風のワルツ

宝塚歌劇、楽しくブログで綴ります。

雪組『f f f / シルクロード』感想① ネタバレなし

皆様、新年明けましておめでとうございます。
遅ればせながらご挨拶させていただきます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。

 
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大劇場ではついに望海さんの宝塚最後の公演の幕が上がりました。

初日から流れてくる情報(コロナ含め)がこれほど気になったのは初めてです。
観る前から考え過ぎて顔に吹出物が出てくる始末。これは食べ過ぎでしたが。

考え過ぎず望海さんのいる今の雪組を目に焼き付けようと決意。
幸いブツブツも引っ込み、5日に初観劇を迎えました。

当日はサヨナラ公演という寂しさと雪組観劇という喜びを胸に劇場へ。

翌6日も観劇したので2公演観た後の感想を少し残しておきます。
感想というより思いかもしれません。

今回はネタバレなし、内容にはふれません。


まず『fff』、ウエクミ先生の壮大な世界観の中に、ベートーヴェンへそして望海さんへのオマージュが散りばめられている作品に感じます。
 

1度目の観劇後、望海さんと真彩ちゃんをこの2作品で見送ることができることを幸せに思いました。心から。
まだ作品の全てを理解できていなくても、です。
 
何よりもだいきほ最大の魅力である歌が生かされていました。
またふたりの関係性にはドラマを単にベートーヴェン物語で終わらせず想像力を大いに掻き立てられ、最後は心にズシーンと壮大な音楽となって響いてきました。
ここは抽象的で申し訳ない。
 
髪型も衣装も完璧。
2人のビジュアルも大変良かったです。
舞台は必要以上に華美ではなく落ち着いた雰囲気で美しく、工夫を凝らした演出は見事でした。
またベートーヴェンのドラマチックな交響曲と望海さんの深みのある声が非常にマッチしていたことも私が心揺さぶられた大きな要因です。
 
『fff』はだいきほの為の、だいきほの雪組のための傑作というのが私の結論です。

今語れるのはこれくらいでしょうか。
 
『シルクロード』、物語性のあるのショーが大好きな私はとても楽しめました。
世界観も衣装も一貫性があって大満足です。
菅野よう子先生の楽曲は素敵でこちらも2人の歌を堪能できます。
 
そして、
2作品通して咲ちゃんの存在が際立ち、ひらめちゃんとのシーンには2公演とも泣けました。
また最後の公演となる翔ちゃんの大人の男役の美の色気と輝き、あーさの芝居とショーの演じ分けの素晴らしさなど見どころ満載です。

幸いまだ観劇予定があるので、作品の内容やキャストなどもう少し踏み込んだことは自分のペースで思いを育てていきたいと思っています。
  
 
これから観劇される方におすすめしたいのがシンプルにベートーヴェンの曲を聴いていただくことです。

なぜなら彼の音楽こそが彼の魂であり望海さんは彼の人生、魂を全身全霊で演じられているからです。

作品に出てくる交響曲(英雄、運命、月光など)、特に第9はお勧めですがベートーヴェンの曲なら何でも良いと思います。
もちろん時間があれば歴史的背景や人物についてなどリサーチするのもいいですね。 

初観劇の日は音楽の中にいる望海さんだけに意識を集中させました。(それしかできなかった)
ストーリー自体は難しくないのです。
と言って作品の持つ意味が理解できたというわけでもなく、そこがこの作品の難しさなのかなと。

ただ、そこへ到達できなくても音楽の力でベートーヴェンの望海さんを感じることはできました。
1度だけの観劇でも楽しめます。
考えを思い巡らせるのは観劇後に十分できると思います。

  
ところで5日は最前列というオペグラなしで汗も涙も見ることのできる神席でした。
作品に集中できる度合いは格別です。
私の場合ほぼ贔屓の顔を見ていただけというのが現実でしたが、それはそれで贅沢な至福の時間でした。

私が望海さんのファンになった公演は2階の最後列の端の席。
舞台から1番遠い席で主演ではない望海さんの輝きに出会ったのです。

そんな思い出も感慨深く、目の前の輝きがあまりにも眩しくて涙しました。
 

大変な状況であることは否めません。

政府より東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を対象とした緊急事態宣言が発出されたことで対象期間の開演時間の変更及びチケットキャンセルについて諸々、宝塚HPで発表がありました。

今後の公演実施内容の変更、また劇場内各施設の営業体制も変わるのでこまめにチェックする必要があります。

 

宝塚最後の舞台を渾身の力で演じる望海さんたち雪組の皆さん、

東京公演の宙組、初日を迎える花組、続く月組、星組の皆さんの公演が全て滞りなく幕が上がることを祈るばかりです。

私たちはファンとして守るべきことを認識して実行しなければなりません。
私自身、夢の世界へ足を踏み入れるとつい気が緩みそうになるので意識を高く持って気を引きしめなければと思っています。

そしてこの公演を心ゆくまで楽しみたい!
本日雪組公演のギャラリーが公開されムービーページも更新されているのでぜひご覧くださいね。

このあと感想は思いつくまま自由に書いていければと思っています。

今の雪組の形を表現したこの素晴らしい舞台に多くの方が出会われますように。

心から願いつつ…

 

雪・うさぎ

 

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宙組『アナスタシア』感想 - まかまど伝説になる

 

アナスタシア伝説をモチーフにした作品は悲しい物語が多い印象ですが、ミュージカル『アナスタシア』はロマンチックで明るくて皆が笑顔になれる作品です。

 

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           三井住友カード ミュージカル
           『アナスタシア』
       潤色・演出/稲葉 太地

 

11月19日に宝塚大劇場で観劇、今日LIVE配信を観ました。
少し感想を書き留めておきたいと思います。

 

アナスタシア伝説と史実と

 

ロシア革命で殺された皇帝一家の皇女アナスタシアは生きていた?
という伝説をモチーフにミュージカル化した作品。

元はアメリカのアニメ映画(1997)
2017年にはミュージカルになり、ブロードウェイで上演されました。
別々にですが真風さんとまどかちゃんも観られたそう。

映画が製作された時はまだアナスタシアの生存は謎に包まれていて色んな説が飛び交ってました。
2007年にはDNA鑑定によってアナスタシアは家族と一緒に銃殺されていたことが立証されています。

それでもアナスタシア伝説は今も尚生きて皆の妄想を掻き立てる素敵な物語としてこの先も語り継がれるのだと思います。

 

この作品は楽曲が素晴らしい!
特に主題歌の「Once Upon A December -あの日の12月」は何度もリピートしたくなる曲です。

 

<物語の始まり>

ペテルブルクの皇帝一家が革命の銃殺される。
生存していたとされる末の第四皇女アナスタシア探しが行われる。

詐欺師のディミトリィと偽貴族のヴラドは記憶喪失の娘アーニャを仕立て上げて報奨金をせしめようと皇太后のいるパリへと冒険の旅が始まります。

 

キャストについて

 

真風涼帆 / ディミトリ

舞台を大きなキャンバスに例えると素敵な絵になるであろうシーンがたくさんあります。

例えばペテルブルクの街、満点の星空の下の希望に満ちたディミトリとアーニャの絵、
パリの田舎町で笑み合う2人の絵、
列車の旅を描くのも賑やかで楽しそう。
 

ディミトリは詐欺師だけど悪い人ではなく、いい人だけど詐欺師という賢く強い男。
宝塚の男役なら演じてみたいと思うような役ではないのかな。

 

たくさんの素敵な曲が散りばめられていますが真風さんの為に書き下ろした楽曲「She Walks Inー彼女が来たら」もあり、真風さんの歌はどの曲もディミトリの心が込められていました。だから良かったです。

「My Petersburgー俺のペテルブルク」も素敵だし全編を通して歌に感動しました。

 

フィナーレでは色気全開、タンゴで娘役たちと踊るシーンはザ・男役!
娘役の中にはリリーそらくんもいます。

まかまど、デュエットダンスで豪華なキラキラの衣装を着る2人があまりに美しくて私の中で永久保存版です。

 

星風まどか / アーニャ

同じロシアの宙組作品『神々の土地』を観劇した時はまだ少女のような可愛いさばかりが印象的でした。

ヒロイン役を重ねるうちに実力にも磨きがかかり、今やタイトルロールを堂々と演じられる安定感と貫禄。

芯の強さと皇女としての品格を感じられるアナスタシア。
気が短くて時々癇癪起こすのも面白い。

巡り合ったアーニャ役はどこをどう切り取ってもまどかちゃんにぴったりの役になりました。

プリンセスのようなビジュアルと壮大な歌を歌えるのは大きな魅力ですね。素晴らしい。

 

芹香斗亜 / グレブ

渋さと哀愁を武器に物語のロマンチックを違った角度から攻め込んでくるグレブはロシア新政府の役人。
アナスタシアを愛してしまったことから職務を全うできずに悩めるグレブですが…。

 

キキちゃんは手を後ろに組み軍人らしく厳しい顔。
それだけに内に秘めた思いの熱唱には心揺さぶられます。

「The Neva Flowsーネヴァ河の流れ」は聞かせてくれます、圧巻です。

毎日のアドリブもお疲れ様でした。今日のアーニャお誘いも楽しめました。

今年はサパ、アナスタシアと真面目で硬質なキキちゃんを堪能しました。
そろそろ大らかで軟質な色気を放つチャラめのキキちゃんが恋しくなってきました。


桜木みなと / ヴラド

壮麗帝の美しいイケメン髭のずんちゃんも好きですが、
可愛いヴラドおじさん髭のずんちゃんも好きです。
とってもチャーミングなイケオジ。年齢不詳なところも良い、笑

真風ディミトリの相棒で、陽気な愛すべきキャラクター。

この3枚目よりの人物を歌もダンスも巧妙に、肩の力を抜いて柔軟に演じたずんちゃん、絶好調ですね。
リリーにギラつくずんヴラドが好き。2人の絡みが好きです。

ここ数年でずんちゃんの役の振り幅はぐーんと広がりました。
爽やかイケメンは基本形。
王子様役、女役、帝役、敵役、そしておじさん役まで卒なくこなす、凄いと思います。

自然体の演技がどんな色の役にも染まることができるのか、
次はどんな色の桜木みなとに会えるのか、楽しみです。

 

和希そら / リリー
そらくんが登場してから私はほぼリリーにオペグラをロックオン。
歌って踊って素晴らしいショースターに客席も凄い拍手でした。

リリーの魅力は到底言葉では伝えられず「百聞は一見にしかず」はそらリリーの為のことわざかもしれません、ぜひ劇場でご覧ください。
 
マリア皇太后の側近としては実にテキパキと有能に、ヴラドとはラブリーに、
明瞭でメリハリの効いた台詞回しは耳に心地良く響き、時々刺激的でとてもいい。

娘役というよりはパンチの効いた女役。
嫌味のない色っぽさが魅力の美人です。
ずんそらコンビは軽妙なのに濃厚で、絶妙な芝居で観客を引き込み物語を盛り上げます。

2度目のバウホール主演も決まり勢いづくそらくん。
宝塚での活躍はもちろんですが、ゆくゆくはミュージカルスターのそらくんを観てみたいと思いました。まだ遠い先の話。

 

寿つかさ / マリア皇太后

『神々の土地』と同じ、マリア皇太后役です。
声のトーンも御姿も皇太后。

心を通わせることのできるのはリリーだけという孤独な人。

これまでの歳月を思わせるような厳しい雰囲気は人を信じることを諦めた氷のような冷たさ、そんな負の心を感じさせます。

凛とした気品ある皇太后を美しく演じられてました。さすがです。

 

まかまど伝説

 

この作品は主演クラスの役が少ないために、本来もっと活躍されるはずの方も出番が少なくバイトが目立ちました。
ですがその中の1人、潤花ちゃんがオペラ座のバレエシーンが印象的だったように、出番は少なくても皆さんのそれぞれの役、シーンはしっかり印象に残っています。

 

この作品の1番のメッセージは「HOME, LOVE, FAMILY」ということです。
自分は誰なのか、帰る場所はどこなのか、愛する人は誰なのか。

家、愛、家族を見つける旅はディミトリとアーニャだけではなく、全ての人たち、グレブにとっても愛によって自分自身を解放できる旅だったのでは。

 

真風涼帆さん、星風まどかさん
2人の集大成となる素晴らしいミュージカルでした。

『アナスタシア』は宝塚宙組のまかまど伝説としてずっと語り継がれるでしょう。

 

宙・うさぎ

 

星組『シラノ・ド・ベルジュラック』感想 〜バルコニーの出来事〜 轟 / 瀬央 / 小桜

 

ミュージカルで3大バルコニーのシーンとして有名なのが『ロミオとジュリエット』『ウエストサイド物語』、そして『シラノ・ド・ベルジュラック』です。

物語の中ほどにバルコニーの場面が出てきますが、とても印象的なシーンになっていて素敵です。

最後にヒロインの脳裏にこのシーンが蘇ってきた時には胸が熱くなります。

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       ミュージカル

   『シラノ・ド・ベルジュラック』
     脚本・演出/大野 拓史


12/8 梅田シアター・ドラマシティで観劇、12/12 LIVE配信視聴しました。 

楽しさと切なさを感じる素晴らしいミュージカルでした。

最近、公演の観劇後に大体の感想を書いて(放置して^^;)、配信みて補完してブログ更新する…というお気楽なスタイルが定着しています。(来年の雪組公演でこのパターンが大きく変わりそうな予感) 

 

シラノと宝塚

 

『シラノ・ド・ベルジュラック』は17世紀フランスに実在した剣豪詩人を描いた戯曲です。

豪快で才能ある彼のコンプレックスがゴツい鼻!

