『壬生義士伝』はお芝居が重くて切ない…という面が強調されがちですが、華やかなシーンも笑いもあって見応えのある舞台になってます。
例えば新撰組隊士がズラリと並ぶ姿☆
これぞ宝塚の醍醐味!
華やかな美しさに圧倒されます。
今日は新撰組隊士についての感想ですが、望海さんについてはまた後日に。
ネタバレありますのでお気をつけください。
土方歳三 / 彩凪翔
登場シーンの翔くん、期待を裏切らないかっこよさです。
この芝居での土方は鬼の副長というよりも、荒々しい隊士たちを取りまとめる兄のような存在。
これは原作どおりのイメージです。
「めんどくせー、めんどくせー」と、さらりと言う男前。
実は全てお見通し、管理能力抜群、
テキパキ采配する抜け目のなさ。
土方は言葉にも行動にも一切の無駄がないとか。
翔くんの土方はまさにそんな感じです。
理性派の土方とは対照的に、融通が効かず、こだわりが強く、何かと熱(苦し)い吉村貫一郎。
だけど土方は吉村の腕だけではなく、人となりを信頼していました。
人を見る目にも長けていたのでしょうね。
土方が、他の隊士とは少し違う目線で吉村を見ている様子はよくわかりました。
最初は真面目で質実剛健、剣の腕も立ち、仕事のできるという理由で吉村を重宝していたのかもしれませんが、
いつしか守銭奴呼ばわりされても、家族に送金し続ける吉村を尊んでいたのかもしれません。
役作りもビジュアルも完璧な翔くんの土方歳三です。
斎藤一 / 朝美絢
かっこよさではあーさも負けてません。←イケメン対決ではない。
ほぼ2番手役と並ぶくらいの出番の多さで大活躍でした。
ただ、大野次郎右衛門役は、吉村に続く難役だと思います。
なのでやはり2番手役になったのかなと。
斎藤は主役の吉村との絡みも多くて、見応えのあるシーンがたくさんありました。
そう言えば、吉村だけではなく、沖田とも、土方とも、谷とも絡みがありますね。
斎藤一というのはよくモテたし洒落者だったそう。
で、もっさりした田舎侍の吉村を毛嫌いしていた。
気に食わないという理由で吉村を切ろうとする。
そのシーン。
酒宴の席から夜道まで、緊迫した空気の中での2人の殺陣は息を呑みます。
空気が作れるというのは凄いですね。
あーさは月組で培ってきた力を基に、雪組で望海さんたちに学んだことも積み上げられて、花開いてきた感じでしょうか。
斎藤は谷の件といい、なかなかの非常っぷりで自分軸がブレないタイプですが、吉村にだけは翻弄されているように思えました。
吉村から最後のおにぎりを貰って食べた後で、彼が食べていないことを知り、憤慨して吉村に責めよるシーンがあります。
自分では気づいていないけれど(認めたくないのかも)、吉村のことは根っこの部分で尊敬し、彼に何かを求めていたのではないかと。
このあと吉村を生かそうとして叫ぶ姿に涙します。
あーさは一貫してクールに演じましたが、
人を愛せない一匹狼の漢の人情的な一面も表現されていて感動しました。
沖田総司 / 永久輝せあ
かっこよさではひとこちゃんも負けてません←この後の隊士たちも以下同文でm(__)m
沖田総司はハマりすぎでしょう。
土方や斎藤の様に写真は残っていないけれど、何となくのイメージ像がある人ですね。
その想像の中の世界から浅葱色の羽織を着て颯爽と現れたかのようなひとこ沖田総司。
分かってもらえますか? 笑
ともかく原作を読んで改めて再認識したのは、新撰組は壬生浪と言われて恐れられている集団であること。
その一番隊組長が沖田総司。
若く明るく心優しいイケメンでも、剣を握れば容赦なし。
年下の斎藤一を「はじめくん」と爽やかに呼ぶ口が、
目障りな仲間の谷を「斬っちゃいましょうか。」とさらっと言う。
このギャップには怖さを感じます。
沖田は優しい人という固定観念がありますが、そればっかりじゃないですよというところ。
原作で感じた沖田のリアルな面を、舞台でひょうひょうと演じるひとこちゃんの演技、
センスがあると言うのでしょうか、上手いと思いました。
やはり出来る人、持ってる人です。
そう思わずにはいられません。
それでふと思いましたが、いつか永久輝せあの「星影の人」観たいなと。
個人的に思い入れのある作品なのです。
近藤勇 / 真那春人
近藤勇と言えば、顔も性格もゴツゴツしたイメージがありまして、優しい顔立ちのまなはるくんとイメージがつきませんでした。
が、そこは芝居巧みなまなはるくん、
宝塚の近藤勇を堪能することができました。
やはり新撰組の要となるのはこの人、近藤勇。
吉村の縁談についても身内の様に取り計らおうとする。
この舞台では、恐さや厳しさより大らかで父親の様な(年齢的には兄かも)まなはるくんの局長だったと思います。
谷三十郎 / 奏乃はると
にわさん、当たり役ですね、さすがです!
