさんと雪組生16名が創る新しいロマンチックステージです。 

       ロマンチック・ステージ
『パッション・ダムール -愛の夢-』
       作・演出/岡田 敬二

15日はバウホールで、今日は配信にて観劇しました。
印象に残ったところを書きとめておきたいと思います。

 

第一幕

 

1章  プロローグ

『パッション・ダムール』タイトルどおり情熱的な愛を感じさせるプロローグ。
熱く 熱く 燃える ♪ スパニッシュな主題歌が素敵でしたね。
吉崎先生の曲は1度聞いたら忘れない。

恋の嵐をかちゃさんが歌とダンスで表現します。
どこまでも優雅でノーブルに。

しなやかな感性や表現力、プラス積み上げたキャリアで舞台の魅せ方を熟知されているように感じます。

 

この公演でかちゃさんと一緒に舞台に立つのは、雪組男役8名と娘役8名。
きっと皆んなこのレビューを愛してる!

男役
天月翼
   叶ゆうり  眞ノ宮るい  汐聖風美   縣千   一禾あお   壮海はるま   紀城ゆりや

娘役
千風カレン  沙羅アンナ  星南のぞみ   彩みちる   希良々うみ   有栖妃華   莉奈くるみ   愛陽みち

 

スパニッシュな赤の衣装も鮮やかに、4組のデュエットダンスが美しくて夢のよう。

華やかなプロローグに一気にロマンチックワールドへと引き込まれていきます。

 

ロマンチック・レビューとは

ところで「ロマンチック・レビュー」とは?

この答えは岡田先生のお言葉で。
是非読んでみてください。
分かりやすく語られています。

「ロマンチック・レビュー」の意味は「宝塚のオリジナル・レビュー」という意味。

宝塚ならではのテーマと言うのは時代が変わってもある。

舞台作りも、宝塚ならではの詩情とか香りとか品のよさがあるべきだと思うんです。
そういうものを醸し出すレビューを、僕は「ロマンチック・レビュー」と総称しているわけです。
ー中略ー
もちろん全てが甘くなっては困るわけで、色々あるのだけども、ロマンチック・レビューと言うからには、それなりの品位を守ってるつもりなんだけれどもね。

引用元:岡田敬二ロマチック・レビュー
阪急コミュニケーションズ p69

『パッション・ダムール』にはこの答えの全てが詰まっているように思います。

 

2章  アディオス・パンパーミオ


『ネオ・ダンディズム! ー男の美学』より

ガウチョ(カウボーイ)たちの恋のやり取り。

湖月わたるさんのサヨナラ公演、男っぽさ満載のレビューでした。
後にリメイクして安蘭けいさんで ⅡとⅢを。
真矢みきさん『ダンディズム! 』の続編になります。

 

過去に男っぽい男役が演じた役を中性的でスタイリッシュなかちゃさんが演じるとこのような世界になるのかと。

鞭使いの男役のダンスは掛け声も荒々しくて、かちゃさんと恋人(彩みちる)との妖艶かつ洗練されたダンスに目が離せません。

最後は「アディオス!」←いやん、かっこいい!
娘役を限りなく美しく見せる、かちゃさんの男の美学を熱く感じるシーンです。

 

3章  妖精の森

『アムール、それは…』より 

かちゃさん8変化といっても並の8変化ではありません。何しろクオリティが高い…。
予想以上の素晴らしさにプロローグから瞬きができず目が乾いてきたほど。←ホントの話

このシーン、まずはかちゃさんがゴージャスなゴールドの衣装で歌い、次はブルーの衣装でとびっきりの貴公子、プリンスで登場。
プリンセス(星南のぞみ)と並んぶとため息もの。

大和悠河さんと陽月華さんのサヨナラ公演の作品でした。再演は北翔海莉さん。
キラッキラオーラのタニさんでしたが、かちゃさんは透明感のあるクリスタルのような輝き。
美しい夢を見た・・という感覚。

 

雪組選抜メンバー

ここでこのレビューに出演している雪組生のメンバーについて。

2番手を担う縣千、驚くことに研6にしてビジュアルは既に出来上がりつつあります…
舞台に立つ喜びが溢れんばかりに伝わってきて、時折思いが爆発するところがたまりません。

この公演では主に得意分野のダンスで活躍しますがソロもあって良くなってきていますね、徐々にですが。

何度も言ってますが小さくまとまらずに成長してほしいです。
これほど舞台が好きな縣くんですから、必ずや「縣千の男役の美学」を追求していかれるはずです。

頑張ってください。期待してんで!(Sho-W! 関西弁の名残り)

 

歌を聴かせてくれたのは、千風カレン、天月翼、叶ゆうり、壮海はるま、 希良々うみ、汐聖風美、有栖妃華、一禾あおさんたち。 

有栖妃華、希良々うみさん、素晴らしい歌を聴かせてくれます。

個人的にカレンさん、翼くん、かのゆりの歌が好きなので今回とても嬉しいです。

莉奈くるみ、愛陽みちさん、今後が楽しみですね。

眞ノ宮るいくんのダンスはますます磨きかかってきましたね。
美しさに加えて男っぽくキレもあって縣くんとの情熱的なダンスは見せどころ。

沙羅アンナさんのしなやかなダンスは美しく、最下級生の紀城ゆりやくんもすっごく頑張ってました。

 

そしてこの公演のヒロイン彩みちるさん。星南のぞみさん。

みちるちゃんは可愛いお色気たっぷり、表情、動き、一つ一つが丁寧で繊細で、魅力的なダンスでドラマを魅せてくれます。かちゃさんと息もピッタリで素晴らしい活躍でした。

りさちゃんのこのようなお姫は様いつ以来?優雅なかちゃ王子様と絵になります。絵になれば飾っておきたいレベルの美です。ふと翔ちゃんとの並びも素敵だろうなぁと思いました。