この人気の戯曲をモチーフにしたミュージカルはたくさんあります。

宝塚では1995年に『剣と恋と虹と』(麻路さき主演)で設定をアレンジして上演。(鼻はそのまま)

今作はほぼ原作どおりにミュージカル化されています。

 

轟悠 / シラノ

 

でかっ鼻と言われると仲間でもぶん殴る。
破天荒で陽気で強くて純粋で大きな愛を持ったとびきりロマンチストな男です。
 
大野先生が「下手したら大コケするけどうまくいったらすごく面白くなる」
と言われていたのがよく分かりました。
 
シラノ役は型にハマらず役者が自由に演じた方が面白くなりそうですが、よほど舞台に熟練した人でないと確かに大コケしそう。

今の宝塚でシラノをこれほど愉快に切なく演じられるのは轟悠さんしかいないように思います。
 
例えば冒頭で触れたバルコニーの場面。
月明かりの夜バルコニーに佇む美しいロクサアヌ(小桜)
彼女を思いシラノとクリスチャン(瀬央)がコミカルに歌にのせて芝居をするのですが、ここの轟さんは本当に上手い。

轟さんの歌に導かれるように踊るせおっち、うっとりするほのかちゃんと三者三様の思いが浮かび上がり魅了されるシーンになってます。
 
もう一つ、最後の場面。
ロクサアヌに満身創痍で逢いに来たシラノの演技が素晴らしい。

かつてバルコニーで愛の言葉を語ったのはシラノだったと気づぎ、2人が気持ちを一つにした瞬間が終わりの時になった悲しさをよく表現されてました。

フィナーレではつけ鼻のままのシラノとロクサアヌのデュエットダンス、
地上では結ばれることはなかった純白の衣装の2人の笑顔が美しく、
宝塚シラノはここが物語の終着点になるのだなと思います。

 

轟さんの熟達した技と演技は得難いもので見応えある舞台でした。

今後は劇団特別顧問という立場になられて今までと違うアプローチで舞台に関わられていくのかもしれませんね。

小劇場で近い距離で轟さんと一つの作品を作り上げたことは星組メンバーにとって貴重な経験になりそうです。

 

瀬央ゆりあ / クリスチャン

 

オープニング、颯爽と登場して歌うクリスチャン瀬央ゆりあ、
キリッとしてかっこいい!
期待感が高まる華やかな始まりです。

クリスチャンはただ顔がいいだけの男なのか。
黙っているときだけが華なんだと自分で言ってますが。

確かに恋を成就する手段をにシラノに頼るところはちょっといけてないかもしれません。

ですがシラノの気持ちに気づき、ロクサアヌが本当に愛しているものは何かを知って身を引こうとする優しくて心ある人。
彼は素敵に年を重ねることが出来る人だったのではないかな。

夜のベンチでロクサアヌに必死で愛を伝えるところはコミカルながらちょっと切なかったですね。
この作品は一つのセリフの中や一つのシーンの中に 可笑しさと切なさが共存しているのが特徴です。
  
クリスチャン役もまた難しそうに思いました。
弱さもあり、それゆえ悩みそれでも恋を諦められず喜びと苦しさの中で揺れている青年というイメージで、
シラノとは違う複雑な心の機微を表現できてこそクリスチャンという役は生きてくるような気がします。

せおっちは役作りにかなり悩まれたそう。
悩み苦しみながら作り上げた瀬央クリスチャン。

シラノ轟の演技をしっかり受けとめクリスチャンとして舞台で生きていたと思います。
轟さんと呼吸がぴったり合っているのは『ドクトル・ジバコ』の共演もあったからでしょうか。
 
フィナーレではせおっちが主題歌を歌いセンターで男役群舞へ。
みっきぃ、朝水くん、極美くん、キラキラと美の洪水。

作中のガスコン青年隊でかっこいいダンスを見せてくれた碧海さりおくんと希沙薫くん、次回星組公演『ロミオとジュリエット』で「愛」(役替わり)を演じることにも注目ですね!
 
せおっちはティボルトとベンヴォーリオ、大役の役替わりが楽しみです。

 

小桜ほのか / ロクサアヌ

 

人を好きになる時、外見を重視するのかハートを尊重するのか。
若く美しいロクサアヌが美青年クリスチャンに一目惚れするのは普通のことです。

でも詩情豊かな彼女は顔だけでは満足しなかった…。


一緒に観劇した息子2は、彼女がクリスチャンに詩心まで要求するのはひどいなーと言います。
うん、確かに。
まぁクリスチャンには最初から自分の言葉とハートで勝負してほしかったですけどね。
 
彼女は美しい言葉で愛を語り愛を歌う美しいクリスチャンに恋をした。
もちろんそれは全てシラノの愛の言葉なのですが。

もしあの時その言葉や手紙を書いたのはシラノだったと知っても、彼女が直ぐにシラノを愛せたのかどうかは分かりません。

ただロクサアヌは夢見るふわふわした娘ではなくクリスチャンの死後も修道院で彼を愛し続ける、一途で強い気持ちの持ち主です。

 

ほのかちゃんは歌もお芝居も上手くて安定感があります。
声も綺麗で可愛くて私はすごく好き。
余裕をもって演じているように感じました。

ほのかロクサアヌはクリスチャンに恋している娘時代は自然体で可愛らしい娘です。

最後のシーン、
夕暮れから暗くなるまでのシラノとふたりだけが存在する空間が素晴らしくて、轟ー小桜2人の演技は物語の結末を崇高なものにしてくれたと思います。

  

印象に残った人 

 

天寿光希
悪役のようで完全な悪役ではない男の面白さを演じるのが上手いみっきぃ。
ナウオンのテンションの高さに轟さんもタジタジでしたね、。好きです。

極美慎
出番もソロナンバーも多く活躍が目立ちました。
恵まれたビジュアル、これが華ってやつですね。生き生きとした役作りが爽やかで素敵。

朝水りょう
特に一幕では存在感のあるお芝居で目を引きました。
極美くんの陽の輝きとは違うミステリアスな輝きが魅力に感じます。

美稀千種
新星組組長ちぐさん、落ち着いた優しさと包容力ある演技が光りました。

 

シラノ観劇後日談

 

瀬央さんファンの息子2は観劇後にシラノという人物に興味をもち、映画「シラノ・ド・ベルジュラック に会いたい」を見たいし原作も読んでみたいと意欲的です。

今日は外出してましたが、配信中1幕の終わりに帰って来て「せおっちまだ生きてて良かった!」シラノ役の「轟さんは凄い、かっこいい」と、かなりこの作品にハマっている様子。
このような形の宝塚もあるのかと感動していました。

一つの舞台をきっかけに見聞を広められるのは有難いことですね。

 

このミュージカルでは誰もが心優しいシラノを愛して涙しました。

チームをまとめて魅力的なシラノを魅せてくれた轟さん、そして星組の皆さん、無事に千秋楽の幕が下りて良かったです。

素敵な舞台をありがとうございました。

 

星・うさぎ

 

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星組公演『エル・アルコンー鷹ー』感想〜ダーティーヒーロー礼真琴 / キラキラ愛月ひかる

 

人はなぜダーティーヒーローに惹かれるのだろう。

悪の滅びの切なさと美しさに魅了されるのか
自分の中のダークが覚醒して騒ぎだすのか…^^;

エル・アルコンのティリアン・パーシモン礼真琴

完全無欠のダーティーヒーローです。
 
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11月26日に梅田芸術劇場で観劇、今日28日にはライブ配信を観ました。 
26日には原作者の青池保子氏がご観劇でした。

    『エル・アルコン-鷹-』
 「エル・アルコン-鷹-」「七つの海七つの空」より

      原作:青池 保子(秋田書店)
       脚本・演出/齋藤 吉正

 

ドラマチック強化発案 ⁉︎

 

原作を未読で初演も未観劇の方も多いと思いますが、
ストーリーの展開を追いながら登場人物の顔と名前を一致させたり、
繋がりや関係性をつかんでいくのは難解ではなかったですか。
 

観劇前に私も何年かぶりに原作を読んで初演の映像を観ました。

漫画は順を追って登場人物を把握していけますが、
舞台は限られた時間内に壮大なストーリーを詰め込むことになります。
なので全く予習なしの初見の方はかなり集中力が必要かなと思いました。


もしティリアンの今に至るまでの背景をもう少し描くことができれば、
ダーティーヒーローの誕生と、悪の華の散り際がさらに鮮明に印象づけられ、
よりドラマチックになったのでは…

と、そんな妄想もしてみました。

 

礼真琴 / ティリアン


かつてティリアンそのものだった安蘭けいさん。
エルアルコンは星組の伝承作品になるのでは…と思うくらい私の中で安蘭ー礼のティリアンが結ばれています。いい意味で。
 
観劇前から、聞かせる歌が多く大立ち回りのシーンもあるティリアンは歌うまで躍動感のある琴ちゃんにうってつけの役だと思ってましたが、実際そうでした。

 

若くて優しい顔立ちの礼真琴、
冷酷で色気ダダ漏れのティリアンをどのように魅せるのかーは注目でしたが、
最強の低音ボイスでセリフ、歌を表現し堂々とこの役に勝負したことは素晴らしいと思いました。

 

ティリアンにとって人は利用するもので、邪魔になったら切り捨てるもの。
憎いほどのワルです。
そんな悪を琴ちゃんはよく研究されていると感じました。仕草も表情も。

以下は、ティリアンのいびつな愛について。

 

まずペネロープ(有沙瞳)、
彼は彼女にひとかけらの愛情もない。
「ここに来なさい」
導かれるままに恋に落ちていくお嬢様。
彼は罪のない彼女に愛情はおろか温情すら待ち合わせません。

嫌悪している義父の愛人シグリット(音波みのり)とも戯れた過去。

 

彼の心はずっと渇いていて満たされることはなく。

親の愛に飢えていた。
父親からは愛されず疎まれ、母親は息子の姿ではなくその先の愛する男ジェラードだけを見つめていました。
ティリアンは血の繋がった父親かもしれないジェラードに憧れを抱いていたけれど。

結局、彼にとって家族は愛ではなかったのです。

 

そんな彼が初めて心惹かれたのが女海賊ギルダ(舞空瞳)。
彼の人生に愛があって良かった。

彼が七つの海七つの空を見せようと言ったのは、ギルダと腹心のニコラスにだけです。

最後に大海原で愛するギルダとニコラスと共に、彼の全てだった旗艦エル・アルコンで果てることは彼にとってふさわしい幕切れだったのかもしれません。

ティリアンに海があって良かった。
たとえ海が彼の悲劇の象徴だとしても、最期は全てから解放されて海の中で眠るのです。

 

舞空瞳 / ギルダ

 

強く逞しく美しい女海賊ギルダに舞空瞳。
フランス貴族で誇り高く、身体も恐らくは心も傷だらけの女。

 

メイクも強めに迫力ある演技で思っていた以上に戦士でした。
ティリアンとの戦闘シーンも2人の動きがシャープで無駄がないのはさすがでした。

歌はかなり高音で難しそうな曲ですがほぼクリアされていたと思います。
中盤で礼ティリアン、愛レッドと3人で歌う「七つの海七つの空」はとても良かった。

 

強気の海賊である前に1人の女性であるギルダはティリアンへ惹かれていきますが、琴ちゃんに比べるとなこちゃんの色気はまだ少なめ。
突然色気ムンムンになるのも怖いので 笑、男勝りなギルダはあれくらいでいいかもしれません。

ギルダは海賊としての顔と女としての顔を持つ難しい役でした。
全体的には好演されていたと思います。

 

愛月ひかる / レッド

 

ティリアンとは好対照に正義の心を持つ青年レッド、愛月ひかる。
好青年から海賊へと、おいしい2番手役だと思います。

ダークな役が多めの愛ちゃんの正義感溢れる青年役は楽しみでした。
元々は黒い役も白い役もどちらも似合いますが、これほどぴったりとは。
若々しくて爽やかな役作りでした。

そして逞しい。そりゃジュリエット(桜庭舞)も一目惚れするでしょう。
特にあの流れで(→結婚の儀) 突如現れたレッドは彼女にとって王子様です。

 

復讐のために海賊になっても正義と良心が理念とはかっこ良すぎですが、信念を持つ彼には人を引き付けるカリスマ性を感じます。ティリアンもカリスマ性抜群ですが。

愛ちゃんのレッドは包容力と信頼感に満ち溢れていてとても良かったです。

 

もしレッドが主役の『七つの海七つの空』だけを舞台化していたら、琴ちゃんがレッドで愛ちゃんはティリアンと思いますが、逆の役になってもしっくりくる2人は凄いです。

 

 

青池保子さん「僕は君を忘れない」

 

『エルアルコン』原作者の青池保子さん、

以前フォロワーさんが「木原敏江〜エレガンスの女王〜」
という本を紹介されていて、私もすぐに購入しました。

タイトルの木原敏江さん、宝塚の『アンジェリク』大江山花伝』『紫子』などの原作者です。
カラー写真満載で美しさは
まるで宝塚の世界です。

著書の中に、青池保子さん、木原敏江さんと『ポーの一族』の萩尾望都さんのスペシャル鼎談があって、宝塚の話も当然ながら出てきます。

これね!! ↓

prtimes.jp

青池先生は『エルアルコン』が宝塚で舞台化されて豪華な舞台になって感激されたそうです。

初演の時、宝塚大劇場のラストでキャプテン・レッドが何も言わないから、演出家の齋藤吉正先生に「僕は君を忘れない」と入れて欲しいと言ったら東京ではそのセリフを入れてくれた、齋藤先生はちゃんと聞いてくれたと言われてました。

 

作者には思い入れのあるセリフやシーンがあると思うので、そこは舞台で生かされて欲しいですね。

今回の舞台でもしっかりと聞きました。
「僕は君を忘れない。」

 

印象に残ったキャスト

 

有沙瞳
切ない役が似合い過ぎるみほちゃん。
美しくて気位の高いお嬢様。
ティリアンを愛して身を滅ぼしてしまうペネロープはハマり役でした。

綺城ひか理
ジェラードはティリアン一家の運命大きく変えた人です。
ティリアン自身も多大な影響を受けた。
物語の要となる役を渋くクールに手堅く演じられる頼もしいさん。

天華えま
エドウィンは婚約者ペネロープをティリアンに奪われてしまう。
人が良さそうで騙されそうな感じのする美青年将校ぽさがよく出てました。 

天飛華音
顔に傷がある荒ぶれた海賊であっても、正義のレッドについて行くあたり彼の男気を感じます。
薔薇を加えての登場もかっこいい!目立つ役にしっかり応えてました。←大注目!