七番隊組長、谷三十郎、
微動だにしなければ、なかなかの大物風だが。
少し動けば小物の佇まい.…おまけに女好きっぽい。
一見強そうに見えないことはないのだが。
剣を抜いたらへっぴり腰…逃げ足も早い。
愛すべきキャラクターと言いたいところですが、仲間内ではかなりの嫌われ者。
最後は斎藤らに暗殺されてしまうけど、死ぬ瞬間に「え、何で?」と問いかけているかの様な顔のまま倒れていくのが哀れでもあり滑稽でもあり。
この芝居の中でユーモラスな役割を担うおっさん谷三十郎の絶妙なにわさんの演技、存在はかなり光ってました。
池波六三郎 / 縣千
原作(池田七三郎)と名前が微妙に違うのが気になってましたが、新撰組時代はほぼ原作どおり、
生き残って証言者となるのも同じ。
変わっているのは、明治の世で斎藤と警官として行動を共にしているところでしょうか。
縣くん、今回本役でこんなに活躍するなんて。
印象に残ったのは、吉村のお見合いのシーン。
皆んなの話を聞いている時の表情と、吉村を慕うあまり思わず飛び出していく行動とが、一途な若者らしさが出ていてとても良かったのです。
ビジュアルよしセリフも明瞭な縣くん、新公は土方歳三役ですね。
翔くんから目でモノを言う男役の魅せ方を学んでほしいです。
望海さんのトップ就任後、新公主演もしましたが、まだ一度も望海さんの役を演じてません。
ひとこちゃん→轟さん→咲ちゃん→そして翔ちゃん。
次回…でしょうか。
縣くんはどんなタイプのスターに成長するのかなと時々考えます。
男の哀愁を感じさせるような、ドラマティックな役柄が似合うスターになって欲しいというのが私の希望です。
3期上の綾凰華さん、1期下の彩海せらさんなど、雪組には伸び盛りの生徒さんがたくさんいるので、刺激しあって自分の目指す男役像に近づいていってほしいですね。
楽しみにしています!
その他色とりどりの新撰組隊士たち
伊東甲子太郎 / 煌羽レオ
かりちゃん、別箱になりますがPRxPRince でのクールなお役がかなり印象深く残っていてはまり役だったんですね。
つまり、ハマると凄い存在感を残せる人だと思うのです。
伊東は新撰組の中でも位置付けが少し異色なタイプで、
結局は仲間に油小路で暗殺されますが、キレのいい殺陣はかりちゃんの持ち味が生かされてました。
独特の魅力があるのでこれからもっと活躍の場を広げてほしい人です。
小川信太朗 / 久城あす
切腹だけでも悲劇なのに、とんでもない企ての犠牲になりますT^T
このシーンで介錯を務める谷と吉村の剣の腕の差が歴然とし、小川はとばっちりを受けて大変な目に会うのですが、役柄的にはそれが目立つ見せ場となります。
ざんばら髪となり、抗おうとして最後のひと暴れ、なかなか見応えありましたよ。
近藤周平 / 眞ノ宮るい
優しい顔立ちのはいちゃんですが、新撰組隊士としてキリッとしていて素敵でしたし
とても綺麗ですね。
兄(谷)を暗殺されたことを知って叫ぶところを連れ出されるところは印象的でしたが、はいちゃんの演技はまだまだよく知りません。
これから注目していきたいと思います。
♡━━━━♡
一口に新撰組隊士といっても最後まで同じ志を持つことは難しいようです。
明日の保証もない日々を懸命に生きる若い輩たち。
壬生義士伝では舞台の上で美しく咲く新撰組隊士たちを堪能することができます。
続きます!
雪・うさぎ
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