このシリーズの最後はトートとエリザベートです。
夕暮れ時のスイス、レマン湖
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宝塚版の主役はトートで、東宝版はエリザベートです。
各国で上演されている『エリザベート』ですが、 トートを主役にしているのは宝塚だけです。
トートとエリザベートの愛をテーマにした宝塚版と、ハプスブルク帝国の終焉をエリザベートの死に絡めたウィーン版との演出にはかなり違いがあり、 東宝版は、その中間くらいだそうです。
まずプロローグ
宝塚トートは妖しい美しさと魅力を持つ、圧倒的な存在として登場します。
登場シーンは東宝版もなかなかのものです。 舞台上から妖艶な姿でトートが降りてくるのです。
私が東宝で観たのは、過去2回。 石丸幹二さんと春野寿美礼さん 城田優さんと花總まりさん トート役のふたりは年齢差がかなり違い、 エリザベート役は宝塚元男役トップのオサさんと、娘役トップお花さん ここでは詳しく書きませんが、同じ東宝版エリザベートとは思えないほど、役作りは違っていました。
さて、ざっと違いを。
宝塚版ではトートのエリザベートへの強い愛を感じますが、あらゆる場面において東宝版ではそこまで強く感じませんでした。
宝塚版での有名なセリフ「死ねばいい」も東宝版ではなかったです。 また東宝エリザベートに関しては、贅沢で子育てより美容に熱心な様子を、宝塚よりきつくルキーニに批判されていました。
エリザベートの1人目の娘ゾフィーの死が東宝版では描かれます。
あと、病院慰問のシーンは宝塚版と東宝版では出てくる順番が違っていたように思います。
ここは流れ的に宝塚版の方が自然な印象を受けました。
また、東宝エリザベートが旅している時に銀行口座にお金を貯めて、浪費していたことなどもわかったりと、
東宝エリザベートはひとりの人間としての行いがかなりリアルに描かれています。
東宝トートはエリザベートに対してどちらかと言えば見守っているような感じを受けます。
もちろん男性トートなので、最後のダンス、闇が広がるなどのナンバーはかなり迫力があります。
それぞれに良いところがありますが、 個人的には宝塚版はストーリーは短い分、エリザベートの『死』に至る2人の愛を、テーマとして絞っているので、わかりやすく感じました。
これは、回数を観ている分、宝塚版に慣れているからかもしれません。
東宝版は登場人物を美しく彩るだけではなく、かなりリアルに描いているので、それぞれの人物のセリフが若干多くなります。
いくつかは宝塚版に加えてほしいと思うシーンもありましたし、何となくはっきりしなかったところがわかった台詞や場面もありました。
ラストシーンは大きく違います。
宝塚エリザベートはやっと魂の自由を得ることでトートとの愛を成就し二人で旅立ちますが、
東宝では棺の上で眠りについたエリザベートの傍でトートはただ見守っています。
『エリザベート 』は観る人の数だけ感じ方も解釈も違うと思います。
さらに宝塚版と東宝版では同じ流れ、同じナンバー、同じ登場人物でも、視点が違いテーマが違うことで観る私たちの受けとめ方も変わってきます。
もっと言うと、演じる人によっても違ってきます。
自分が求める『エリザベート 』の世界観のある舞台に出逢えると嬉しいですね。
これからも私たちを魅了してくれることを期待しつつ、
このシリーズはこれで終わりたいと思います。
うさぎ