咲城けい
ティリアンにずっと寄り添い運命を共にするニコラス。
同期で個性派の華音くんとは違う涼しげな表情が印象的。
ティリアンを見つめる目が印象的でこの役に合ってました。

桜庭舞
大人しい印象だったまめちゃんの輝きが凄かった。
個性の強いぶりっ子役を嫌みのない可愛さで演じ魅了されました。
何かがはじけた感じ。こちらも今後大注目です。ショーのエトワールも◎!

音波みのり
はるこさんはお顔も演技も声も好きです。
髪型やアクセサリーにも工夫があって娘役の美を極めてられます。
今回のアクの強そうな愛人役も魅力たっぷりでした。

万里柚美
初演と同じティリアンの母役を演じるなんて素敵です。
母親でも妻でもなくは恋する女性として生きてました。お美しいので説得力あり。
6度目の母親役となった琴ちゃんとの親子の空気感はもはやプレミアム級。

 

ダーティーヒーロー

 

千秋楽、この日を無事迎えられて良かったですね。
ユーモアのある白妙なつさんのご挨拶も素晴らしい。

 

ダーティーヒーローの中でも冷酷な部類のティリアンを思いっきりかっこよく息づかせる宝塚はやはり凄いところです。

セリフの一つ一つが耳から心に突き刺さり、響いてきます。

かつてFirst Photo Bookでティリアスに扮装した礼真琴。
好きだった作品、思い入れのある作品、憧れていた作品を演じることはこの上もない幸せと喜びと思います。

ティリアンを素敵に演じてくれてありがとう。

やはり私はダーティーヒーローが好きです。

 

星・うさぎ

月組『ピガール狂騒曲』感想〜月城かなとの輝きを見た

1度の観劇予定でした。
気がつけば追いチケしながら数回観劇することになりました。

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舞台はベル・エポック(美しき時代)
ー19世紀末からの25年間(1889-1914)ー

シェイクスピアの「12夜」を枠組みに、華やかなりしパリのムーラン・ルージュを舞台にレビュー仕立てにしたコメディ作品です。 

 

日本物ショーWTTの感想です↓↓↓ 

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今日は配信を観ることが出来ませんでしたが、観劇後に少しずつメモしていたものをまとめてみました。 

         ミュージカル
   『ピガール狂騒曲』〜十二夜より〜
        作・演出/原田 諒

 

珠城りょう -輝月ゆうま-


早速ですが珠城さんの感想から進めて行きます。

珠城さんの役は2役、
女役  ジャンヌ→男装してジャックに。
男役  ヴィクトール
 
事情があって物語の大半はジャックとして登場します。
オスカルのように男装の麗人…なのですが、ジャックは男として育てられたわけではなく軍人でもなく普通の可愛い人。
それがちゃんと伝わってくる役作りをされています。
 
例えば、歩き方、しぐさ、化粧、表情など、雰囲気の違いでごく自然にジャックとヴィクトールは切り替わります。
14回の衣装の着替えは大変でしょうが私たちはそれも楽しいです。

珠城ジャックは茶目っ気たっぷりで可愛くて、ヴィクトールになるとイケメンになる。
アドリブ含めこんな自由な珠城さんを観たのは初めてかもしれません。

ジャックを追いかける女衒の元締めマルセル(輝月ゆうま)ら4人組もコミカルでストーリーを盛り上げます。
まゆぽんはこのお芝居のスパイス的な役柄を担っていて、アドリブも動きも上手くて無駄がなくて本当に素敵。

最後にジャックとヴィクトールが同時に出てくるところ。
珠城さんがジャック役として登場している時に、蒼真せれんくんが突然ヴィクトールになって出てきたのは、ちょっとしたサプライズでした。(セリフは珠城さん)

 

美園さくら  


美貌の女流作家ガブリエル・コレット
ガブリエルはこの時代には珍しいほど自立した現実的な女性で自分の考えを主張できる人です。
スタイル良くてどんな衣装も着こなせる、声質もしっかりしているさくらちゃん。
歌も演技もダンスも申し分なくゴージャス感があるので、こういうお役はぴたっとハマります。

ただIAFAのエマと少々役柄が被るところは否めません。
『赤と黒』が未見なので余計にガラッと違う役柄を演じるさくさくが観たいという思いがあります。
それは次回作で叶うと思っていますが、4作で最後となるのはやはり残念に思います。

 

実在の人物ガブリエルと夫のウィリーについてはまた後ほど。
 

鳳月杏 -風間柚乃 / 夢奈瑠音-


作家のウィリー(ゴーティエ=ヴィラール)
実は妻のガブリエルがゴーストライター
彼も実在の人物です。

見た目はダンディ、中身はコミカル担当のちなつさん、絶妙なアドリブ、同じくコミカル担当のおだちん、るねくんを巧みにリード、さすがです。

暴走しているようで計算されたセリフやアクションは本当に素晴らしいと思います。

 

そのちなつさんの弁護士ボリス演じるコミカル担当2のおだちん(風間柚乃)、目立ってましたね。
私は代役で観たルキーニが未だ忘れられず(あるいはカストロ)、今回もまた同じ人と思えませんでした。←褒め言葉

また秘書役の夢奈瑠音くんもこのコミカルメンバーの1人として大活躍。
このトリオは最高でした。

 

さてイケメンもコミカルも女役も悪役も何でもござれのちなつさんですが、大劇場でもちなつさんのかっこいいイケメン役と歌とダンスをたっぷり観たいですね。

男役の色気や魅力が完成されてきて今とても輝やいているちなつさんなので、今後も一層の活躍を期待しています。

 

実在のウィリーとガブリエル


実在した破天荒な夫婦、ガブリエル(美園さくら)とヴィラール(鳳月杏)について。
 
ガブリエル・コレットはフランス文学界で最も知られている女流作家です。
彼女が書いた数々の作品は演劇やミュージカルとなり、テレビで放映され映画化もされました。
2019年には映画「コレット」でヒロインのガブリエルをキーラ・ナイトレイが演じています。未見ですが大好きな女優さんなのでぜひ見たいと思っています。
 
その夫のヴィラール(ウィリー)。
ピガールの筋書きどおりガブリエルは彼のゴーストライターで彼女が執筆した「クロディーヌ」は当時一大ブームに。
才能豊かなガブリエルと遊び人で要領の良いウィリー。
それをきっかけに2人には亀裂が入るのですが…何ともエキセントリックな夫婦です。
 
詳しく知りたい方は
シドニー=ガブリエル・コレット - Wikipedia
 

 

ムーラン・ルージュ - 暁千星  他-

 

実在の人物と言えば、この2人も。
シャルル (月城かなと)
ロートレック (千海華蘭)
 
ムーラン・ルージュは1889年、ベル・エポックの幕開けと共にモンマルトル地区にオープンしたキャバレーです。
創設者2名のうちの1人が実業家のシャルル(月城)でした。
 
カンカンダンスを特徴とした贅沢なショーを取り入れて他の施設とは一線を画したものとなり大盛況に。
当時ムーランルージュのショーの多くのポスターを描いていたのが有名なフランス人芸術家トゥールーズ = ロートレック(千海)です。

 ロートレック画
ムーラン・ルージュの舞踏会』1890年   

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ロートレックもまた波乱万丈な人生を送った人物です。
からんさん(千海華蘭)はロートレックをかなり研究されていると思います。
外見だけでなく、酒好きなところの演技(歩き方、喋り方)、この時代の匂いを感じさせる人物として万全の役作りでした。

彼の生涯を描いた映画もあります。→「赤い風車」
彼について詳しく知りたい方↓
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック - Wikipedia

 

『ピガール狂想曲』ではムーラン・ルージュで働く人々もたくさん出てきます。

振付師に光月るう、衣装デザイナーに紫門ゆりや、掃除婦に夏月都
ベテランの方たちは個性豊かな面々をユニークに、また味わい深い演技で毎回楽しませていただきました。

 

そしてダンサーのレオ役のありちゃん(暁千星)
このミュージカルではキラキラの担当です。
お芝居にはがっつり絡まず、ショースターとして素晴らしいダンスを披露してくれます。

ムーラン・ルージュのセンターで華麗にダイナミックに何度クルクルと回り続けてもブレない強い体幹、素晴らしいです。

 同じくダンサーに海乃美月天紫珠李
ダンサーチームは華やかでかっこよくて目は惹きますがセリフが少ないのは残念でした。
その分いつもに増して皆さんのダンスにパワーやエネルギーを感じ、数十年前に行ったムーラン・ルージュのショーを思い出しました。

 

↓この写真はムーラン・ルージュへ行った時に写したものです。 

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宝塚のレビューに慣れている私にとってはなかなか刺激的なショーでした。
今思うと本当に特別な夜を過ごしていたんですね。素敵な思い出です。
 

シャルルが作ったムーラン・ルージュのその後ですが、

火災や2つの世界大戦を乗り越えて130年以上経った今も尚、パリを代表する人気スポットの一つとして赤い風車は回り続けています。

 

最後はそのシャルルを演じた月城かなとさんについて。
 

月城かなと 


れいこさんが演じるムーラン・ルージュの創始者のシャルルはこの物語の要になっています。
良いも悪いも1番人間らしい人。

ムーラン・ルージュの華やかで煌びやかな金色の世界も、時の流れと共に経営が傾いていくセピア色の世界もシャルルが描いてきたものです。

ご覧になった方、れいこさんのシャルルは完璧ではなかったですか。

 明瞭な台詞回しと間の取り方は支配人としての貫禄と落ち着きを。

イケオジ的ビジュアルの完成度の高さ。
そのままレットバトラーが出来そうな。

そしてコミカル風味が大変上手くなられた…。
↑これは感慨深いものがあります。

↓ここからは私の思い込みです。
月組異動後、順風満帆なれいこさんですが、
何故かれいこさんのキャラとは真逆のヘタレ、おっちょこちょい、ずっこけ役が多いな…と感じてました。

もちろん様々な役に挑戦できることは素晴らしいことです。
しかし…これじゃ本来の持ち味を見失ってしまうのでは⁉︎
とまで飛躍して・・。

勿論そんなことあろうはずもなく全ての役から学んだ経験をしっかり蓄積されて、より魅力的な演じ手となられたことに感動しました。

歌もしっかりと心に響いてきました。

また珠城ジャックへのお願いソングのロングトーンの長さは日々進化してピガール注目のハイライトにもなってました。

アドリブもですが自然な形でコミカルさが板についてきたれいこさん。
数々の役を全力で演じてきたことが実を結んだような気がしてとても嬉しかったです。

 

夢を描いてたシャルル、経営者としてのシャルル、愛する人を見つけたシャルル、
色んな感情を持つ人間味溢れるシャルルを魅力的に演じたれいこさんは素晴らしかった。

ベルエポックという華やかで古き良き時代のパリ月城かなとが恐ろしいほどマッチして、この賑やかで楽しい物語にほのかな哀愁という彩を添えてくれました。
 

最後に

 

幕が上がる前にアコーデオン(だと思う)で曲が流れてきます。
「ムーラン・ルージュの歌」という曲です。

途中紹介したロートレック(千海・役)を主役にした映画「赤い風車」のテーマ曲で宝塚でもたまに歌われていますね。いい曲。

この作品は12夜という枠組みを大きく飛び越えて舞台をベル・エポックのムーランルージュに移したことや、
その中に女流作家のガブリエルを登場させたことは大胆で面白い発想だと思いました。

そこへ充実している珠城さんの月組メンバーが見事にハマった感じです。

今回長くなってしまい最後のショーについて書けませんでしたがまた機会があれば。

宝塚ならではの華やかさに今の日常を忘れて楽しむことができました。

月組さんはこの後の公演が次々発表されてますね。
珠城さん、美園さんが充実した宝塚での日々を送られますように。

ありがとうございました!

