風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

星組全ツ『アルジェの男』感想~礼真琴、青年の成功と墜落を熱演

 

ジュリアンの光と影

星組全国ツアー『アルジェの男』5/5観劇レポです。

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礼真琴 ジュリアン


琴ちゃんが演じるジュリアンは、自分の野望の為に女性たちを利用しつつ上流階級へと登りつめていく。
栄光を目前にして本当の愛に気づきその愛に生きようとするが、同時に破滅へ向かうという、かなり切ない人生を生きる男です。

この作品が礼真琴の持ち味を100%生かせる作品なのかどうか疑問に感じていましたが、懸念は不要。
琴ちやんはどんな役でも高水準の結果を出せることがわかりました。

登場シーンの街並みでのキレッキレのダンスに目は釘づけ、スラム街出身の孤児のジュリアンが抱くギラギラとした野望。
その為には手段を選ばない生き方。

礼真琴、ジュリアンの人生の光と影を情感たっぷりと魅せてくれました。


過去には鳳蘭さん、峰さを理さん、霧矢大夢さんが主演されています。
実力者ぞろいですね。

『アルジェの男』はきりやんの映像視聴のみで舞台は全くの未観劇。
上の3人に関しては、別作品での舞台を観たことはありますが、琴ちゃんのジュリアンは峰さんに1番近いのでは?と何となく想像しています。

今回その峰さんが振付を担当されているのも感慨深いですね。


琴ちゃんの豊かな声量と深みのある声が好きです。
時々目にするのは、次期星組トップの礼真琴ー舞空瞳は、現雪トップの望海風斗ー真彩希帆の路線に続く実力派コンビになるだろうと。

確かに私もそれは感じますし期待もしていますが、
同じ実力派、歌うまでもタイプは異なるトップコンビになるでしょうから、それぞれの良さを楽しめればと思っています。


琴ちゃんには既存のスターにはないオリジナリティを感じるので、そこを大切にしてほしいです

 

愛月ひかる ジャック


この公演での愛ちゃんの好演も大きいと思います。
救いようのない敵役のジャックを、今愛ちゃんほど上手く演じられる人いるでしょうか。
というくらいぴったりで、存在感がありました。

愛ちゃんが宙組を出たことに寂しさを感じていましたが、専科異動後の博多座でのプガチョフ役や、今回の公演、またパリ祭など活躍の場が多いですね。

WSSの時は真風涼帆、今度は礼真琴と、
全く色の違う主演相手の敵役を、どちらの主演とも違和感なしに演じられる。
これは愛ちゃんの強みかもしれません。
これからも活躍を期待できそうですね!

 

*☆**゚゚゚゚**☆*

さて、このストーリーには主役に絡む女性が3人登場しますが、3人それぞれに感情移入できるという、私にとって珍しい作品です。

 

音波みのり サビーヌ


琴ちゃんより上級生であることを全く感じさせない素敵なヒロインでした。
サビーヌは包容力溢れる女性なので、その辺も良かったのかもしれません。

サビーヌのジュリアンへのひたむきな愛には心打たれ、はるこちゃんの演技やダンスのスキルの高さを感じます。
少々弱さを感じる歌でさえ、心で歌える人なので好感を持ちました。

 

今回は娘役さんがトップになる時期について考えさせられました。
若いと初々しいというメリットはあるでしょう。

若いトップが悪いというわけではありません。
ですが、研15のはるこさんの深みのある演技をみていると、若い学年にこだわらなくても良いのではと思ってしまいます。

習熟度や雰囲気、また男役トップとの相性など総合的に考慮して、娘役トップの学年の幅をもっと広げても良いように感じました。
もちろん星組の話ではなくて宝塚全般としての話です。

 

躍進する若手と安定のベテラン


ジュリアンに翻弄されるお嬢様エリザベート役の桜庭舞さん、ジュリアンへの自分の気持ちに気づいてしまった時の演技は見事でした。

清らかな盲目の娘アナ・ベル役の小桜ほのかさんの切ない演技と美しい歌声には泣かされました。
お2人とも声が綺麗で歌もとても良かったです。


ジュリアンの良き理解者であり友のミッシェル役の紫藤りゅうさん。
爽やかなイケメンでこれまた役柄にぴったり。
アンドレ役の極美慎さん、印象に残る美味しい役です。
この人も切ない人ですが、若手の慎くんの抑えた演技が光りました。
こういう役に弱いんです。


朝水りょうさんのどこか飄々としていながら貫禄ある総督役の渋い演技、その夫人役の白妙なつさんの可愛らしい妻の演技は、光りに満ちたボランジュ家の様子をよく表しています。

内相役の大輝真琴さん、シャルドンヌ夫人役の万理柚美さんなどさすがの存在感で舞台を支えます。

 

最後に


ストーリーも主役の名前も良く似ていると思っていたら、やはりスタンダールの『赤と黒』のジュリアン・ソレルをイメージして現代へ置き換えたストーリーなのですね。

エンディングの是非がよく問われていますが、衝撃的な幕切れがジュリアンの人生そのものを表しているようで、私はありかなと思っています。

この舞台は琴ちゃんを中心に、それぞれのキャストが適役でチームワーク良く、クオリティの高さを感じました。


*☆**゚゚゚゚**☆*


ショー『ESTRELLAS』は琴ちゃんを中心にした新しいヴァージョンで、紅さんのパートは琴ちゃんを中心に、愛ちゃんも歌ったり。
琴ちゃんのパートは愛ちゃんや若手メンバーが歌ったり踊ったりで、チャンスを与えられれば出来る人が多いように思いました。

また全ツオリジナルの場面もあったりで楽しめました。
そして今回も琴ちゃんのBack! を観れて幸せ!

たまたまですが、先日宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読む機会があったので、星サギの夜のシーンは思わず見入ってしまいました。


私が観劇した日はちょうど同じ建物のドラマシティで『鎌足』の開幕日。
琴ちゃんもカーテンコールでそのことはとても心強いと言われてました。


*☆**゚゚゚゚**☆*


かけ足での感想となりました。
この公演のチケットは梅芸の会員先行で運良く取ることができました。
諸事情で行くことが危ぶまれてましたが、何とか観劇することができて良かったです(涙)

一緒に観たのは星組ファンになりたてのKちゃん。
来週は『鎌足』にも一緒に観劇予定です(行けますように!)


琴ちゃんは次にまた観劇したいと思わせてくれる素敵なスター☆です。
更に進化していくだろう琴ちゃん、大きく羽ばたいてください。
楽しみにしています!


星・うさぎ 

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『鎌足』感想↓
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