
専科の轟悠さんが退団を発表されました。
10月1日付けで宝塚歌劇団を退団されます。
轟さんがこんなにも早く、そして突然に宝塚を去られる日が来ようとは未だ信じられない気持ちです。
昨日の記者会見では清々しい表情をされていたのが印象的でした。
雪組トップ時代の轟さんはクールビューティ、舞台では熱いところもありましたが「静の人」という印象でした。
専科へ異動された頃、長らく私は宝塚と付かず離れずの期間がありましたが情報だけはキャッチしていました。
その後理事になられたこと。
トップ時代と変わらず主演をされていること。
大変な道を選択されたのだなと思っていました。
私は望海さんのファンになったことで宝塚観劇を完全復帰しましたが、
トップ就任2作目の本公演『凱旋門』が発表された時、主演が望海さんでないことについて正直なところショックを受けました。
同時に(私も含め)周りの反響に、轟さんの置かれた状況の厳しさを目の当たりにしてまた別のショックも受けました。
幕が上がり舞台上のラヴィックを観た時、初演の舞台で観たラヴィックが蘇りました。
もちろん初演時は若くてトップとして輝かれていた時期。
ですが再演の『凱旋門』を観て、やはりラヴィックは轟さんで良かったと思いました。
再演ラヴィックは初演よりさらに深みが増していて人間みのある役作りをされていたこと、
また望海さんのボリスとの呼吸も合っていて、お互いの良さを引き立たせていたからです。
どちらもほんとかっこよかった。
今思えば大劇場での最後の舞台が雪組公演で良かったです。
別箱公演での主演作はどれも見応えがあり共演した生徒さんにとって貴重な経験になるだろうと思いました。
1番最近の舞台『シラノ』
瀬央ゆりあさんを応援している息子2と観劇しましたが、彼は轟さんの舞台を劇場で観るのは初めてでした。(『ドクト・ルジバコ』は映像で見ていた)
「存在感が半端なくてかっこいい、せおっちがこんなに凄い人と共演できて嬉しい」と、轟さんの役作りに大変感動していました。
世代や性別が違っても熟達した男役芸は感動を呼ぶのだと、彼のストレートな言葉に深く共感しました。
今年2月には轟さんと同時期にトップスターだった71期生の愛華みれさん、真琴つばささん、稔幸さんと一緒のスペシャルショー『IV voice-テトラ ヴォイス-』が行われました。
真琴つばささんの大ファンだった妹は71期生の皆さんも大好きで配信を楽しんでました。
「いしちゃん泣いてたなぁ…」
涙の意味は知る由もありませんが、このショーにはたくさんの感動があったことを妹から聞きました。
理事を退任され特別顧問に就任されて第一線からは退かれましたが轟さんの気持ちの変化や心の機微に気づくこともなく、変わらず良い舞台を届けてくださると思い込んでいました。
それほど絶対的な存在でした。
会見ではスッキリされた様子が伺えます。
「私の心の中に『退団しよう』という時がやってきたことに気づきました。心に素直に従おうと、自然に。昨年の9月末から10月頃にはっきりと(自身の心の中で)決まった」
専科へ移られて約20年、男役を追求され続け宝塚人生を全うされたのではと。
男役には「夢の世界であり、第2の故郷。退団を決意しても、男役を追求していくことには変わりがありません」
ラストステージは星組公演
戯作『婆娑羅の玄孫』
作・演出は植田紳爾先生
大阪シアター・ドラマシティ
7月9~15日、
東京芸術劇場プレイハウス
7月21~29日
江戸を舞台に正義感あふれる男の役を演じられます。
また8月23、24日に大阪・ホテル阪急インターナショナル、9月21、22日にパレスホテル東京でディナーショーが予定されています。
「雪組トップとして退団するのでなければ、大階段をおりたり、サヨナラショーをすることは『ない』と、決心しておりました」
宝塚107年の流儀を貫かれるそうです。
私らしく静かに退団させてほしいとも言われています。
かっこいいですね、素敵です。
きっと最後の日まで宝塚男役を追求されるでしょう。
集大成となるラストステージを楽しみにしています。
専科・うさぎ