 

月・うさぎ

 

『パッション・ダムール -愛の夢-』凪七瑠海 ロマンチック・ステージ 感想

 

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幕が開くと真っ赤な衣装のパッション・ダムールの歌手、凪七瑠海
ロマンチック・レビューの世界の中で華やかに歌い踊る。

18年の月日と共に完成された宝塚男役の美学が今咲き誇り、素晴らしいレビューが生まれました。

往年のファンだけではなく、宝塚を愛する全ての人が夢を見られるコンサート。
クラシカルでありながら、かちゃさんと雪組生16名が創る新しいロマンチックステージです。 

       ロマンチック・ステージ
『パッション・ダムール -愛の夢-』
       作・演出/岡田 敬二

15日はバウホールで、今日は配信にて観劇しました。
印象に残ったところを書きとめておきたいと思います。

 

第一幕

 

1章  プロローグ

『パッション・ダムール』タイトルどおり情熱的な愛を感じさせるプロローグ。
熱く 熱く 燃える ♪ スパニッシュな主題歌が素敵でしたね。
吉崎先生の曲は1度聞いたら忘れない。

恋の嵐をかちゃさんが歌とダンスで表現します。
どこまでも優雅でノーブルに。

しなやかな感性や表現力、プラス積み上げたキャリアで舞台の魅せ方を熟知されているように感じます。

 

この公演でかちゃさんと一緒に舞台に立つのは、雪組男役8名と娘役8名。
きっと皆んなこのレビューを愛してる!

男役
天月翼
   叶ゆうり  眞ノ宮るい  汐聖風美   縣千   一禾あお   壮海はるま   紀城ゆりや

娘役
千風カレン  沙羅アンナ  星南のぞみ   彩みちる   希良々うみ   有栖妃華   莉奈くるみ   愛陽みち

 

スパニッシュな赤の衣装も鮮やかに、4組のデュエットダンスが美しくて夢のよう。

華やかなプロローグに一気にロマンチックワールドへと引き込まれていきます。

 

ロマンチック・レビューとは

ところで「ロマンチック・レビュー」とは?

この答えは岡田先生のお言葉で。
是非読んでみてください。
分かりやすく語られています。

「ロマンチック・レビュー」の意味は「宝塚のオリジナル・レビュー」という意味。

宝塚ならではのテーマと言うのは時代が変わってもある。

舞台作りも、宝塚ならではの詩情とか香りとか品のよさがあるべきだと思うんです。
そういうものを醸し出すレビューを、僕は「ロマンチック・レビュー」と総称しているわけです。
ー中略ー
もちろん全てが甘くなっては困るわけで、色々あるのだけども、ロマンチック・レビューと言うからには、それなりの品位を守ってるつもりなんだけれどもね。

引用元:岡田敬二ロマチック・レビュー
阪急コミュニケーションズ p69

『パッション・ダムール』にはこの答えの全てが詰まっているように思います。

 

2章  アディオス・パンパーミオ


『ネオ・ダンディズム! ー男の美学』より

ガウチョ(カウボーイ)たちの恋のやり取り。

湖月わたるさんのサヨナラ公演、男っぽさ満載のレビューでした。
後にリメイクして安蘭けいさんで ⅡとⅢを。
真矢みきさん『ダンディズム! 』の続編になります。

 

過去に男っぽい男役が演じた役を中性的でスタイリッシュなかちゃさんが演じるとこのような世界になるのかと。

鞭使いの男役のダンスは掛け声も荒々しくて、かちゃさんと恋人(彩みちる)との妖艶かつ洗練されたダンスに目が離せません。

最後は「アディオス!」←いやん、かっこいい!
娘役を限りなく美しく見せる、かちゃさんの男の美学を熱く感じるシーンです。

 

3章  妖精の森

『アムール、それは…』より 

かちゃさん8変化といっても並の8変化ではありません。何しろクオリティが高い…。
予想以上の素晴らしさにプロローグから瞬きができず目が乾いてきたほど。←ホントの話

このシーン、まずはかちゃさんがゴージャスなゴールドの衣装で歌い、次はブルーの衣装でとびっきりの貴公子、プリンスで登場。
プリンセス(星南のぞみ)と並んぶとため息もの。

大和悠河さんと陽月華さんのサヨナラ公演の作品でした。再演は北翔海莉さん。
キラッキラオーラのタニさんでしたが、かちゃさんは透明感のあるクリスタルのような輝き。
美しい夢を見た・・という感覚。

 

雪組選抜メンバー

ここでこのレビューに出演している雪組生のメンバーについて。

2番手を担う縣千、驚くことに研6にしてビジュアルは既に出来上がりつつあります…
舞台に立つ喜びが溢れんばかりに伝わってきて、時折思いが爆発するところがたまりません。

この公演では主に得意分野のダンスで活躍しますがソロもあって良くなってきていますね、徐々にですが。

何度も言ってますが小さくまとまらずに成長してほしいです。
これほど舞台が好きな縣くんですから、必ずや「縣千の男役の美学」を追求していかれるはずです。

頑張ってください。期待してんで!(Sho-W! 関西弁の名残り)

 

歌を聴かせてくれたのは、千風カレン、天月翼、叶ゆうり、壮海はるま、 希良々うみ、汐聖風美、有栖妃華、一禾あおさんたち。 

有栖妃華、希良々うみさん、素晴らしい歌を聴かせてくれます。

個人的にカレンさん、翼くん、かのゆりの歌が好きなので今回とても嬉しいです。

莉奈くるみ、愛陽みちさん、今後が楽しみですね。

眞ノ宮るいくんのダンスはますます磨きかかってきましたね。
美しさに加えて男っぽくキレもあって縣くんとの情熱的なダンスは見せどころ。

沙羅アンナさんのしなやかなダンスは美しく、最下級生の紀城ゆりやくんもすっごく頑張ってました。

 

そしてこの公演のヒロイン彩みちるさん。星南のぞみさん。

みちるちゃんは可愛いお色気たっぷり、表情、動き、一つ一つが丁寧で繊細で、魅力的なダンスでドラマを魅せてくれます。かちゃさんと息もピッタリで素晴らしい活躍でした。

りさちゃんのこのようなお姫は様いつ以来?優雅なかちゃ王子様と絵になります。絵になれば飾っておきたいレベルの美です。ふと翔ちゃんとの並びも素敵だろうなぁと思いました。

チルチルとリサリサのダンスの表現力とビジュアルがこのレビューを思いっきりロマンチックなものにしています。

次へ進みます。

 

4章  愛の誘惑 / 5章  ALL BY MYSELF

『ル・ポァゾン 愛の媚薬』から「愛の媚薬」

禁断の木の実のリンゴを受け取った現代のアダムは、ジゴロになって愛の誘惑の中で歌い踊ります。 

あまりに有名なシーン。

リンゴを渡すのは縣千、受け取るのは凪七瑠海。

初演ではあがちの役を涼風真世さん、ジゴロは剣幸さん。
剣幸さん、こだま愛さんのサヨナラ公演でした。再演では柚希礼音さん、蘭寿とむさん。

 

縣くんがこの役を・・。

ロングヘアが話題になっていて、そこもまぁ萌えポイントには違いないですが、それよりもこの曲を歌うあがちの立ち姿になんとも言えずうるっとなりました。
何と言えば良いのでしょう、適切な言葉が見つかりませんが…大物の片鱗を見た…ような。

 

さぁ禁断の木の実を受け取ったジゴロ。

その後はかちゃさんがグイグイ持っていきます。
かちゃさんの醸し出す大人の色気にはさすがにまだまだ誰も太刀打ちできません。
ここでいい女を演じるのがみちるちゃん。

2人の大人の駆け引きのドラマが…素敵!
そしてこのシーンの 希良々うみちゃんの歌が最高にかっこいい!

この後叶ゆり王子さま独唱があり5章「ALL BY MYSELF」へと流れていきます。
かつては日向薫さんが『ナルシス・ノアール』で歌われた。

かちゃさんと男役4名の白燕尾が美しい。

極上の夢の余韻を残して1幕の幕がおります。

 

第2幕 

 

6章  ハードボイルド

『ダンディズム! 』から
ハードボイルドな2人の男がライトの中で妖しげにタンゴを踊る、縣千と眞ノ宮るい
壇上から歌うハードボイルドの歌手に凪七瑠海

ストライプのスーツにハットがダンディ。

これは岡田先生がエンターティナーとして高く評価していた真矢みきさんと純名里沙さんのお披露目公演の作品で、このシーンの歌手はみきさん、ダンサーは紫吹淳さんと匠ひびきさんでした。

みきさんとは真逆の色を放つかちゃさんのハードボイルドは新鮮でドキドキします。
始まりの2人のタンゴも迫力あって濃くってこのシーン大好きです。
忘れられないシーンがまた増えました。

 

7章  学生王子

『学生王子』はオペレッタとミュージカルの橋渡し的な作品。映画化もされてます。
身分違いの悲恋の物語、そう思って見るとちょっと切ない。

白い軍服をソフトに優雅にそれは素敵に着こなすかちゃさん。
シメさん風味を感じる優雅さ。
男役は士官、娘役は令嬢となり華やかな場面が広がります。

歌は「セレナーデ」
かちゃ王子はヒロイン星奈のぞみ、デュエットダンスが美しく。
これぞロマンチックレビュー。

 

この後の「夢・アモール」カレンさん、翼くんの素敵なデュエット。
→からの縣くんの白い衣装でののびやかなダンスと歌、堂々していて◎!

 

8章  愛の歌 / 9章  カーテンコール

かちゃさんが熱唱するのは『皇帝と魔女』(1962)の主題歌「愛の歌」
吉崎憲治先生の名曲をボレロに編曲されたものです。

美しいビジューをあしらった黒燕尾を着たクールビューティ凪七瑠海。
後ろには黒燕尾の男役、白と黒のドレスの娘役。

この歌とダンスは出演者の気迫、熱量が半端なく伝わってくる感動の場面です。
かちゃさんが振り返りひとりひとりを見つめます。

かちゃさん素晴らしい!!

皆んなの絆がこんなに素敵な愛の夢を生み出してくれました。

最後は「さよならGoodbye

海外公演で最後に歌われる吉崎&岡田のコンビによる楽曲ですが、シンプルにありがとうの気持ちが伝わってくるいい曲です。

最後の最後は『パッション・ダムール』の主題歌で舞台で見る夢は終わってしまいました。

 

 愛の夢 

まずはかちゃさんの「最初から最後までこれぞ宝塚というショーをやりたい」という夢が叶ったこと本当に良かったです。

カテコで思わずかちゃさんが千秋楽のことを初日…と言われましたが雪組メンバーは何ならお稽古からまた始まってもよいと…

なんて素敵な言葉、素敵な思いでしょう。

 

岡田先生がレビューで大切にしているのは清潔、上品、ロマンチック。
また色彩、音楽、陶酔へのこだわりもお持ちです。

パッション・ダムールの各シーンもかつて個性豊かで華やかなスターが歌い踊り夢を見せてくれました。

時が流れても私たちはまたとびきりロマンチックな夢を見ることができるのです。
宝塚ある限り。

懐かしい夢でもあり新しい夢、こうして宝塚は繋がれていくのですね。

ロマンチックレビューの中で見事に愛と夢の花を咲かせた凪七瑠海さん。
公演は終わりましたが"夢人"が歌うように作った夢は消えません。

それでも岡田先生、まだまだロマンチックな夢の続きを作ってください。

雪組の皆さんの熱演、素敵でした。

かちゃさんたくさんの愛の夢をありがとう。

感動をありがとうございました。

 

パッション・うさぎ

  

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 彩凪 翔 1Day Special LIVE『Sho-W!』愛してんで!

