風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

月組『アンナ・カレーニナ』感想① 滅びの愛〜美弥るりか 海乃美月

愛することの美しさと醜さ


愛に翻弄され、運命を狂わされていく3人の男と女


ヒロインは
妻としては罪深く
母としても許されない人なのに
心のどこかで
女として愛に生き抜いた彼女の人生に
憧憬の念を抱いてしまいます。

今の時代も何かと話題になりがちなこの恋愛の形を
原作はロシアの文豪トルストイ、脚本&演出は植田景子、主演は美弥るりか、宝塚11年ぶりの再演です。

舞台では、いくつかの形の「愛」に出会うことができましたが、
愛に堕ちて全てを失うヴィロンスキーとアンナをどのように受けとめますか?


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『Anna Karenina』感想です。
(ストーリーを知りたくない方はご注意ください)

 

豪華な配役


主演ヴィロンスキー役を、宝塚屈指の色気と憂いある面差しが魅力の美弥るりか

アンナの夫カレーニン役に、繊細さと力強さを合わせ待ち、存在感が増してきた月城かなと

アンナ役に美しく気品があり演技力に定評のある海乃美月

また、原作では主役アンナの次に重要な人物として描かれているコンスタンチン・レーヴィン役に夢奈 瑠音

その恋人キティ役に研1のきよら羽龍


月組選抜メンバーで作り上げた美しい世界観を心ゆくまで堪能しました。

まず、主演の美弥るりかさんと海乃美月さんについての感想です。

 

美弥るりか

 

ここでは、愛称アリョーシャではなく、ヴィロンスキーで統一します。

美弥さんは表現力が豊かで深みがありますね。

をテーマにした作品であり、アンナを夢中にさせる色気漂うヴィロンスキーは、美弥さんの持ち味を生かせる役だと思いました。

またアンナとの許されない愛に思い悩む様子は美弥さんの美しく憂いある表情と相まって悲しみが切々と伝わってくる。

美弥さんはやはりお芝居の人で、声(歌声)にも色気がありますね。

前半、アンナへの一途な愛
中盤、苦悩から蜜月へと向かう愛
後半、壊れていくアンナとの愛

後半へと向かうところ、2人でイタリアで過ごす日々はあまりに美しく切なかったです。

その日々が分岐点となり、ロシアへ戻った2人の関係が少しずつ変わって行きます。

ストーリー展開は早いですが、流されることなく丁寧な役作りで情感たっぷりに演じる美弥ヴィロンスキー、さすがでした。

 

 海乃美月

 

海乃さんは美弥さんとの並びがとても良いですね。

ヴィロンスキーへの愛は止めようもなく、激しく狂おしいもの。

例えば『風と共に去りぬ』の情熱的で気性の激しいスカーレットなら、突っ走ることも想定内、世間の目もどこ吹く風でしょう。

真面目で貞淑なアンナが家族を捨て、愛に身を投じていく様子を演じるのは難しいと思います。

海乃さんの優しげな風貌からは、そのような激しい情熱は感じにくいですが、美弥さんと同じく丁寧な役作りで好演でした。

アンナにとって死とは何だったのでしょう。
結局はヴィロンスキーへの愛に疲れ信じられず、セリョージャへの母親としての愛に苦しみ、最後は愛によって壊れてしまいました。

愛は美しいだけではなく、
時に醜さも伴うものだと。

 

ーーー☆ーーー 

 

ストーリー展開に関して一つ残念だったのは、後半アンナが壊れてからの様子がかなり早足になったことです。

時間の都合上、仕方ないと思いますが、
残してきた愛する息子への贖罪やヴィロンスキーとのすれ違いなどがもっと描かれていたら、最後の破滅が更に悲劇的に感じられたことでしょう。

 

作品の世界観

 

『Anna Karenina』をもし大劇場で上演するなら、アンナが主役でないと難しいと思います。

宝塚ではこのように小劇場でヴィロンスキーを主役にストーリー展開できるので、やはり貴重な作品だと言えるのではないでしょうか。

舞台セットは必要最低限ですが、ペテルブルクの駅、汽車の中、華やかな舞踏会、イタリアのカーニバルと、とても効果的に作られていて、ロシアの世界観を堪能できました。

 

最後に

 

今日は阪神・淡路大震災の発生から24年目の日になります。
あの日のことは忘れることはありません。

また、いつ起こるかわからない災害に対してあらゆる準備しておくことも大切なことだと思います。

今日このように宝塚の舞台を観劇できることを感謝しつつ、

次回は月城かなとさんを中心に感想を書きたいと思います。


月うさぎ

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