チルチルとリサリサのダンスの表現力とビジュアルがこのレビューを思いっきりロマンチックなものにしています。

次へ進みます。

 

4章  愛の誘惑 / 5章  ALL BY MYSELF

『ル・ポァゾン 愛の媚薬』から「愛の媚薬」

禁断の木の実のリンゴを受け取った現代のアダムは、ジゴロになって愛の誘惑の中で歌い踊ります。 

あまりに有名なシーン。

リンゴを渡すのは縣千、受け取るのは凪七瑠海。

初演ではあがちの役を涼風真世さん、ジゴロは剣幸さん。
剣幸さん、こだま愛さんのサヨナラ公演でした。再演では柚希礼音さん、蘭寿とむさん。

 

縣くんがこの役を・・。

ロングヘアが話題になっていて、そこもまぁ萌えポイントには違いないですが、それよりもこの曲を歌うあがちの立ち姿になんとも言えずうるっとなりました。
何と言えば良いのでしょう、適切な言葉が見つかりませんが…大物の片鱗を見た…ような。

 

さぁ禁断の木の実を受け取ったジゴロ。

その後はかちゃさんがグイグイ持っていきます。
かちゃさんの醸し出す大人の色気にはさすがにまだまだ誰も太刀打ちできません。
ここでいい女を演じるのがみちるちゃん。

2人の大人の駆け引きのドラマが…素敵!
そしてこのシーンの 希良々うみちゃんの歌が最高にかっこいい!

この後叶ゆり王子さま独唱があり5章「ALL BY MYSELF」へと流れていきます。
かつては日向薫さんが『ナルシス・ノアール』で歌われた。

かちゃさんと男役4名の白燕尾が美しい。

極上の夢の余韻を残して1幕の幕がおります。

 

第2幕 

 

6章  ハードボイルド

『ダンディズム! 』から
ハードボイルドな2人の男がライトの中で妖しげにタンゴを踊る、縣千と眞ノ宮るい
壇上から歌うハードボイルドの歌手に凪七瑠海

ストライプのスーツにハットがダンディ。

これは岡田先生がエンターティナーとして高く評価していた真矢みきさんと純名里沙さんのお披露目公演の作品で、このシーンの歌手はみきさん、ダンサーは紫吹淳さんと匠ひびきさんでした。

みきさんとは真逆の色を放つかちゃさんのハードボイルドは新鮮でドキドキします。
始まりの2人のタンゴも迫力あって濃くってこのシーン大好きです。
忘れられないシーンがまた増えました。

 

7章  学生王子

『学生王子』はオペレッタとミュージカルの橋渡し的な作品。映画化もされてます。
身分違いの悲恋の物語、そう思って見るとちょっと切ない。

白い軍服をソフトに優雅にそれは素敵に着こなすかちゃさん。
シメさん風味を感じる優雅さ。
男役は士官、娘役は令嬢となり華やかな場面が広がります。

歌は「セレナーデ」
かちゃ王子はヒロイン星奈のぞみ、デュエットダンスが美しく。
これぞロマンチックレビュー。

 

この後の「夢・アモール」カレンさん、翼くんの素敵なデュエット。
→からの縣くんの白い衣装でののびやかなダンスと歌、堂々していて◎!

 

8章  愛の歌 / 9章  カーテンコール

かちゃさんが熱唱するのは『皇帝と魔女』(1962)の主題歌「愛の歌」
吉崎憲治先生の名曲をボレロに編曲されたものです。

美しいビジューをあしらった黒燕尾を着たクールビューティ凪七瑠海。
後ろには黒燕尾の男役、白と黒のドレスの娘役。

この歌とダンスは出演者の気迫、熱量が半端なく伝わってくる感動の場面です。
かちゃさんが振り返りひとりひとりを見つめます。

かちゃさん素晴らしい!!

皆んなの絆がこんなに素敵な愛の夢を生み出してくれました。

最後は「さよならGoodbye

海外公演で最後に歌われる吉崎&岡田のコンビによる楽曲ですが、シンプルにありがとうの気持ちが伝わってくるいい曲です。

最後の最後は『パッション・ダムール』の主題歌で舞台で見る夢は終わってしまいました。

 

 愛の夢 

まずはかちゃさんの「最初から最後までこれぞ宝塚というショーをやりたい」という夢が叶ったこと本当に良かったです。

カテコで思わずかちゃさんが千秋楽のことを初日…と言われましたが雪組メンバーは何ならお稽古からまた始まってもよいと…

なんて素敵な言葉、素敵な思いでしょう。

 

岡田先生がレビューで大切にしているのは清潔、上品、ロマンチック。
また色彩、音楽、陶酔へのこだわりもお持ちです。

パッション・ダムールの各シーンもかつて個性豊かで華やかなスターが歌い踊り夢を見せてくれました。

時が流れても私たちはまたとびきりロマンチックな夢を見ることができるのです。
宝塚ある限り。

懐かしい夢でもあり新しい夢、こうして宝塚は繋がれていくのですね。

ロマンチックレビューの中で見事に愛と夢の花を咲かせた凪七瑠海さん。
公演は終わりましたが"夢人"が歌うように作った夢は消えません。

それでも岡田先生、まだまだロマンチックな夢の続きを作ってください。

雪組の皆さんの熱演、素敵でした。

かちゃさんたくさんの愛の夢をありがとう。

感動をありがとうございました。

 

パッション・うさぎ

  

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