 彩凪 翔 1Day Special LIVE『Sho-W!』マチソワしました。 

翔ちゃん大好きです。

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ミュージカルナンバーありJazにJ-POPと翔ちゃんの魅力がたっぷり詰まったショータイム!
至福の時間とはこのことですね。

彩凪 翔 1Day Special LIVE『Sho-W!』
<構成・演出> 中村 一徳
<出演者>(雪組)彩凪 翔
綾 凰華、ゆめ 真音、琴羽 りり、音彩 唯

 

セットリスト

 

Take Five
It Don't Mean A Thing
愚か者のゲーム[ローマ休日]
Show Star Show ["D"ramatic S!]
花吹雪・恋吹雪
花火
BRIGHT
Billie Jean
(昼)ヴァンパイア・レクイエム 「薔薇の封印」
(夜)生きる道 「灼熱の彼方」
言いたくて、言えなくて 「長い春の果てに」
セ・ラ・ヴィ 「琥珀色の雨にぬれて」
Papillon 「RIO DE BRAVO!」
  〜Endless Dream 「BLUE MOON BLUE」
One Heart 「NEVER SAY GOODBYE」
君がそばにいる 「仮面の男」
忘れじの面影 「春雷」
思いもよらぬ君 「ファントム」
世界に求む 「王家に捧ぐ歌」
Seasons of Love
キセキ
明るい未来へ

  

マチソワ

 

さて、私も関西人の端くれです。
翔ちゃんのライブなんでここからは関西弁を交えながら感想書かしてもらいます。

京都弁やら大阪弁やら色々ちゃんぽんになってますけど、許してやったらどうやーの精神でお付き合いしていただきたいと思てます。

 

まずタイトルの『Sho-W!』
ショウと読みます。
色んな意味があって、翔にかけてレビューのショー、またWは二面性を表してるそうですわ。

翔ちゃんのあれやこれや観れるやなんて嬉し過ぎて、ずっと楽しみにしてました
セトリは配信後にパスワード入れたら出てきましたね。おおきにありがとうございます。

ここでは特に印象に残ったことだけ記録として残しておきたいと思てます。

 

最初の曲は1959年にリリースされたJaz「Take Five」
いきなりめっちゃかっこええんです、なんでも珍しい5/4拍子の曲らしいですね、知りませんでしたけど。(通常は知らんけど

パープルの衣装を着て、綾ーゆめー琴羽ー音彩が順々に登場、
最後に上半身に黒のスパンコールが散りばめられた白いスーツに黒いハット(全員)の翔ちゃんが登場するんですけど、ホンマに美しいです、輝いてます、ここで殆どの人は惚れてしまいますやろな・・。もちろん最初の2曲は英語です、素晴らしい❤︎

 

そして懐かしい『ローマの休日』アーヴィングの曲。
と言ってもWキャストで私が観た時はれいこアーヴィングやったんで、翔ちゃんの「愚か者のゲーム」を聞くの初めてですねん。
この曲大好きなんですよ、まさか聞けると思てなかったんでこんな幸せありません。

Show Star Show ["D"ramatic S!] は途中から4人で歌い踊るかっこいいシーンです。
この曲は翔ちゃんへのリスペクトの意味もあるようです。

 

赤い衣装に着替えて出てきた翔ちゃん、望海さんコンサートのパロディが生んだあの迷優名優アヤナギ先生もちょこっとやってくれます。

夜の部ではふーこさんへメッセージ
「昨日お誕生日おめでとう!愛してんで!!」

最高ですなー❤︎

 

J Soul Brothersの「BRIGHT」は宝塚ではこうなるんやと聞き入りました。
私りりちゃんと同じで翔ちゃんの歌声好きなんですわ。
以前は特別思わなかったですけどね。
いつぐらいかなぁ・・とよくよく考えたらワンスの時からかな。めっちゃ最近でした。

ダンスに目を奪われて気づくのは遅かったけど好きな気持ちは負けへんで!と。誰に・・?

 

セ・ラ・ヴィはまだつい最近のようでじーんとなります。
何度も円盤観てますけどね 、やはりだいきほの始まりなんで思い入れがあるんですね。

 

さてここで4人の出演者について。

あやなちゃん(綾凰華)は真彩サロンに続いてのライブ出演ですね。
どちらも中心になって大活躍、私にとって癒し系の王子さまです。

ゆめ真音くん。先日スカステで観た『壬生義士伝』新公の谷三十郎役、ユーモラスに演じてはりましたね。こちらも今日は素敵な王子さま、歌も素敵。

娘役は琴羽りりちゃん、音彩唯ちゃん、『炎のボレロ』で2人はヒロインの付き人でした。
翔ちゃんのお言葉を借りると、りりちゃんはええ女ですね、素敵さん。
そしてゆいちゃんは可愛くて今後楽しみやないですか❤︎

 

ライブの続き

 

Papillon 「RIO DE BRAVO!」
  〜Endless Dream 「BLUE MOON BLUE」

ここはミュージカル仕立て、ブラックな翔ちゃんが素敵過ぎて。

 One Heart 「NEVER SAY GOODBYE」は翔ちゃん初舞台公演の時の曲。
ちょっと前に和央ようかさんとトップさんがコラボされてましたね。
翔ちゃんお着替え後に4人で歌わはりました。

 

その後は真っ白な翔ちゃん登場、王子さまです。

白も黒も素晴らしい、素晴らしい。
大事なことは2度言わんとあきません。

そこから懐かしい曲を歌い継いでいく凪さまが神々しくて尊くて・・

何て素敵な人なんやろ…泣けてくる。

 

 

マチネ(13:45の部)

 

ヴァンパイア・レクイエム 「薔薇の封印」

宝塚受験の時に観ていた思い出の作品やそうです。
紫吹淳さんが歌った曲。
当時の美少女がこんなに素敵な男役になり今私たちを夢を見せてくれはります。

 

⭐︎翔ちゃんの素敵なところ(ニュアンス)

綾→広げた手をなかなか下ろさないところ
ゆめ→かっこいいのに面白いところ
(関西弁語録: ええねん、そやねん、許してやったらどうや〜、ええ女で前通って)
琴羽→声が好き。柔らかい歌声が好き。
音彩→優しく話しかけて教えてくださった。

4人それぞれにアクセサリーのプレゼントしてくれたそうです。

  

ソワレ(19:45の部)

 

生きる道 「灼熱の彼方」

翔ちゃんと咲ちゃんがバウホールW主演した時の歌です。
力強く熱唱、これも思い出の作品ですね。

 

⭐︎翔ちゃんちゃんの優しいところ(ニュアンス)

綾→組替えしてきてカチコチの時声をかけてくれた。
ゆめ→下級生の頃も髪型変えたら気づいて声かけてくれた。
琴羽→どんなに忙しい時も目を見て有難うと言ってくれる。
音彩→お稽古中うまくできない時もええやんええやんと優しく教えてくれた。

  4人は翔ちゃんからお守りもプレゼント。

 

素敵な人

 

最後の曲は翔ちゃんが作詞、手島恭子さん作曲

「明るい未来へ」

歌詞の中には懐かしい作品「春雷」も「灼熱の彼方」も入ってます。
翔ちゃんの素直な気持ちが込められていて胸に響く素敵な歌です。

 

翔ちゃんは真っ白な王子様系が好きやなと言う妹、色気ダダ漏れ系の憂いを浴びたブラック翔ちゃんを好む私。

どちらの期待にも応えてくれる翔ちゃん、ありがとう! 
衣装も全て素晴らしくて見事に似合ってました。

そして翔ちゃんのお人柄なのか5人のチームワークの雰囲気がとても暖かくて。

そんな感じでマチソワ観劇を終えてますます翔ちゃんが好きになりました。

素敵な時間を過ごすことができました。 

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雪・うさぎ

 

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『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』感想ー夢夢しいことこの上なし

 

月組公演、お芝居、ショーともに素晴らしくて楽しくて、初めて宝塚歌劇を観劇される方にもぜひお勧めしたい作品です。

まずショーの感想を少し書いてみます。

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タイトルの『WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-』以下略してWTTと記します。
監修/坂東 玉三郎  作・演出/植田 紳爾

10月1日(B)、9日(A) 観劇しました。

 

雪月花ーせつげつか

 

幕開き、銀橋にズラリと並ぶ月組生、待ちに待った舞台に感動します。
真ん中の珠城さんのお顔を見ると嬉しくて、たま様〜と心の中で叫びましたよ。

宝塚ならではの華やかな和物レビューは豪華絢爛、目もくらみそうな美しさです。

例えばチョンパから始まるプロローグ

チョンパとは、
拍子木(柝)の“チョン”という音と同時に、“パッ”と舞台上の照明が一斉に入ると、銀橋はじめ、本舞台、花道に豪華な衣装を纏った出演者たちが登場。そのさまは夢夢しいことこの上なし。これは、日本物レビューの幕開きで多く用いられる「チョンパ」という手法。宝塚公式ホームページより

 

ほんと夢夢しい。
WTTは洋楽に合わせて舞う和と洋のコラボ(これも宝塚の特徴)したレビューなので、世界観に入りやすいと思います。

news.yahoo.co.jp

 
すみれ色の着物を着た106期生、延期になりましたが華やかなレビューでのお披露目となりました。本当に良かったです。
光月るう組長の歌舞伎さながらのご挨拶が印象的。優しさに溢れた温かみのある声・・いいですね・・好きです♡

106期生、今日組配属が発表されました。大きく羽ばたいて欲しいですね。

 

さてタイトルの中の雪と月と花と

宝塚の和物レビューにもよく使われますが、組の名前にもなっていますね。

「雪月花」の語源は唐の詩人、白居易の詠んだ詩で、宝塚の組名もここから。
やはり雅です、タカラヅカ。
詳しくは→雪月花 - Wikipedia

 

日本では古くから花も雪も月も身近な自然の産物として、四季折々の自然と寄り添って生きてきました。

そこて観劇前に私も自分が感じる雪と月と花の美しさをイメージしてみました。 

予習、ってやつですか。


の始まりを告げる初雪は淡くて手のひらに消えていく儚さです。やがて降り積もり美しい雪景色となるのですが。
雪が降るとこの私には人生が悲しくも美しいものに憂愁に満ちたものに思える、と詩によんだのは中原中也でした。


月の光があまりに美しくてただ静かに眺めていたいと思うの夜。
昔の人も同じ月を見て何を思ったのだろうと感傷に浸ったりしますが、月を愛でるのは日本の文化ですね。私のアメリカの友人はアメリカでは月の鑑賞は重要ではないと不思議なようです。


花が咲き始めるは喜びの季節です。名もない花でさえ美しくて可愛くて芳しい香りに癒されます。
ちなみに万葉集で1番歌われている花はハギが142首、次がウメで119首と。サクラも愛されてますがこの時代のお花見は春のウメと秋のハギでした。

 

こうして書き出してみると、四季の移ろいを感じやすい日本ではどの時代でも雪月花の自然が身近で大切なものであることがわかります。

ではまず「雪」から。

 

雪の巻 / 松本悠里

 

この公演で卒業される専科の松本悠里さん。
曲はヴィヴァルディの「四季」より「冬」
この選曲は最高に良かったです。帰ってから何度も四季を聞きました。

mainichi.jp

雪の降る朱色の千本鳥居を背景に、真っ赤な着物に傘を持った松本さんが登場すると空気が一瞬にして変わります。
昔と変わらぬ日本人形のような愛らしさには驚くばかり。

幻でしか会えない男においおい泣いている姿が切なくて。
そんな女の情念を舞いで表現される松本悠里さんお見事です。

カゲソロの美しい歌声は白雪さち花さん。
歌詞に出てくる雪しまきとは激しく雪が降ること、吹雪のことですね。

 

1988年花組公演『宝塚をどり'88』で松本さんは「雪しまき」という題目で踊られています。
朱の鳥居、赤い着物、和傘は同じ、音楽や演出は少し違いますが。
この作品はニューヨーク公演『TAKARAZUKA』でも披露されました。

6000人ほど入る大きな会場で満員のお客さんのスタンディング・オベーションに映画の世界のヒロインになったようだったとご自身が語られています。

松本悠里さんにとって思い出の雪しまきを題材にした舞で有終の美を飾られるのですね。

64年に及ぶの宝塚人生、宝塚の宝です。
最後の日まで私たちを魅了し続けてくださることでしょう。

 

月の巻 / 珠城りょう


月の男・珠城りょう、月の女・美園さくらのトップコンビを中心とした郡舞です。

曲はベートーヴェン、ピアノソナタ「月光」をボレロをアレンジしたもの。

圧巻の華やかさ美しさは宝塚日本物レビューの醍醐味ですね。
新月から三日月、十三夜と満月まで月が満ちていき、月のパワーを感じさせる力強い舞に感動です。ここはやはり珠城さん素敵だな。

まだ研13の若い珠城さんを見ていると早すぎるトップ就任は勿体なかったなぁと思います。
たまさく月組は今まさに素晴らしい充実期を迎えていてとても安定感があります。

話がそれましたが、この場面は珠城-美園、鳳月-海乃、暁-天紫というコンビが中心となった荘厳な郡舞は見応え十分。

さくらちゃんは和物メイクが格段に良くなりとても綺麗で舞台映えします。
ちなつさんは品があって色気もあり申し分のない若衆、ありちゃんは爽やかで華やか。
海ちゃんの和洋問わずの安定感、珠李ちゃんの役付きの良さを感じました。

 

花の巻 / 月城かなと

 

鏡を見ながら一人の美しい男役が誕生していく様子が表現されています。

曲はチャイコフスキー「くるみ割り人形」より「花のワルツ」

美しい若衆、花の男に月城かなと
鏡の男に風間柚乃

れいこさんの着物の着こなしや所作を見ていると、やはり経験は大きな財産になるのだと確信します。
加えて堂々としていて舞台映えする美しさ。
おだちんもスッとした男前で2人の息も合っていました。

この公演ではれいこさんの歌が多くて歌唱力もグンとレベルアップしていて、ショー、お芝居ともに強く印象に残りました。

そんな頼もしいれいこさんと、この場面で最後に見事な男役となった花の男がリンクしまして…やっと月城かなとらしい役が巡ってきたと嬉し泣きしております。(個人的にれいこさんの和物とイケオジが好みなので)

ピガールの感想はまた別に書きたいと思います。

 

最後に一言

 

さて、フィナーレでもう一度松本悠里さんが登場されて踊られる場面、カゲデュエットのきよら羽龍さんと咲彩いちごさん、素晴らしい歌声です。

きよら羽龍さんは少し大人しめの印象を持ってましたがこの公演で華を感じました。
何より声が綺麗で大変歌うまなのでダル・レークのヒロイン候補になるのではと思いました。
新公が中止になったことは本当に残念なことです。

 

劇場で観るWTTが素晴らしいだけに、今のこの状況が残念でなりません。

宝塚では日本物のショーはそんなに頻繁にはありませんし、とりわけ今回は植田紳爾(作・演出)、坂東玉三郎(監修)、そこへ松本悠里(卒業公演)、106期生(お披露目公演)と大変貴重な舞台です。

何よりも中身が詰まった見応えのあるレビューでした。
とてもいい舞台を観せていただいたと感動しています。

 

月・うさぎ 

雪組『NOW ZOOM ME』BCパターン感想ー望海風斗コンサートー完全燃焼

 

『NOW ZOOM ME』の感想です。

Bパターンは大劇場観劇とLIVE配信
Cパターンはライビュ観劇をしました。

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BもCもそれぞれに望海さんの大切にしている思いや気持ちが溢れているように感じられ大変感動しました。

全体的には男役として歌い踊る望海さん、笑ったり照れたり涙する望海さん、色々なのぞ様を観ることで、
望海さんを応援してきた今までの時間を懐かしみ愛おしむ時間になりました。

齋藤先生の演出の特色がはっきり出ているので好みは分かれるでしょう。

バブル、派手派手衣装、映像、J-POP、パロディなどはインパクトも強くて話題性もあり目立ちますが、宝塚の歌も多くて、黒燕尾、ピアノ弾き語りなど本当に盛りだくさんのコンサートでした。

生演奏(NOZOMI ZOOM BAND) も嬉しかったですね。

 

  

攻めの1幕

 

望海さんが言われるように攻めて攻めて攻めまくるコンサート、1幕は特に攻めを感じました。

全体的に知ってる歌も多かったですが、望海さんが歌うとこうなるのかと新鮮でした。

1幕で特に気になった曲をあげいくと、まずNancy Mulligan エド・シーラン
ハットにスーツ凄くかっこよかったですね。
↓こちらに歌詞の日本語訳や歌について書かれていて、時代背景を知るとさらに面白いです。

celtnofue.com


「あゝ無情」 アンルイス
望海さんが女性目線の曲を歌われるのは珍しいですがとても自然でいいですね。できれば1曲全部聞いてみたい。

「SUPER HIRO」ルパン3世PARt2 (トミースナイダー)
これも最高、発音も完璧で聞き惚れました。

もうひとつ「NOZOMI」

まだ見ぬ 私のノゾミ 〜〜〜♪
この歌は何度もリピートしたくなりそう。

上手(かみて)と下手に光るノゾミという文字にさえ感動を覚えるオタクです…。

 

最初に生で観た時はとにかく驚きの連続でした。
宝塚の歌だけてはなくJ-POPも洋楽もあらゆるジャンルをこれほど歌いこなせるなんて! 
中毒性があると数名の方が言われてましたが分かります、とても分かります。

そして彩凪翔さん。

『She Bangs 』リッキー マーティンと言えば日本で大ヒットした「GOLDFINGER '99」を思い出します。

翔ちゃんもかっこよかったですね〜
こちらもダークなスーツにハットが素敵。007のスパイ役など似合いそう。

トークでは望海さんとの信頼関係も感じられ、望海さんをずっと支えてくれるかけがえのない人、まだまだ活躍してほしい。
「Sho-W ! 」の期待は膨らむばかりです。

 

あと、バブルのあゆみ姐さん(沙月愛奈)がハマり過ぎて当時のジュリアナ東京の女王様も驚くであろうかっこよさ。

ビーチタイムの派手な衣装が似合うのはカリさん(煌羽レオ)しかいないと思っていたら、白いスーツもビシッと着こなす、渋くて華やかで素敵。

ひまりちゃん(野々花ひまり)は今回ヒロインで大活躍。可愛さに加えて色っぽい表情がとっても魅力的。

 

 笑いと涙の2幕

 

 パロディについて

私は望海さんが初日のカテコで言われた、「人生がどうとか考えずに笑って欲しい」という言葉をそのまま受けとり楽しませてもらいました。


内容はともかく(笑)、悲劇の多かった望海さんや雪組の皆んながはっちゃける姿があっても良いではないかと。

ただもう少し短くても良かった気はします。これは特に2度目観劇時に感じました。

それでも途中、壬生義士伝やファントムのメロディが流れてきて望海さんが歌いだすと瞬時に込み上げてくるものがあって泣き笑い状態に。
翔ちゃんの土方歳三も嬉しかったですね。

 

Bパターン 諏訪さき 

「ひかりふる路」聖海由侑さんがソロで歌い始めて皆で合唱、途中から望海さんも一緒に。
懐かしい映像も流れます。

そのあと銀橋で望海さんと諏訪さきさんの2人のヌードルスが歌う「愛は枯れない」
良かった、ほんとに良かった。
しゅわっちはさすがしっかり歌えてました。
東宝新公演が流れたことは残念でしたが、今後の雪組にとってしゅわっちが大きな存在となることは変わりありません。期待も大きいと思います。

SVの夢の宙船の日記の場面は彩海せらさんカゲソロで望海さんのダンス。
望海さんと絡むことが多かったあみちゃんの成長も感じつつ、ここも心に刺さるシーンです。

 

Bパターンは望海さんが雪組を受け継いでいく組子たちにご自分が培ってきた男役の全てを伝えようとされているように思えました。感動しました。

 

Cパターン 真彩希帆

望海さんがダイヤモンドなら真彩ちゃんは太陽のように感じました。
太陽の光で雪に輝くダイヤモンドはそれまでとは別の輝きを魅せてくれます。
真彩希帆の登場は想像を超えて凄い威力を発揮していました。

 

まず 「You raise me up」で素晴らしい歌を披露し、そのあと「輝く未来」では曲の途中から望海さんが現れて2人のデュエット、真っ白な衣装のプリンスとプリンセスです。

真彩ちゃんが望海さんを王子様と言い、王子様とはあまり縁がなかったと、照れくさそうな望海さん。
王子様であってもなくても私たちはそんなのぞ様が大好きなんです。

続いてミーマイの「ランベス・ウォーク」にも聴き入りました。

さぁそして、

私が踊る時

望海さんが歌い始めると鳥肌がたちました。
さっきまでの甘い2人から一瞬でトートとシシィの世界観を作りあげるだいきほ。見事でした。私が求める完璧なトート、シシィの歌を聞きました。

多くの「死」を演じてきた望海さんが「死」そのものをどう表現されるのか、私は望海トートを心底見たかったです。
井上芳雄さんとの闇が広がる、そして私が踊るときを聞いてますます思いは募ります。

望みがあるとすれば、卒業後のガラコンサートでだいきほの『エリザベート 』フルバージョン(1人の人がその役を演じきる)。

基本的には宝塚時代の役を演じますが例外もありますし。
そんな未来への可能性を感じるほど魅了された1曲でした。

 

あまりゴールデンコンビという言葉を多用したくありませんが、だいきほはやはりゴールデンコンビだと思っています。

真彩ちゃんの隣でいっそう美しく輝くダイヤモンド望海さん。

そんな輝きを見ることができて本当に幸せです。ありがとう。

 

リクエスト曲

「ひとかけらの勇気」「かわらぬ思い」「愛の旅立ち」
どれも名曲で、多くのリクエストの上位というのもわかります。
望海さんの極上の歌声で聴けたことはほんとに嬉しいですから。

ちなみに私がリクエスト曲は選ばれませんでした。
リクエスト曲を出すとき妹に「うっ…それは…結構古いね…まぁ少数でもお仲間いるのでは」と言われましたが。
まだもう少し希望を待っていてもいいのでしょうか。


その妹1、マミさんのファン時代もありまして『BLUE ILLUSION』は大喜びでしたね。

 

音楽の力は凄いです。
メロディを聞くだけで楽しい思い出もほろ苦い思い出も当時の記憶が鮮明に蘇えってきます。

 

最後の曲はナオト・インティライミ氏作詞作曲「夢を集めて」

歌詞の中に
♪ガーベラの花言葉胸に抱いて

とありますが、ガーベラ(白)の花言葉は「希望」。
歌詞もメロディも未来へ向かう希望に満ちていていいですね。

真彩ちゃんはサロンでのオリジナル曲で冒険の旅に出ようと歌いましたが、2人が飛び立つ日が近づいているのだと思うとホロッとなります。

同時に2人の力強さと、積み上げできた年月がどれほど深いものであったかを痛感しました。


そんな感じで『NOW ZOOM ME』は齋藤先生の愛も随所に感じられ私にとっては素晴らしいコンサートになりました。

まだ未観劇Aパターンのライブでの観劇が待っています。

待ちわびる気持ちと終わってしまう寂しさをどちらも同じくらい感じています。

雪・うさぎ

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星組『Ray -星の光線-』感想〜 礼真琴 & 舞空瞳の輝き

遅ればせながら『Ray -星の光線-』の感想です。 

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演出は中村一徳先生。

大劇場で観劇したのが2月18日、
新生星組トップコンビのダンス力の高さ、スピーディーで躍動感あふれるショーに魅せられて、その後ライブ配信でも観劇しました。

礼真琴と舞空瞳のトップコンビ
礼真琴と2番手愛月ひかるの新コンビ
礼真琴と瀬央ゆりあの同期生コンビ

トップを中心に全ての歯車が順調に噛み合い回り出し、新生星組が華やかにスタート!

愛月ひかる、綺城ひか理、2人が加わったことで多様な視点から楽しめたことも大きなポイントです。

そしてこの公演は世界の彼氏、華形ひかるさんの宝塚最後の舞台になりました。

『眩耀の谷』の感想はこちらです↓ 

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礼真琴 / 舞空瞳

プロローグで琴ちゃんのシルエットを見て胸が高鳴りました。
Rayの文字はもちろん礼真琴、その瞳が見つめるのは舞空瞳。

お披露目公演はいつだってドキドキしますね。

アルジェの男にモーツァルト、つい数時間前には眩耀の谷も観て礼真琴の実力は十分わかっています、それでもショーはちょっと特別です。

Music Revolution! を感じさせるオープニング。

琴ちゃんはダンスも歌も上手くて引き込まれてしまう。
中村B先生の演出のいつものように皆んなが銀橋に順番に出てくる中詰が楽しくて。
娘役さんのショートヘアーもそれぞれ工夫があって素敵でした。

甘いマスクの琴ちゃんは見た目はフェアリータイプだけど声や表情や所作は男っぽくて、キラキラのハードな衣装でロックを歌うのもかっこよく決まります。

白いターバンでのしなやかな踊りも素敵で本当に宝塚屈指のダンサーです。

ひっとんのダンスも別格ですね。
礼真琴の相手役は舞空瞳しかいないと感じた公演Ray、可愛いくてスタイルよくてキラキラ輝くショースター。

デュエットダンスは星のセレナーデ。

衣装はパステルカラーではなく琴ちゃんの好きな赤と黒。
"礼真琴の心意気"を感じたような、そんな赤でした。

 

愛月ひかる / 有沙瞳

霊歌(スピチュアル)の場面は黒のスーツにハットの愛ちゃんが最高にかっこいい場面です。
くらっちは赤いミニスカートが素敵で愛ちゃんとの大人のコンビはため息もの。

愛ちゃんの星組異動は大成功だと思います。

お芝居に続いてショーでも礼真琴、愛月ひかる、瀬央ゆりあと、それぞれの持ち味の違いがとてもいい関係を生み出して、
琴ちゃんとせおっちの間に愛ちゃんが入ることでいい感じに締まります。

くらっちは可愛くも色っぽくもなれる人。
雪組時代の映像を観ていると歌唱力も演技力も着実にアップしていて成長の跡が見えるのは素晴らしい。
声が綺麗なので歌も耳に心地良く響きます。

今までどおり新生星組でも大活躍してほしいですね。

 

瀬央ゆりあ / 華形ひかる

せおっちが中心となる場面、金星の輝き、キリッとした舞台映えする男前、
歌もダンスもかっこよくて最近のせおっちは自信に溢れているように見えます。

このシーンにせおっちファンの息子がどれほど喜んだか。
お芝居でもショーでも存在感がありグイグイと勢いがありました。

次回作シラノ、ロミジュリではどうなるのか、引き続き大注目です。


さて、霊鳥では銀橋にひとり赤いチャイナのみつるさん。
美しくて力強いシーンです。

かっこよくて泣ける。
はるこさん(音波みのり)とのシーンも素敵過ぎて泣ける。
宝塚の舞台でもうみつるさんが観られないことに泣けます。
みつるさんの数々のお芝居も大好きでした。
これからの人生も輝きに満ちていますように祈ります。

 

その他の皆さん

 ・美稀千種さんのソロ歌唱が渋くて素敵でした。
・みっきぃ(天寿光希)が白いターバンではるこさん(音波みのり)と一緒に出てくるシーン、美しくて落ち着きがあって2人の並びにうっとり。
・ほのかちゃん(小桜ほのか)の歌はやはり特別だと感じたオリンピアのロケット歌手。
・フェナーレのぴーすけ(天華えま)からのしんくん(極美慎)への歌い継ぎ良かった。
・あかちゃん(綺城ひか理)はお芝居に続いて星組への馴染み方が素晴らしい。
・天飛華音くんの活躍ぶり、気になる人!
・最後に万里柚美さん、星組生としての最後の舞台もやはり美しく存在感のある方でした。
専科でのご活躍を楽しみにしています。
 

星組への期待

星組は新たな黄金期を築いていくような予感がします。

安定感あるトップ、大人で頼れる2番手、成長著しい中堅スター、キラキラの若手、実力ある娘役と、バラエティ豊かで楽しみです。

一人ひとりが星の光線にキラキラ輝いていてまさに星のRay軍団⭐︎
素敵なレビューをありがとうございました⭐︎


星・うさぎ

 

真彩希帆 MS『La Voile』優しい風に包まれて

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真彩希帆さんのミュージック・サロン『La Voile』(夜の部) について少し感想を書いてみます。

 

最初に1番感動したことを。
真彩ちゃんが作詞したオリジナル曲「My ever lasting dream-私の永遠に続く夢」
歌詞に込められたメッセージが素敵でした。(作曲:青木朝子)

♪優しい風に包まれていると

 望海さんのことですよね?

♪出会えた奇跡にありがとう

 想像の域は出ませんが、ここも望海さんへのメッセージなのかなと。

この歌には生まれてきた意味、歌が好きなこと、夢を持つこと、出会えた人への感謝の気持ち、これから始まる冒険など真彩ちゃんが伝えたいことが詰まっています。

今まで歩んできた歴史や未来への出帆を感じるとても力強い歌なのです。

いきなりアンコール曲から始めましたが、昨夜の『La Voile』はそんな真彩ちゃんの数々の歌に五感を刺激されて大変感動しました。

生演奏に素敵なドレス、今現在できうる限りの最高のセッティングで行われたように思います。

また、雪組出演者(綾 凰華、眞ノ宮 るい、一禾 あお、壮海 はるま)のチームワークもよく、歌姫とのデュエットはそれぞれに素敵でした。
今後大きな糧となりそうですね。

トークの内容も微笑ましく真彩ちゃんの温かい人柄を知ることになり、改めて雪組のトップで良かった、望海さんの相手役で良かったと思っています。

 

歌の上手さは折り紙付きですが、宝塚歌劇の名曲をはじめ、日本物、ジャズ、オペレッタ、挙げ句は日本民謡まで(笑) 披露されたのには驚きでした。素晴らしい!

音楽に天賦の才能があってもこれほど幅広いジャンルの歌を自在に歌いこなすにはかなりの努力も重ねてこられたのではと。

 

「シャロンのテーマ」(琥珀色の雨にぬれて)シャロンは天使ではないけれど歌声は天使です。
軽やかで伸びやかで何度聞いてもときめきます。

「ダンスはやめられない」(モーツァルト!) 数年前に井上芳雄さん主演のミュージカルを観劇した時に平野綾さんが歌ってた曲。
モーツァルトの妻コンスタンツェの内面の危うさを表現した激しめの曲。
シャロンと全く違う歌声に聴き入りました。
天使もどちらも魅力的で、まるで歌の魔術師のよう。

 

1曲1曲昨夜の夢を思い出しているのですが、お披露目公演のSVで希望という名の大きな海原へ出航したのがついこの間のことのように思えます。
そしてMSのタイトルも『La Voile(ラ ヴォアル)』出帆
真彩ちゃんにとって未来の全てが冒険の旅なのかもしれませんね。

生まれた時から歌うことが好き、音楽が大好きという真彩ちゃんの溢れる思いがたくさん詰まった素敵なMSに、笑いあり涙ありの至福の時間を過ごしました。
これからの真彩ちゃんの夢も叶うことを祈ります。

このミュージック・サロン、もしかして誰もいない客席に真彩ちゃんは薔薇の花束を抱えた望海さんを感じていたかもしれません。
そんな妄想も楽しいものです。

 雪・うさぎ

 

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雪組『炎のボレロ』観劇感想ー彩風咲奈〜復讐と恋の物語を熱演

 

雪組公演『炎のボレロ / Music Revolution! -New Spirit-』
8/30 梅田芸術劇場で、今日はライブ配信で観劇しました。

『炎のボレロ』の観劇感想です。

 

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彩風咲奈

 

炎のような男アルベルト

プロローグでアルベルト役の咲ちゃんが歌い始めた瞬間、込み上げてくるものがありました。

初演の懐かしさもありますが、何より雪組公演の幕が上がったという喜びと感動で胸が熱くなったのです。

白い衣装のアルベルトに目がくぎづけ。
素敵だ、咲ちゃん ‼︎ 
歌もとてもいい ‼︎

公演が復活して本当に良かったですね。


ストーリーは青年貴族アルベルト・カザルスの復讐と恋の物語。
宝塚の王道的な作品です。

舞台は19世紀メキシコ。
ラテンのリズム、情熱のボレロ、
エネルギッシュな音楽とダンス
復讐劇でも作風は明るくて、ハッピーエンド。

どの衣装も颯爽と着こなすヒーロー彩風咲奈、久しぶりの宝塚正統派2枚目役です。

そして花が咲いたような笑顔の可愛いヒロイン潤花

咲花ダンスデュエットはダイナミックでありながらもどこまでも美しくて、やはり2人は宝塚屈指のダンサーだと。

センターの咲ちゃんが眩しくて雪ファンとして誇らしい気持ちになりました。

 

太陽の祭り

南米三代祭りのひとつ、ペルーの太陽の祭り「インティ・ライミ」

ここからなのか物語の中に太陽の祭りのシーンがあり、太陽と月のコンテストが行われます。

月の女神に選ばれるカテリーナ(潤花)
太陽の若者に選ばれるアルベルト(彩風咲奈)

この流れ分かっていてもドキドキしますね。
2人のストレートな愛情表現は素敵です。


ここで少し心が揺らぎました。
咲花コンビがハリウッドゴシップの時より更に息が合っていることに。
見納めと思うと少し寂しい思いです。

良かったのは、2人の最後の物語がハッピーエンドなこと。
この幸せな結末を心に刻んで2人のこれからの活躍に大きな期待を寄せます。

 

潤花 カテリーナ

潤花ちゃんが演じるカテリーナは明るく活発で自分の意志を持っている女性です。

意に沿わない結婚を良しとせず婚約者一家に仮病を使う大胆さ。
自分が愛した人を真っ直ぐ見つめる強さ。

天真爛漫な愛の人を演じる潤花ちゃん、こんなにも伝統的な宝塚作品のヒロインが合うなんて。

雪組最後の作品がこれで良かった。
宙組での活躍が楽しみにしています。

 

朝美絢 ジェラール

ジェラール・クレマン(朝美絢)はアルベルト(彩風)を追うフランス軍情報部大尉。
別の角度から彼を紹介すると、ツンデレ系イケメン大尉。

彼にはモニカ(彩みちる)という恋人がいます。

彼も愛に溢れた人なのでしょう、
クールなのにハートが熱い男をカッコよく演じるのが朝美絢。
そりゃツンツンされてもあの目力に惚れますわ。

しかしジェラールにはあまり時間がありません。
残された時間を一緒に生きるモニカにジェラールが見せる去り際の切ない笑顔。

泣けましたーーT^T  (あーさ万歳‼︎)

キャロルもですが、私はあーさの魂のこもったお芝居によく涙します。

 

興奮はまだまだ続きます。

 

縣千 フラミンゴ

縣千くん。まだ可愛さも感じられた壬生義士伝。
あれから1年、どのように熟成させればこのような男っぷりに仕上がるのか。

共和派のリーダー役ですが、堂々としていてかっこいい。Saludサルー!

もちろん若いのでまだ荒削りなところも感じられます。
課題は課題として、あがちんの場合あまり小さくまとまらずダイナミックなスターに育ってほしいという希望があります。

叶うなら来年の新公で望海さんからタクトを受け取ってほしい。

1度目は轟悠さんから、2度目は望海さんから、その後は次期トップさんから。
というのが私のあがちんの理想の新公プログラムなのですが…
何とかならないものかと思います。


新公は大きな学びのチャンスなので、全ての新人公演が復活(または何か別の方法)する日を願うばかりです。

 

柴田先生の理想

 

炎のボレロは令和元年7月に逝去された柴田侑宏先生の作品です。

数々の名作を生み出された先生が「宝塚作品」についてこのように語られています。

生徒たちが観客に愛され見つめられ公演を続けていくためには、魅力的な役々・魅力的な作品を作らねばならない。

(中略)

歴史から人生から愛を見つめていくのが宝塚の立場だと。
これがやはり出発点だろう。
この命題をどのような形で見せていくかーそれぞれの作者の色合いに映し出されて、バラエティに富んだ作品が大劇場の一年十公演(当時)にずらりと並び、これがトータルな宝塚のイメージや魅力となって世の中に訴えていくことが理想であろう。

「歌劇」平成22年9月号より

 

「19世紀メキシコ」「炎のような男アルベルト」「復讐と恋の物語」「彩風咲奈」

柴田先生の掲げる理想にこれら全てのピースがピタリとはまり新たな作品『炎のボレロ』が完成したように思います。

 

 

雪組

 

脈々と続く雪組の歴史で1人のトップの時代が一区切りとするならば、
望海さんと真彩ちゃんが次の時代に託す雪組の未来もまた明るく輝くものであってほしい。


この公演は咲ちゃんを中心とした炎ボレチームにそんな希望の光を見たようで嬉しかったのです。(感想は主要メンバーのみになりましたが、炎ボレ出演者全員)

そして雪組には『NOW! ZOOM ME!!』の強力なメンバーもいます。

今日は触れませんでしたが『Music Revolution! -New Spirit-』
新しいバージョンはショースター彩風咲奈の魅力が詰まった素敵なショーに仕上がっていました。


『炎のボレロ / Music Revolution! -New Spirit-』千秋楽まで無事完走できますように祈っています。

また現在公演中の舞台、これから予定されている公演、コンサート、DS全て予定どおりに開催されますように。

そしていつか咲ちゃんが全国ツアーで愛媛へ行けますように。


最後にもう一度だけ言わせてください。
咲ちゃん最高ーー٩(ˊᗜˋ*)و ホノボレ‼︎


雪・うさぎ

宙組『壮麗帝』ライブ配信感想ー桜木みなと、オスマン帝国の皇帝に!

宙組公演『壮麗帝』LIVE配信での観劇感想です。

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8月は近未来のポルンカ(水星)と16世紀初頭のオスマン帝国と2つの宙を旅し、色々な意味で宙組の強さを感じました。

強さといえば95期生について感想の前に少しだけ書かせてください。

 

95期生の活躍

 

『壮麗帝』主演、桜木みなと

同期の礼真琴柚香光も公演中止を余儀なくされながら組を率いて限られた舞台に立たれてますが、ずんちゃんも堂々たる主演でした。

『ダル・レークの恋』が控えている(と思われる)月城かなと、『龍の宮物語』で一躍時の人となった瀬央ゆりあ
朝美絢の目覚ましい成長と快進撃、水美舞斗の揺るぎない存在感とスターオーラ。
皆さんの努力、頑張りが次々と花を咲かせています。

もちろん7名だけではなく卒業組も含めて人材豊富な95期生の勢い、強さを感じます。 

男役に関しては10年を通過した今、自分の理想の男役像に近づきつつある時期で同期の活躍は何より刺激になると思います。

壮麗帝のずんちゃんも皆の刺激となったでしょう。

 

桜木みなと / スレイマン(壮麗帝)

 

そんな華やかな95期生の中で着実に前進しているずんちゃんでも、同期の皆んなに置いていかれているようで焦りを感じていた時期があったそう。

詳しくはこの記事に書かれています。

metropolitana.tokyo

 

スレイマンはヨーロッパでは壮麗帝と呼ばれ、後にオスマン帝国が衰退した時 「スレイマンの時代に戻れ」 と言われるほど皆の手本となった皇帝です。

そんなスケールの大きな皇帝ですが、ずんちゃんが気負わず演じることで不自然さが全く感じられずお芝居に集中できました。
大宰相イブラヒムとの関係、寵姫アレクサンドラとへの愛も表現力が的確で最後まで引き込まれました。


ところでずんちゃんは作品によって色んな人を思い出させてくれます。
例えば真飛聖さんの端正な甘いマスクだったり(妹がよく言う)、杜けあきさんの憂いある表情だったり(特にルドルフの時)

この公演ではフィナーレの場面で大空祐飛さんを感じずにはいられませんでした。
思わず妹にLINEしました。
ゆ、ゆうひさんや〜
(いつかヨン・ホゲを)

歌って良し、ダンスも色気たっぷりでずんちゃんの役の振り幅の広さに感動しました。

 

さて、オスマン帝国といえば気になるハレムの存在。
日本では1人の男性に対して複数の女性が取り巻くような状況をハーレムと言いますね。
舞台にも出てきたハレム、実際にはどんなところでしょう。

 

ハレム


スレイマンの住むトプカプ宮殿にはハレムなる宮廷の女性だけの住処がありました。
女たちの戦いの場でもあったでしょう。
日本で言うところの大奥ですね、
文化も違うので仕組みは違うようですが。

 

オスマン帝国のハレムには皇帝1家の女性と子供たちもいます。
権力の頂点に立つのは皇帝の母后です。

権力争いが激しくなる状況で、自身が生んだ息子が皇帝に即位するとハレムの女主人として高い尊敬を払われるようになります。

けれど後継者となりうる男子を産んでも皇帝とは法的な婚姻を結ぶことはできず、奴隷身分のままというのがきまりです。

なので奴隷出身のアレクサンドラ(遥羽 らら)が正式な妻にまで取り立てられたのは稀有なことなんです。

スレイマンの寵愛ぶりが分かると思います。

母后になるとハレムを取り仕切り、政治にも発言できかなりの権力を持つことになります。

給与は上の階級ほど高く、ハレムの女性たちはかなりの給料を貰っていたようです。

またハレムには様々な職務があったようです。
洗濯係、財務係、毒味係、配膳係など。
ハレム内で母后、女官長など地位を持つ女性は社会貢献も要求されました。


栄光と挫折が渦巻くハレム、当時1000人ほどいたライバルの中で選ばれたアレクサンドラはどんな女性だったのか気になります。

  

アレクサンドラ(ヒュッレム)


史実によるとアレクサンドラは豊かな知性を持ち内政や外交問題について助言もしていたそうです。

また機知に富んだ会話で周りのものを惹きつける魅力があり、皇帝からヒュッレム(幸福な、陽気な人)と名付けられました。

これら↑ は私たちも劇中で目にしたアレクンドラの姿です。
純粋で真っ直ぐで快活な女性。


さらに彼女には野心家の一面もあり、色んな陰謀や企てに加担していた可能性もあると言われています。

敗者は容赦なく排除される時代を生き抜く為、彼女も自分や息子たちの身を守る必要があったでしょう。


もしも『壮麗帝』がスレイマンとイブラヒム(和希そら)よりも、アレクサンドラとの関係を濃密にした物語にするなら、後半は彼女の野心メラメラの部分を出さないと盛り上がりに欠けそうです。

やはりこの作品は、スレイマンとイブラヒムとの関係を主軸にしたずんららそらの3役のバランスがベストだと思いました。

 

遥羽らら /アレクサンドラ(ヒュッレム)


そんな魅惑のヒロインアレクサンドラを演じた遥羽ららさん。
この作品で描かれるヒュッレムにぴったり。

癒し系の笑顔にキラキラ輝く真っ直ぐな瞳、
ポジティブで快活な性格はハレムの厳しい決まり事にも屈しません。

北風と太陽のおひさまのようにぽかぽか周りを暖めていく。
気がつけば彼女の周りは笑いがたくさん、戦うことなく勝利を手にしてるみたいな。

ららちゃんのアレクサンドラが放つ華やかな魅力は、さすがのスレイマンも虜になるだろうと思える説得力がありました。
また後半は母親としての強さも感じられ全体的に安定感のあるお芝居でした。

スレイマニエ・モスク


スレイマンがアレクサンドラにいつか一緒に眠ろうと言ったモスク(イスラム教の礼拝堂)。

オスマン帝国黄金期の象徴であるモスクが旧都イスタンブールにあります。
立派ですねー

スレイマンによって、トルコ史上最高の建築家ミマール・スィナンが設計して7年の歳月をかけて完成しました。

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       スレイマニエモスク - Wikimedia

 

約束どおり、この中にスレイマンとアレクサンドラは眠っています。
建物はその後火災や戦争の被害を受けて修復されていて、現在世界文化遺産になってます。

いかにスレイマンが栄華を極めていたかわかると思います。

 

和希そら / イブラヒム


そのスレイマンの右腕となり奴隷から大宰相にまで登り詰めたのがイブラヒムです。
彼もまた運命に翻弄された男といえるでしょう。

ぶっきらぼうな奴隷時代、栄華を掴んでからの孤独感、ハティージェとの束の間の幸福感、皇帝とのすれ違い、落胆、絶望、
全ての感情が和希イブラヒムの全身から伝わってきました。

そらくんは最近顔がとみに引き締まってきてますます男前に。お髭も似合ってました。
歌やダンスは大きな魅力なので今後さらに活躍の場が広がるでしょう。

宙組公演デビューの同期生、紫藤りゅうくんはSAPA組、
2人とも素晴らしい活躍でした。
こちらも互いに良い刺激となりそうですね。

 

その他のキャスト

 

天彩峰里 / ハティージュ

可愛いけどフワフワしたお姫様ではなく活発で意思の強いお姫様を好演。
大人になるにつれて包み込むような大きさを感じさせる役づくりがとても上手いです。
旅立つ前のそらくんのデュエットは最高に素敵でした。


鷹翔千空 / アフメト 

今回感心したのはギラギラの野心家を見事に演じたこってぃ。
SAPAでは夢白あやさんの舞台度胸の強さに驚きましたがこちらも凄かった。
ソロも堂々としていて惹きつけられました。
素晴らしい。

 

悠真倫 / マトラークチュ

彼も実在の人物。ボスニア生まれの天才はオスマン帝国でその才能を発揮します。
舞台では宮廷史家として年代記を書き、また絵師としても活躍しています。

物語の語り部も担う重要な役どころで、悠真さんの穏やかで明瞭な声は心地よく耳に入りました。

 

最後に

 

私がこの時代のオスマン帝国についての歴史に疎かったこともあり、ハレムやモスクについてなど調べつつ進めてきました。
スレイマンや一族の豪華絢爛な衣装なども興味深いものでした。

もう一つ「トルコ行進曲」について書きたかったですが、長くなるのでここには記しません。
ご興味のある方はこちらをご覧くださいね。
http://akira-naito.com/essays/ongen2.pdf

 

宙組の2公演が8月大阪で幕を開け中断することなく千秋楽を迎えたのは素晴らしいことでした。
来月『FLYING SAPA 』の日生劇場の幕が無事上がりますように!
また『壮麗帝』もいつか東上される日が来ることを祈っています。

 

宙・うさぎ

 

www.wind-waltz912.com 

宙組『FLYING SAPA ーフライング サパー』感想

 

上田久美子先生の期待された通り波紋と喧騒を呼んでおります『FLYING SAPA』


作品については色々な見方があり考え方があり、先生は賑やかに意見が飛び交うそのような状況を期待されていたのではないかと感じます。

8月5日観劇の感想をやっと書くことができました。

皆さんスラスラと感想を書いておられて、羨ましいなぁと、
ひとり地球に取り残された気分でした。

この状況で宙組の皆さんが千秋楽まで無事上演できたことは本当に良かったですね。


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以下、内容に触れています。

 

記憶

 

記憶というのは楽しい記憶より嫌な記憶、辛い記憶の方が定着しやすいらしいです。
同じ失敗をしないようにしようとする危機管理能力からだそうですが、何とも厄介な仕組みに感じる時もあります。

そういや私も思い当たることあります ^^;
忘れたいことほどいつまでも覚えていたりします。

 

ー3人の記憶
いきなり激しいところからになりますが、

ブコビッチ(総統01)の地球での記憶は確かに凄惨極まりないものでした。
彼は決して悪人というわけではないと思います。
しかしポルンカ(水星)は、誰かの犠牲と彼の怒りや憎悪を基に作り上げたユートピアに思えるのです。


記憶を消された1人の女ーミレナ
彼女もまた戦争での犠牲者のひとり。

彼女が自分の身体を粗末に扱う(男たちと関係を持つ)ことから想像はつきました。

幼いミレナが兵士に襲われたことを示唆する場面、
必要性の是非はともかく、心が辛くなるシーンでした。
宝塚の舞台だからということもあるでしょう。

 

消されていた過去の悲劇を知り混乱するオバクにブコビッチは問います。
「人間が憎しみと全ての記憶を抱えたまま共存出来るのか?」

 

余談になりますが、戦争と記憶という言葉が出てきたので少し書かせてください。

戦後75年を迎えた日本、戦争体験者の高齢化が進んでます。
先日新聞で零戦に搭乗されたMさんの手記が掲載されていました。

「上空で米軍と交戦中弾薬が切れるも追撃を逃れ助かった。
仲間の死を前にしてまだ生きているという罪悪感は拭えない」と。

終戦後は教師になられ結婚されて平穏な日々を過ごされているようですが、90歳を過ぎるまで記憶を封印し口に出せなかっったそうです。

「心の整理にはそれだけの年月が必要だった、それが戦争だ」と言われています。

Mさんの中で封印されていた過去の辛い記憶が、75年という長い年月をかけて少しず整理されていったのかもしれません。
戦争を知らない私ですが、この地球で生きること、人間として生きるということはそういうことなんだとSAPAの世界を思い出しながら考えました。

 

キャストについて


真風涼帆

オバク役は真風さんの魅力全開、作品の持つスタイリッシュで不思議な空間に佇む姿は絵になります。
日常の気怠さとリーダーシップを取るカリスマ性、どちらも惹きつけられました。
ゆりかさんファンの親友、鼻血出してた可能性あり、連絡してみます。

 
星風まどか
可愛いらしいイメージですがスタイリッシュな衣装も似合いますね。
歌がないのは残念でした。
難しいミレナ役をクールに淡々と演じ、研ぎ澄まされた演技力に感動しました。


芹香斗亜
ノアは精神科医だけあって人物を冷静に観察して理解しているように思います。
包容力のあるキキちゃんの受け身の演技は秀逸でした。
ノアの笑顔には癒されました、きっと凄い名医なのでしょう。


夢白あや
観客を惹きつける力が大きいと思いました。
クラシカルな雰囲気も持ちながら、イエレナのようなかっこいい大人の女性もよく似合う。
舞台度胸もありそうで期待値は高いです。


寿つかさ
ドラマティックなストーリーでありながらドライな雰囲気のお芝居の中で、しがない公務員のおじさんタルコフは大きな働きをしています。
無口なヒーローをサポートする人間味のある男を味のある演技で好演されてます。


同期生コンビ 汝鳥伶 / 京三紗
お2人とも57期生。
(演出家の謝珠栄先生、花組の元(w)トップ娘役だった北原千琴さんも同期生。妹はまどかちゃんを見ていると北原さんを思い出すそうです。)


汝鳥さんはポルンカを統制する総統01、京さんはSAPA違法ホテルの女主人キュリー夫人として、2人の存在感には圧倒されました。
まだまだ活躍していただきたいお2人です。

 

 ノアの方舟について


ノアはキキちゃん演じる精神科医の名前ですが、多くの方が旧約聖書の創世記の中のノアの方舟をイメージされてます。
私もそこからではないかと思っています。

簡単に説明すると、
神は地上での人々の堕落があまりに酷いので大洪水によって人間を絶やそうとした。
信心深いノアに方舟を作るよう命じ、そこにはノアの家族と選ばれた生き物だけが入ることができて生き残ることができた。
 
サパでは荒廃した地球から科学者など選ばれた人が難民船で水星ポルンカへ向かいます。
憶測に過ぎませんがSAPAでのノアの働きを考えると、何らかの繋がりを感じます。

旧約聖書の原語はヘブライ語ですが、ヘブライ語でノアは休息や癒しという意味を持ちます。

 

ウエクミワールド


2年前に京都大学未来フォーラムで上田久美子氏が公開講座を開かれました。
残念ながら出席できませんでしたが、お友達のSさんから貴重なレジュメをいただきました。

その中で物語の役割について、三つをあげられています。
・共感の拡張
・痛みの肯定
・悪の可視化

全てお伝えできないのは残念ですが、少し抜粋いたします。

・ピュアワールドで人は「共感」を好むが、その「共感」は往々にして自分に似た人を見つけること、自分と同じ価値観で行動する人だけを愛することだ。


・描かれた「痛み」に触れ、知っておくことで、それが現実の自分にふりかかった時にも、あくまで一つの経験だと客観視することができるようになる。


・ピュアになりすぎて内なる悪の存在を自分にも相手にも許さないと、必要以上に傷付きやすくなったりする。

「パンとサーカスの危ない時代に」より

 ウエクミワールド感じませんか?
 

 最後に

 

SAPAは絶賛の声が多いように思います。
別箱公演でのチャレンジ作品として多くの方の心を掴んだことは注目すべきことでしょう。

美しい映像や雰囲気のある音楽、出演者の演技力の高さ、完璧なストーリー構成など、総合芸術の素晴らしさが十分感じられました。

それでも私自身、この作品に特別心をつかまれることはありませんでした。
痛みを伴うロマンを好まないわけではありませんが、私の求めるロマンとは異なるものなのかもしれません。(分かりません)
これも今の自分の一つの感じ方として大切にしたいと思っています。

しかしかなり刺激を受けましたー。
次に観た時はどう受け取めるのか、いつかもう一度向き合いたい作品です。

あ、そうだ、物語の続きが気になりますね。
ポルンカに残る人とまだ見ぬ星空へと旅立つ人。

これもいろいろな捉え方があると思いますが、結果よりも自分がどう生きたいかというところからの未来でしょうか。
まだまだ考える余地がありそうです。


久しぶりに宙組公演を観劇出来たことは嬉しかったですね。
皆さんの熱量が素晴らしく、キキちゃんにも会えましたし♡←

来月、東京でも無事に上演されるよう祈ります。
そして日生劇場ではどんな波紋と喧騒が生まれるのか楽しみにしています!


宙・うさぎ